第10.5話 公蔵組の討伐
「なかなか出てこねぇな」
第四層に到達できたと思えばさっきの化け物みたいな魔力の所為で魔物達が一気にいなくなってしまった。そろそろ中級、上級の魔物が出てきて肩慣らしができると思ったんだが...
「ったく、こうも魔物に隠れられちゃあウォーミングアップもできないじゃねぇかよ。平次、三層戻ってさっきの狩るか?」
「態々戻らなくていいだろ、俺らの目標は第五層だ」
「つっても目標狩るまで暇すぎんだろ、あの調子じゃしばらくは中級の魔物も籠るぜ?」
「それは寧ろ好都合、第五層までは弊害無く行けるだろう」
「...まぁそうなんだけど」
「それに迷宮と言っても学園内のもの、ボスと言えど大した強さでもないだろうし、ぶっつけ本番でも問題はないさ」
「それもそうだな」
公蔵パーティは目標である『南東の森林に隠された沼の主』を討伐すべくアルガ中迷宮を進んでいく。リーダーの弓使い、公蔵平次と、剛腕の堀井田涼星、そして剣士のメイ・キャロテルの三人パーティである (人数の都合上あと一人集めることができなかったのである)。
「とりあえず、第五層まで降りましょうか」
「も〜魔物出てこねぇんだったらいいや、さっさと獲物倒して帰ろ〜ぜ」
何も無いところに長居しても仕方ない、第五層まで降りるとしよう。
───アルガ中迷宮 第五層───
「え〜っと、森林って何処だ?」
「南東の...ってことは、恐らく左手側にあると思いますが、それらしきものは見当たりますか?」
「...お、あそこだな。けど見た感じ結構広いぞ?あの中から沼を探せってのか?」
「まぁこの調子だと、第五層の魔物も大体隠れっぱなしだと思うし、焦らず探そう」
何もいない道を進み、森林へと向かう。道中魔物は一切現れなかった。第三層に強力な魔物でも現れたとでも言うのか...?第三層の魔物が討伐対象の組がいたとすれば納得が行くが、その場合一番乗りは不可能だな...。
探し始めてから数時間ほど経ってしまったが、一向に沼に辿り着く気配がない。というかこれは...
「迷ったな...」
「な゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
「どうしましょうか...目当ての沼にも辿り着いていませんが」
「一旦木の上から見てみるか...頼めるか堀井田」
「おっけ待ってろ」
そういうと堀井田は近くの木に登り始めた。しばらくすると声が聞こえた。
「うおぉ!?なんだあれ!?」
「?何か見えたのか?」
「ちょ、あっちの方向にすげぇのが!!」
「あっちじゃ分かんねぇよ方角教えろ」
「なんだあれ『火炎球』か!?すげぇ何あれ!!」
「聞いてんのか!?」
「やべぇなあれ──あ、沼の主。魔力に驚いたか待ってろすぐ狩りに行ってやんぜ!!」
「どっちだって聞いてんだよ!!」
しばらくすると堀井田が降りてきて、
「沼の主いた!!こっから西向きに行ったら辿り着くぜ」
「よし、向かおう」
「あとなんかやべぇのいたぞ!?『火球』だか『火炎球』だか知らねぇけどえげつねぇ炎魔法使ってるやつ!!多分ボス討伐してたぜ」
「そうか、じゃあ急ごう。一番狙うならそいつらより先に討伐しねぇと」
「了解!!」
...『火炎球』...それごときで普段の堀伊田は驚かないはず。外で何があったというんだ...?
沼の主の所へ行くまでそう長くはなく、すぐに辿り着くことができた。鰐型の魔物だ。
「なんだ、この程度なら一発で仕留められんぞ」
「ん、じゃあ頼むわ」
「いいんですか?」
「堀井田もそこまで弱くはないだろ」
目標は強い物だと期待していたが、これくらいならパーティを組むまでもないな。
「じゃあ俺らも急いでるんだ...一発で死にな!!」
そう言って堀井田が魔物に殴り掛かる。
堀井田涼星の能力の一つ。『天撃破腕』。その中でも彼が得意とする『災石拳』は、ただ対象物を殴り、破壊する役割を持つ。『天撃破腕』は他に二つの種類があるのだが、この魔物を相手にお見せすることは無かった。
「...せめて頭くらいは残しておいてくれよ」
「すまん」
「何ちゃっかり粉砕してんだよ!!お前普通なら頭持ってかねぇとクリアにはならねぇぞ!?」
「まぁまぁ、魔石さえ取ることができればミッションにはクリアできますし、とりあえず今は帰ることに集中しましょう?」
「...そういや迷ってたんだよな俺ら...」
「多分、北の方目指したら外には出られると思うぜ?」
「そうするか...」
結局彼らはまたも森林で迷ってしまい、最終的な順位は三位だったという。




