第30話 組み合わせ
闘技会に向けて、各々がそれぞれの練習を積んでいく毎日。へとへとになりながらも僕は自身の『独自魔法』のレベルアップに励んでいる。『吸収性退魔』は完成まであと少しのところまで来たのだが、完成に至るまでが遠い。気付けば入学から一週間が過ぎようとしていた。
「う〜ん...どうしたものか...」
机に突っ伏して考えるが、そう簡単に打開策が出るわけでもない。むしろここまでの段階で一週間も経たずに習得できたことが稀だというのに、やりたいことが多すぎて落ち着いてもいられない。
「すみませ〜ん。お悩み中のところ失礼しま〜す」
「...あ、仰音道さん」
「こちらのくじ引きをお引きくださ〜い」
「くじ引き?何の?」
「闘技会のクラス別トーナメントで〜す、今年も各クラスの最強を決めるトーナメントをやるそうなんですよ〜」
なるほど、組み合わせを決めるくじ引きか。そういえば仰音道さんは不参加だからといって色々な手伝いをしてるんだったな。
「───っと、はい、引いたよ」
「ありがとうございま〜す。え〜っと、17番ですね〜、こちらメモ取ったので捨ててもらっても大丈夫ですよ〜」
「うん、分かったよ」
「ところで几野さんか沼下さんを見ませんでしたか〜?」
几野さんこと几野 雄戯君は、前に平次君が紹介してくれた武器商人だ。沼下さんこと沼下 林君は───うん、紹介しなくても大丈夫だよね。
「...沼下君は知らないけど、几野君なら職員室にいるんじゃないかな?前に武器マニアの先生を見つけたとかいって、今日も話をしに行こうってウキウキしてたし」
「そうなんですね〜、御協力感謝します〜」
そう言って仰音道さんはふわふわと教室を出ていった。仰音道さんが教室を出た後すぐに、宇佐見さんと渚さんの二人が駆け寄ってきた。
「ねぇねぇ!!俊君何番だった!?」
「え?えっと...17番だったけど」
「あら、私達と全然違うねぇ」
「そうだねぇ、私は8番だったんだ!!」
「私は22番。───と言っても、この番号だけじゃ全然分かんないけどね〜」
宇佐見さんが8番、渚さんが22番。本当に僕達揃ってバラバラな番号を引いたんだなぁ。
「お、何の話してんの〜」
「あ、俊君は番号何だった!?」
「26番。一番最後〜」
「げ、私近いじゃん...」
結局この番号がどう関係してくるかは分からないが、せめてトップクラスの人と当たらないことを祈ろう...最悪未完成のまま闘技会が来てしまったらボコボコにされてしまうかもしれないし...。
「お、俺が16番だな…、楽しませそうな奴が来てくれよ〜?」
───昼休憩後 SHR───
鐘が鳴ってしばらく経ち、間名村先生が教室に入ってきた。左手には丸められたポスターのような紙を持ってきていた。
「え〜っと、皆くじ引きは引いてもろたな?これからトーナメント表を貼るで。誰と当たるかとか各自確認しとき」
緊張の瞬間。果たしてどのような組み合わせとなっているのか...。
「───マジですか」
僕の名前、小林和真の文字は、真ん中近くに書かれていたのですぐに分かった。そして隣に書かれていた名前は───
「お、前に平次が言ってた奴じゃん!!楽しみだぜ!!」
藤島俊、公蔵平次と並び、三英雄と呼ばれているもう一人、堀井田涼星君だった。
「あら〜、やばそうなのに当たったね〜」
「初戦が三英雄か〜...ドンマイ、和真君」
「そういう渚ちゃんも勝ち上がったら公蔵君だよね〜」
「百歩譲って勝てたとしても次は俊だし...なんなのこの組み合わせは...」
「僕より悲惨だ...」
トーナメント表を前に談笑しながら、僕の心の中では焦りと緊張と絶望が一気に押し寄せていた。入学早々最初の試合がまさかの三英雄の一人───やばい、死ぬ未来しか見えない。
「まぁそんな落ち込みなさんな。本番まであと一ヶ月以上もある。そこまでに『独自魔法』を磨けば戦えない相手でもないよ」
「だといいですけど...」
ちなみに、僕は順当に勝ち上がっていけば、俊君か公蔵君のどちらかと当たる可能性があるらしい。というか間違いなく当たるだろう。三英雄は全員、僕と同じく右側に偏ってしまったらしい。───本当に悲惨な組み合わせだ。
「───まさか準々決勝で当たるとはな」
「どうだろうねぇ、どちらか負けるかもしれないよ〜」
「...お前は負けを知らないだろ」
「それは言い過ぎだよ...」
「...久々に三英雄同士での戦いだな」
「ま、そうなったらよろしく」




