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その勇者、かつてはモブキャラ設定でした  作者: 蜜柑クロ松
第一章 脱モブ
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第9話 ボス討伐(1)

「おい見ろよ!!無力者の和真だぜ!!」

毎朝その一声と共に数人の男子に囲まれていた。

「相変わらずしけた顔してんなぁ、また今日も使えない魔法のお勉強ですか〜?w」

「大層なこったなぁ!!ど〜せ何やったって使えねぇ雑魚のくせによぉw」

「おいおい無視かよつれねぇなぁ」

「あははw何も言ってこねぇしやっちまおうぜこんなやつ!!w」

あぁ...また始まるのか...。彼らは毎日のように僕を貶し、嘲笑い、そして攻撃してくる。抵抗しないわけじゃない。ただ僕はいつも負けてしまう。いつしか反抗する意思も無くしてしまった。更に攻撃されないように───

「なんだ、もう倒れんのかよつまんねぇな」

「勘弁してやれよ、こいつ無力者なんだぜ?w」

「...」

いつか僕も、魔法が使えるようになったら、無力者でなくなることができたなら───彼らに仕返しできるような───彼らを驚かせるような力を───




「四つの岩山...もしかしてあれかな?」

柱のような岩山が四つ、何か大きな物体を囲むようにして聳え立つ。囲まれたあれは...魔物?かな?

「ん〜...あれが討伐対象か?でもなんか思ったより手強そうな雰囲気は無さそうやな」

「いや、まだはっきりどんな魔物か分かってないしなんとも言えないと思う...」

「まぁいいや、とりあえず慎重に進もうか。」

敵の様子に気をつけつつ、ゆっくりと進んでいく。近づくにつれて段々分かってきたが、その魔物は大きな翼に鋭い嘴を持っていた。

「あれは...鳥型の魔物かなぁ」

「ん〜飛ばれると厄介やな」

「やっぱ厄介なんじゃん」

「そうだなぁ...とりあえず折角和真の魔力を引き出せた訳でパーティメンバーとしては確かめてみたいし、右翼の破壊は和真に任せようかな」

「え゛っ結構重要ですよねそれ」

「魔法陣は展開できる?」

「え...こ、こうですか?」

「うん、問題無いね、後は自身の魔力を注いで撃つだけ」

「はぁ...」

「鳥だし炎魔法か雷魔法辺りがいいかもね」

「分かりました」

「宇佐見と渚は左翼を頼む、俺は落下した後の(トラップ)を用意しておくから、落ちてきて罠にはまってそれでも生きてるようなら一斉攻撃でいいな」

「「「了解!!」」」

「じゃあ、俺があいつを挑発するから、各々部位を狙いやすい位置に散開ってことで」

狙いやすい位置...恐らくあの岩山からが一番かな...どうやって登ろう?

「足場も魔法陣を作ればいいんだよ、そしたらあの岩山は登れる」

「あ...そんな芸当もあるんですね」

「慣れといた方がいいよ、割と使う場面多いからね」


 岩山の上に着いた。ここからなら魔物が飛んでも羽を狙いやすい。あの魔物の大きさを見た感じ、普通の『火球』じゃダメージすら与えられないよな...。『火炎球』で試してみよう。僕は下にいる俊君に合図を送る。その合図を見て、俊君は鳥の魔物に石をぶつける。

「...ンギッ」

間髪入れずにもう一個。

「ギイッ」

すかさずもう一個、今度は恐らく全力だろう。

「ギイッ!?」

鳥の魔物が驚き飛び上がる。...さっきのモグラ型魔物よりもデカくない?

「確かにボスクラスの大きさやな...」

そういうと俊君は鳥の魔物の足元に雷魔法を撃ち込む。鳥の魔物は攻撃を躱すために空へ飛んだ。

「よし、作戦通りに行くぞ〜」

飛んできてくれたおかげで狙いやすい位置に右翼が来た。鳥の魔物は俊君を警戒していてこちらに気づいてない。これなら自分でも狙えるぞ!!僕は急いで『火炎球』の魔法陣を展開する。えっと後は...魔力を注ぐだけ───

「あっ...」

放とうとした瞬間、鳥の魔物がこちらに気づいてしまった。しまった、避けられてしまう!!

「ギィエェッ!?」

左翼に無数の石礫がぶつけられる。渚さん達がやってくれたんだ。動きが鈍ってる今がチャンス!!

「やぁっ!!」

今度こそ『火炎球』を放───

「え...?」

ぼ、僕の『火炎球』...

「「「でかくね!?!?!?」」」

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