第14話 独自魔法(2)
「あはは、また助けられちゃいました...」
「...まぁ別にいいけど、とことん運が無いよなあんた」
あの集団から助けられた後、僕は平次君へのお礼も兼ね、二人でさっきの武器屋の近くの食堂で昼ご飯を食べることにした。助けられてばかりで申し訳なくなるなぁ...。
「さっきの件も、ここへの行き道の件も、助けなければ間違いなく死んでただろうな、まぁ今は多少はマシなのかもしれんが」
「うぅ...仰る通りで」
「だがさっきの勇気は認める、よく止めたな」
「あまり争いには巻き込まれたくないんですけど、同じ学園の生徒みたいですし、学園の価値を下げかねないかなって思いまして...」
「あいつらには昔から困ったもんだなぁ」
「え、昔から知ってたんですか?」
「あぁ、ここに来る前は色んな村や町に行っては暴動を起こしてたんだ。なんでこの学園に来たのかは知らんが、あの調子は治らんもんなのかねぇ」
陸...って言ってたっけ?僕の村では聞いた事がなかったけど、相当怖い人達なんだなぁ。確かに自分も身をもって実感した。あの人にはただの魔法戦闘で敵わないだろうと感じた。
「それにしてもあの魔法...凄い恐怖心に襲われて何もすることができなかったです...。僕も鍛えればあれくらいには強くなれるのでしょうか...」
「ん、まぁ人にはそれぞれの鍛錬の仕方があるし、和真もすぐ追いつくさ」
「あんなグオォ〜って腕に魔力込める技、僕もやってみたいなぁ...」
「...ん?」
「...はい?」
平次君が不思議そうな顔でこちらを見る。何かおかしなこと言ったかな?
「もしかして、『独自魔法』って知らないやつか?」
「オリ...ジナル?」
───ってなんだそれ?無力者だった時に色々な書物に手を出しては色んな魔法の式を覚えてきたけど、『独自魔法』なんて魔法は聞いたことないぞ?
「そっか知らないか...まぁつい最近まで無力者だった訳だし仕方ないか」
「ど、どういった物なんですか!?」
「まぁまぁ落ち着け、一先ず飯だけ食っちまえ。まだ時間もあるだろうし、ゆっくり説明してやる」
最近魔法が使えるようになった僕は皆の実力に着いていくために情報や実践がもっと必要!!もっと強くなるためにはもしかしたらそれが鍵を握っているのかもしれない!!
───ゲイベス森林───
「『独自魔法』は人それぞれ効果が違う。と言うよりは、自分でどんな能力を得たいかを叶えられるってもんかな。魔法にある程度慣れれば次に人々が鍛錬に励むのはこの『独自魔法』だ。人によって磨き方が違うし、ただべらぼうにやってれば身につくようなものでもないが、完璧にこなせれば戦闘力は格段と跳ね上がる。」
「な、なるほど...」
ん〜...色々言われて頭に入りきらないかもしれないけど、とりあえず普通の魔法とは違うことがはっきりと分かる。
「種類も様々だ。攻撃系の魔法もあれば味方をサポートしたり、敵の状態異常なんかを狙うやつもあれば敵を探知するやつもある。魔力容量不足さえしなければ基本自由に能力が作れるんだ」
「好きな能力を作れるんですね...」
「例えばさっきのやつ、沼下林は『聖血求める下剋上』って言って、相手の倍以上の力を引き出す、ようは自強化の魔法だな」
「倍以上...通りであの時敵わないと思ったのか...」
「まぁ...見た感じ和真は基本魔法は困ってなさそうだし、もう『独自魔法』の作成について考えてもいいかもしれんな。魔力量も申し分なさそうだし、無理そうな能力も身につけることが可能かもな」
「『独自魔法』...か」
ある程度自由...ん〜どんな能力が良いんだろ。陸君みたいな自強化...?いや、攻撃特化もかっこよさそうだけど...。
「ちなみに平次君はどんな能力なの?」
「俺か?ん〜あんま他人には公開しないのが対策なんだけどな...まぁいいか」
そういうと彼は弓矢を構える。狙う先にいるのは...鴉型の魔物?こちらの方をかなり警戒して見ているようだ。
「見てろよ...」
そう言うと警戒に構わず彼は矢を放った。当然鴉型の魔物に避けられ───
「ガァア!?」
矢は大きく曲がり、飛び立とうとした鴉型の魔物の腹部に命中した。素早い動きだったのに的確に急所を射ている。
「流石に張りすぎたかな...」
「矢の軌道が曲がりましたが...あれが平次君の『独自魔法』...?」
「ん、半分正解ってとこかな」
「え、半分?」
「確かに矢が曲がったのは俺の魔法が影響しているが、矢の軌道を曲げるだけの能力じゃない...。ん〜そうだな...」
平次君が僕の周りを見回す。
「和真、そこから全速力でどの方角でもいいからこの矢を避けてみな」
「えぇ!?」
「そして避けた先、あんたは転ぶことになる」
転ぶ...?ま、まぁ、足元に警戒すれば...っとやばいもう矢が飛んでくる!!
ヒュンッ
咄嗟に僕は右前に避けて───矢が曲がってくるのを確認してバックステップを踏───
「あっ!?」
着地点に木の根があり、僕は踏み外して転んでしまった...。
「予測された出来事...これって...」
「確率操作の能力...『未特定不確定の必中』、それが俺の魔法だ。」
「確率操作...!!」
「鴉の急所に当てたのも、和真を転ばせたのも俺の魔法だ。それぞれ60%位の確率だったのを90%まで上げたんだ」
「そんなことまで...」
「そ、これくらい『独自魔法』は自由度があるんだ。焦らず決めればいいと思うよ」
「はぁ...」
「ちなみに俺はもう一つ『独自魔法』は持ってるが、そっちは戦闘してからのお楽しみってことで」
「え!?幾つも持てる物なんですか!?」
「おう、一人あたり平均5つ位は持てる。工夫するやつは何十とか持ってるぞ、確か和真と同じ組の藤島もそれくらいはある」
「えぇ...」
「まぁ俺からはこれくらいしか教えられねぇかな、こっから先は藤島の方が詳しいぞ」
な、なるほど...今日の話し合いの後にでも聞いてみようかな...
「あ、ありがとうございました!!」
「いいよいいよ、楽しみに待ってるわ」
よし!!絶対に実力追いついてみせるぞ!!僕も強くなるんだ!!
「きっととんでもねぇ魔法持ってくるんだろうな」




