第25話 吸収性退魔(3)
「気をつけて!!コイツの黒色の魔法に当たるとここに閉じ込められるの!!」
「ここに入ると魔法が使えなくなっちゃうの!!当たらないように気をつけて!!」
「分かった!!ありがとう!!」
黒色の魔法...とりあえず相手は魔法が使えるようだ。僕の『吸収性退魔』が通用するかどうか...。魔法だけでなくあのモーニングスターにも気をつけないと───そんなことを考えながらモンスターに近づいていく。『身体強化』を使えるようになったことで攻撃が避けやすくはなったのだが───
「って危なっ!?」
敵が振り下ろしたモーニングスターが大地を砕く。爆音と共に砕けた地面が弾け飛ぶ。その威力に少し血の気が引ける。...だがどうやら今の攻撃で武器が地面から抜けないようだ。
「なら今のうちに...」
試しに敵を切りつけてみるか、と、『斬撃強化』の魔法を使って剣を振り落とす。本当に魔法陣の勉強が役に立っている。
「───って切れない!?」
あまりに硬すぎて切り落とすことができない!?魔法で強化しても切ることができない敵もあるんだ!?
「和真君、危ない!!」
後ろを振り向くと、さっき言っていた黒色の魔法が迫ってきていた。しかし、俊君がさっき僕に打ってきた魔法よりは魔力が込められていなさそうだ。なら...
「左腕に意識を───!!」
左腕に諸に黒色の魔法を受けてしまった。───が、特にダメージも特殊効果も受けなかった。こいつの魔法にも通用する!!
「僕の魔力も回復している...、魔法もやってみよう」
試しに『火炎球』や『氷冷球』を打ってみる。が、どれも効果は無さそうだ。別の魔法を打ってみようとしたところで、モンスターの武器が地面から抜けたようだ。
「うわわわわっっ!!」
慌てて距離を取ろうとする。急いで走ろうとするが、モンスターが武器を振り上げた。間違いなく攻撃範囲内だ、避ける準備をしないと───
「って、背中に集中!?」
黒色の魔法がまた後ろから飛んできていた。背中に全弾受けてしまったがなんとか『吸収性退魔』を発動して事なきを得た。う〜ん忙しいなぁ、早く全身に使えるようになりたいなぁ。そしてすんでのところで振り下ろされた武器を避ける。
「調子ど〜だい」
さっと俊君がこちらに現れた。
「斬撃も魔法も効かないよ!?ほんとに勝てるのこれ?!」
「まぁそう慌てなさんな、どんな敵にも弱点は存在する。背中の裏に弱点っぽいものを見つけたぞ」
「背中の裏...?」
「とりあえずこっち見てみろよ」
そう言うと僕の袖口を掴み、瞬間移動を───?
「瞬間移動までできるの!?」
「今のは《雷電》限定の能力、『帯電螺動』ってやつだよ。この状態の時だけ電気と同じ速度で動けるんだ。そんなことより見ろよあれ」
気付くとモンスターの背後の岩山の上に立っていた。モンスターは僕らを見失い、探しているようだ。そしてその背中には何かが貼られている。
「───ってなんだろうあれ」
「分かんないけど、何処に何当てても効かないなら一番効くと考えられるのはあそこしかないっしょ」
「あそこに攻撃を当ててみましょうか...」
「おっと、ちょっと待っててくれ」
そう言うと俊君は身体の電気の力を強めた。
「大技の用意してたけど普通の魔法が通じないなら効くかどうかも分からないし、これだけは発動させとくか」
彼の帯びた電気が、彼の手から一気に流れ...
「『不可視電線と玩具箱』」
モンスターの周りを囲むように電気が走る。モンスターが戸惑い行動を取ろうとして、電気の線に触れた。強力な電流がモンスターに流れる、どうやら少しは聞いているようだ。
「よし、これであいつは身動き取れない。和真の魔法でどうにかならんか?」
「う〜ん、通用するかなぁ?」
「どうだろう...あ、そうだ。『吸収性退魔』使って最大まで魔力量上げてみるとかどうだ?試しに電線触って魔力吸収してみなよ」
「あ、うん、やってみるよ」
「気をつけてね〜、一応人間に取っては致死量の電気流れてるから」
「え゛っ」
その言葉に恐怖しつつも、魔力を吸収してみる。比にならない量の魔力が身体に流れ込んでくる。
「...こんなもんで大丈夫かなぁ」
「お、じゃあ全力でぶっぱなしてみ」
「了解!!」
今使える最大威力を出せる基礎魔法は『紅蓮球』。それを最大魔力で放てば...!!
「行けぇ!!」
全力の『紅蓮球』を放ったところでふと頭を過ぎった。───いやまぁ、大丈夫だとは思うんだけど...。
「あれ、モンスターと同時にあの二人も燃やされそうじゃね?」
どうやら俊君も同じことを考えていたようだ。
放った『紅蓮球』はモンスターの背中に命中した。モンスターが苦しそうな雄叫びを上げる、どうやら弱点で間違いはなかったようだ。背中から火が全身に燃え広がる。みるみるうちにモンスターは灰となってしまった。
「...とりあえずモンスターは倒せたっぽいな。二人が心配だけど、とりあえずこの作戦は今後役に立ちそうだね」
「え...っと、そ、そうですね...」
僕は急いでモンスターがいたところへ走った。
「二人とも大丈夫?!」
灰と化したモンスターの残骸を払いながら二人を探してみた───。
「お、生きてる」
二人共無事だったようだ。どうやら傷も付いていない。...が。
「...気絶してんな」
「...」
「まぁあんなん目の当たりにしたら誰でも死を覚悟するだろうねw」
「...申し訳ないです...」
そんなこともあり、帰りは二人を背負いながら十二層分の階段を上ったのだった。




