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その勇者、かつてはモブキャラ設定でした  作者: 蜜柑クロ松
第二章 闘技会
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第23話 吸収性退魔(1)

苦しい。

ただひたすらに苦しい。

「おつかれ〜、大丈夫?」

「な、なんとか...」

あれからずっと自身の『独自魔法』の確立の為の特訓をしていた。敵の魔力を吸収し、それを自身の魔力に変える技ということで、一人だけだと習得できたことを確認できない。ということで俊君の力を借り、魔力のみで作った水槽にひたすら沈められた。普通に死ぬかと思った。

「...ちなみにこの水槽も俊君の『独自魔法』?」

「そうそう。《水天》の技の一つ、『遊泳的流雛(サーフドール)』っての。水を操るだけでなく、水の中なら自由自在に動ける、水場なら強いけど地上はからっきし。貯められる水もビニールプール一杯分ってとこ」

なんか───知れば知るほど実力の差が明白だ。

「けどいい線行ってるね、水位が減ってる。ちゃんと吸収できるようになってきてるよ」

「そ、そうですか...」

「まぁそんな気を落とすなって、成長速度は早い方だよ。普通なら少し成果が出るまでに丸一日は要する、これも無能力歴が長かったが為の特権みたいなもんかな」

そうだったんだ...。魔法が使えない時に意味が無いと思ってたけど、今になって役に立つんだ。

「ところで今は発動中?」

「え?あ、はい、一応」

「そっかぁ。通りで静電気発してても何も反応しないか」

「...あれ?」

「どうやら人並外れた順応能力があるみたいやね、地道に伸ばそうかと思ったけどそんな時間かからなそう。一回色んな魔法試してみる?」

「え゛っ」

「早くマスターできるに越したことはないっしょ!!」

そう言って綺麗な笑顔を見せる。僕にはその顔が修羅のように感じた。



「驚いたなぁ」

ありとあらゆる魔法攻撃を仕掛けられ、痛みと疲労でその場で倒れ込んだ。疲労困憊しているこちらを見ながら目を輝かせていた。

「な、何が...なの...?」

「いやぁ、たった一日でここまで仕上げられる人はそうそういないよ。もう対人も簡単にできるんじゃないか?」

「話が早いんじゃないでしょうか...」

そう、実はなんと一日で仕上げることに成功した。めちゃくちゃしごかれたから相当疲れたけど、一日でなんとかモノにできるようになった。

「しかしまぁ期間が空きすぎたからって展開進め過ぎだよなぁ作者も」

「...?」

「まぁ今日はそんなとこでいいかなぁ、あの二人を呼びに行くか。次回からは四人全員一人行動でもいいかもなぁ」

「え゛っ流石に一人は───」

「大丈夫大丈夫、和真はもう魔法使える身なんだし、この迷宮なら第十五層位までは苦労しないと思うよ」

「ほ、ほんとに...?」

た、確かに魔法は使えるようになったけど...本当に大丈夫かなぁ...

「さて、あの二人は...この階には居なさそうだしもっと下の方だね」

「そ、そうみたいだね」

「じゃあひとまず降りてみるかぁ、どの階かねぇ」

まだ身体が痛いけれど、一人で残るわけにもいかないから我慢して着いていくことにした。



───アルガ中迷宮 第八層───


「ん〜ここでもないっぽいねぇ」

「そうだね、何処まで降りたんだろうね」

「まぁあの二人なら三十層でも生き延びられそうだけどね」

宇佐見さんと渚さんを探しながら迷宮を降りていく。前に訓練に降りた層よりも下に降りてきたが、そこまでモンスターに苦労することはなくなった。

「様になってんじゃん、あと6週間で申し分ないくらいには成長するだろうね」

「だといいんですけどね...」

「相変わらずネガティブだねぇ───おっ」

俊君は視線の先にいるモンスターを見て、何かを考えついたかのようにニヤッと笑った。そのモンスターは、とんがり帽子に青いローブ、木の杖を持っているモンスター───そう、ウィッチモンスターだ。

「丁度いいや、さっきの『独自魔法』試してみなよ、手出ししないように見守っとくからさ」

「え、ちょちょっと!!待ってよ!!」

しかし、彼はその言葉を聞くことなく颯爽と姿を消してしまった。

そして待ってくれないのはモンスターも同じだった。

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