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その勇者、かつてはモブキャラ設定でした  作者: 蜜柑クロ松
第二章 闘技会
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第22話 個性と特性

「さて、何から始めるかねぇ」

僕と俊君は、アルガ中迷宮の1Fの中の森にいる。僕の『独自魔法』を一刻も早くモノにするべく特訓をすることになった。

「前にも話したと思うけど、リベンジカウンター的な魔法(ヤツ)にするってことだったよな?」

「うん。結局、自分でも何から始めれば良いか分からなかったんだけど...」

「基本的に『独自魔法』は自分でこれってイメージ固めたらひたすら練習あるのみ。『独自魔法』を使う為の魔法陣は効果が何であれこれで共通。その陣式を紙に書いて持ち、念じて発動すりゃあ完成。ただ有能な魔法陣だからこそモノにするのに訓練が要るし、一人に付き平均五つ程しか覚えられないんだ」

「なるほど───けど、俊君は何十と魔法(ワザ)が使えるって…」

「あぁ、それは───」

そう言うと、彼は細い枝を手に取り、地面に何やら書き始めた。

「まぁこれからパーティメンバーとしてやってかないと行けないわけだし、俺の『独自魔法(オリジナル)』も教えとくかぁ」

遂に聞けるのか...三英雄とも呼ばれし俊君はどんな『独自魔法』なのか...。

「俺の能力...名前は『絡繰だらけの猫人形(コピーキャット)』って言うんだけど...書くよりやった方が早いか、ちょっと来てよ」

そう言って俊君は手招きした。僕はその動きのままに近づいていき、彼にそっと額を触られた。

「んじゃ見とけよ〜」

そう言うと彼の姿は音も無く変化し、やがて───

「うわぁ!?ぼ、僕が、僕がぁ!!」

ついさっきまで俊君だった姿は、僕の姿にあっという間に変わっていた。

「これが『絡繰だらけの猫人形』の効果。『認識(コピー)』と『偽装(ペースト)』だ。『認識』は俺の能力の発動条件、『偽装』は応用だな。動植物や静止物体、魔法で具現化された物なんかに触れると自動で『認識』し、『偽装』で真似する、ようは変身能力的な感じかな」

変身能力...。それが彼の魔法なのか...?

「基本的に俺の魔法はこの能力から発展した技になってるんだ。相手の弱点に合わせて戦うことができる万能さがあるから気に入ってるんだぁ」

「万能さ...あの煙龖って人を行動不能にしたのもその応用なんですか?」

「そうだね、『偽装』を使った上での応用技って感じこっから話は難しくなるんだけど───」

俊君は一度手放した枝をもう一度手に取り、更に話を進めた。

「俺の『独自魔法』ってのは、今のところ『絡繰だらけの猫人形』と『認識』の二つで、『絡繰だらけの猫人形』から『偽装』に応用して、応用を更に発展させることで五つの姿(フォルム)を確立させたんだ」

「五つの姿...?」

「そう。《火焔》、《水天》、《自然》、《雷電》、《砕破》の五つ。その五つの姿を得た上で、姿事に魔法を考えた。こんな感じで応用することで...えっと...十五個程の『独自魔法』を編み出したんだ。ちなみにあの煙のにーちゃん倒したのは《砕破》のうちの一つだな」

「そんな簡単に応用できるものなのか...」

「『独自魔法』ってことあって、追加効果を付与する為に書き換えることは簡単なんだ。自身の魔力量や筋力や体力その他諸々が耐えられるのなら幾らでも改良可能。流石に根本自体を変えることはできないけどね」

「なるほど...?」

そこまで言い切ると立ち上がり枝を捨てた。

「思ったんだけど、一人平均五個『独自魔法』が作れるなら、俊君は何故応用や発展なんかを?」

「そっからも大切な話なんだけど、『独自魔法』を生み出す上でよく考えないといけないのが、自分自身と自身の『独自魔法』との相性なんだよね」

「相性...?」

「自分自身の個性と『独自魔法』の特性、これが噛み合っているかどうかを考えないといけない。良い例が平次、悪い例があの煙のにーちゃんだな」

なんとまぁ...。学園の中でも強い部類のSランク帯を相手に悪い例とは...。まぁ確かにあの煙龖さん、俊君に負けたことでSからDまで落ちたんだもんなぁ。

「平次君が良い例って言うのはなんとなく分かるけど、煙龖さんが悪い例って言うのは?」

「あの煙のにーちゃん...煙龖っての?あいつの煙攻撃(めくらまし)は自身の個性と噛み合っていない。まぁ確かに聴力の麻痺の効果があるだけマシなんだろうけど、あんな敵意を剥き出しにしてたら気配で勘づかれる、視界と聴覚を奪った意味が無い」

あいつって...。でも確かに、煙龖さんは外にいる僕らにも分かるほどの敵意を感じた。

「あの性格をどうにか直さないとあの『独自魔法』は最大限の力が発揮できないね。あいつがSランクまで上がれたのは、煙にやられてパニックになる人が続いたか、単に腕っぷしで勝ったかだな」

腕っぷしだけでSランクに上がれたってだけで凄いけど...。

「対して平次は自身の個性を理解した上での『独自魔法』だ。和真も話してるなら分かると思うけど、あいつの『未特定不確定の必中』は、彼の弓矢の攻撃力、命中率、スピード等を上げる為の手助けとなっている。元々平次は弓矢の扱いが人一倍高かったから、自身の能力と掛け合わせて超人離れした弓使いとなっているんだ。落ち着いた性格だから、冷静に分析できるのも良いところだな」

「確かに...合致してますね」

「そう。ちなみに俺みたいに弱点を補う為に『独自魔法』を生み出すのも手だ」

「...弱点?」

「俺って人一倍身体が脆くてさ...和真はキラーパンサーと会ったんだっけか、多分今でも引っ掻き一撃でポックリ逝くと思う」

「えっ!?」

「驚きだろ?その弱さを克服する為に()()()()()()()()()()()『独自魔法』にする。だからこそ応用って形で幾つも作り、更なる弱点に備えて根本の材料を残しておくんだ。作れなかったらそこでお手上げなんだけどなw」

有利を取らせないことで自身への攻撃を抑える...か。どれだけ力を持とうが、敵対する相手との相性次第で無効にもなる。だからこそ常に有利に立つための能力...ってことか。

「その話を踏まえて、これからどうするのかって話なんだけど...まぁ長々と話したけどリベンジカウンターは問題無いと思うしなぁ、『独自魔法』の一つはそれでいいと思う。早速それだけでも今日中にマスターしてやろうぜ」

「はい!!...って今日中?」

「あと六週間だしさ、早めに慣らしときたいでしょ?」


───どうやらこれからはハードな修行になりそうです。

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