紅と蒼の月~副人格~
~ 紅月 斬夜 ~
「…ん、ここは…?」
あぁ、家か…いつ、帰ってきたんだ?
「起きた?斬夜」
「陣夜…俺、確か狂獣を殺して…どうしたんだっけ?」
そうだ、俺は店長の姿をとっていた狂獣を殺したんだった…
それに…陣夜に見られたかな……
俺のもう一つの顔、紅月 零夜…
あの事件で生まれた俺の副人格………
「倒れたんだよ…覚えてない?」
「いや、覚えてる…」
陣夜は俺が覚えてると言ったその時からソワソワしている
なんでソワソワしてるんだ?
「なぁ…何か聞きたいことでもあるのか?」
俺が居心地悪くなり、陣夜に問うた
「えっと、斬夜が倒れる前なんだけど…あれって何なの?」
陣夜は不安気な顔をしながら問うてきた
やっぱり、見られてたのか…
ったく…零夜の奴……
「斬夜…?」
俺がいつまで経っても話す気配がないから不安に思ったのか陣夜は、恐る恐る呼びかけてきた
「あっ…すまん、少し考え事してた…あー…っと確か零夜のことだっけ?」
「まぁ、そうだけど…知ってるの?」
先程まで不安気な顔をしていた陣夜は俺が零夜の名前を出した瞬間、真顔なのに眉間に少しだけシワを寄せてこちらを睨んできた
「あー…うん…零夜は俺の副人格なんだよ、少し複雑な事情があってさ…詳しくは言えないんだけど…副人格は主人格を守る存在なんだけど零夜の場合は俺の怒りの代行処刑人」
俺の説明が終わると陣夜は腕を組んで考え始めた
「…ねぇ、斬夜」
しばらくすると、陣夜は心配そうな顔をして俺に聞いてきた
「なんだ?」
「その…零夜って奴は君に害はないんだよね…」
「あぁ、大丈夫だぞ…アイツは俺が承認しないと表には出てこれねーからな…」
俺は問いに応えて、心配する陣夜を安心させるために微笑んだ
「…そっか、なら良かったよ」
陣夜は安心したようで優しく微笑んだ
「…何で、陣夜はそんなに俺を気にかけるんだ?」
俺は陣夜が起きてからずっと気になっていたことを聞いた
「えっと、あ〜その…ほっとけないというかなんというか…」
かなり焦っているのか手をブンブン振りながら誤魔化そうとしているのか、言葉が要領を得ていない
「言いにくいなら別に無理して言わなくていいぞ」
本当は気になるが、仕方が無いので俺自身が助け舟を出す
「…ごめん、いつか言うから」
陣夜は寂しそうな悲しんでいるような表情して謝ってきた
「いや、俺は気にしてねーし…それに俺もただの好奇心で聞いたから無理にでも聞き出したいとまではいかねぇよ…」
少し罪悪感が湧いたので俺は問うのをやめた
でも…ほっとけない…かぁ……
「俺のことなんて気にしたって仕方ねぇのにな…(((ボソ」
俺は咎人なのに…
何で、陣夜はあそこまで俺を気にかけるんだ…?
「何か言った?斬夜」
まぁ、今はそんなことを気にしている場合じゃねーか…
「いや?何でもねーぜ!それより飯、食いに行こーぜ!!」
頼むから、俺のことに首を突っ込んでくれるなよ
これ以上、誰も巻き込みたくないからな…
文が短いけれど気にしないで頂けると嬉しいです
改訂版に書き直したのでこの作品はここにて完結にさせていただきます。