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その勇者、かつてはモブキャラ設定でした  作者: 蜜柑クロ松
第一章 脱モブ
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第3話 到着して

「うわぁ...」

露店に並ぶのは村では見たこともないような美味しそうな食べ物。あちこちから肉の香ばしい匂いやスイーツの甘い香りがする。そう、歩くこと約一日、僕らはノベルト王都に辿り着いた。あの後特別強い魔物に会うこともなく、のんびりと歩いてこれた。

「とりあえず王都に着いたし、まず飯と言いたいんだが...」

「?何かやるべきことでも?」

「先に王都に来ている仲間がいるんだ、そいつらにこれを届けに行くんだ」

と言うと、平次君は虚空からリュックサック程の大きさの袋を出した。

「...え?え?今どっから...?」

「何って...『魔法収納』だけど」

「『魔法収納』...」

いや、そんなことより...

「...え、と、それは?」

「ったく、魔石ぐらい自分で回収しろって話だよ...」

まさかそれ全部魔石?そのリュックサック一杯に詰まってるの全部魔石?

「んー、そこまでおかしいようなことでもないんだけどなぁ...」

いや、明らかにおかしいよ?周りの人達皆ぽかんとしてるよ?

「俺はこいつを届けに行くけど、和真はどうする?」

「...ぇあ、僕は自分の宿舎をとりあえず見ておこうかと...」

「んー...俺らとは反対側の道だな。じゃあここでひとまずお別れだな」

「はい。えと、本当に助かりました!ありがとうございました!!」

「いいよいいよ、入学試験でまた会おうな」

「はい!!」

ここで平次君とはお別れ...。また試験会場で会えるよね。お腹も空いたし、とりあえず宿舎を探そう。


───ノベルト王都 とある宿舎───

「...戻ったぞ」

「平次さん!お帰りなさい!」

「おう、お疲れ平次ぃ」

「ほら魔石、これくらいで充分か?」

「お、サンキューサンキュー」

「これくらい自分で集めてくれよ全く」

「えぇぇ面倒臭いじゃん。それにあの迷宮に用があったのは平次の方じゃん」

「...まぁそうだけども、あまり戦闘サボってると実力落ちるぞ」

「俺の実力が落ちるとでも?」

「...すまん、この中じゃお前が最弱だったな」

「んだとコノヤロ」

「えっと、何か情報は見つかりましたか?」

「いや、やっぱりデマだった。結構期待はしてたがあの迷宮にも魔族は潜んでなかったな。だがあの周辺の平原であまり見ないような魔物が出てきていたな、きっとそいつが周辺地域の人間を狩ってたんだろう。」

「そうですか...あのあたりの死亡者が多いのは魔族のせいではなかったと...」

「あ、そうそう、帰りに興味深いやつがいたんだ」

「興味深い?めっちゃ最強のやつがいたとか?」

「いや逆だ。無力者。俺も初めて見た。」

「無力者...魔法が使えないというあれですか?確か無力者ってごく稀にしかいないんじゃ...?」

「確かにそいつからは魔力を感じなかった。制御しているとしたら天才的すぎる」

「どれくらい感じられなかったの?」

「メイの魔力よりも感じなかった」

「相当じゃねぇか」

「ただ村から出たことはないらしく、戦闘経験も浅いっぽい。それにそいつ自身も無力者を自覚しているらしいんだ」

「へぇ...案外いるもんなんだなぁ」

「ちなみにそいつは小林和真と言っていたな、第一学園受験希望者らしいぞ」

「マジ?あそこ魔力試験とかあるけど大丈夫なのか?」

「分からないが...剣筋は悪くはなかったな。武具技術試験もあるし、そこさえ頑張ればあとは筆記試験でなんとかなるだろう」

「まぁそうでしょうけど...」

「もし受かったとしたらどうなるんだろうなぁそいつ」

「受かったとして...死ぬだろうな」

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