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紅と蒼の魔法使い  作者: 春夜 零桜
2/3

紅と蒼の月~零の夜~

― 次の日 ―




~ 蒼月 陣夜 ~


「なぁ、お前さ俺が働いてるバイト先に来てみる?」


「…えっ?」


僕は昨日、斬夜(ざんや)に助けられて

怪我も完治し、彼が予測した貧血も治った…

でも、朝から…しかもご飯を食べ終わったあとすぐに言われたことを僕は上手く理解できなかった


「バイトって、なに?」


「はっ…はぁっ!!?」


僕が素直に疑問を口にすると斬夜(ざんや)はすごく驚いて大きな声を上げた…


「知らない僕が悪いんだけど…斬夜(ざんや)、声大き過ぎだよ…」


耳を抑えながら僕が言うと斬夜(ざんや)は素直に

謝ってきた


「あっ…悪ぃ……(汗」


少しバツが悪そうな顔をしながら斬夜(ざんや)は声を抑えた


「まぁ、とりあえずバイトって何?」


そんな斬夜(ざんや)をおいて僕は再度、同じ質問をした…


「バイトって言うのはアルバイトの略称何だけど、募集されるのは学生が多くて、大体はお小遣いを稼ぎたい子や俺みたいにお金に困ってて稼がなきゃいけない人たちが働く場所って言うのかな?俺は働く側だし、上手くは言えねーけどさ…」



斬夜(ざんや)、最後の方の言葉に詰まってた…

こんな大きな部屋を借りることが出来るほどにはあるのに何で…


「…そうなんだ、大変なんだね」


「まぁ、慣れれば何ともないからな…」


そこまで必死になるの?


「さぁ、行こうぜ!のんびりしてたら間に合わなくなっちまう!!」


そう斬夜(ざんや)が言った瞬間、いつの間にか僕達は大きなレストランの前に来ていた…僕は内心でとても焦った……

何で彼が《瞬間移動(テレポート)》を使えるの?それにこの魔法は、移動手段の上位魔法(ハイマジック)なのに!魔力(マナ)は大丈夫なの!?


「ここが俺の今日(・・)のバイト先だ!えっと蒼月だっけ?」


僕が心の中で荒ぶっていると斬夜(ざんや)が此処がバイト先だと言って、僕の名前を首を傾げながら言ってきた…あれ?


「えっと、あってるけど何で…(汗」


何で?覚えてない筈じゃ……


「あっ…(わり)ぃとは思ってたんだけどさ、ごめん…身元がわかんなくて勝手に手帳見た!ごめん!」


手帳…?

あぁっ!!あれか!

あちゃー…軍属(ぐんぞく)だった時の……

多分、今は所属【罪人(アース)】になってるはずだしなぁ…


「いや、別に構わないけど…どうせ呼ぶなら陣夜(じんや)にしてよ…蒼月(そうげつ)なんて言われ慣れてないしさ」


僕が困ったような表情(実際は真顔なのが悔やまれる)をして言うと斬夜(ざんや)は申し訳なさそうな顔をして


「分かった、じゃあ陣夜(じんや)って呼ばせてもらうな!」


そう言った


「ん、でもここに居ていいの?時間急いでるんじゃなかったっけ?」


僕が時計を指してそう言うと斬夜(ざんや)は[やっべぇ]という顔をした…


「急ぐぞ!!」


と思ったら僕の腕をいきなり掴んで()んだ

いきなり店内だから僕は目を白黒させる


えっ?待って…待って!!?

今の何!?確か今のは《瞬間移動(テレポート)》よりも上の高位魔法(クランマジック)!!

しかも最も難易度が高い魔法だから使える人がほとんどいない《空間歪曲(ワープ)》!!?


「君はどこまで規格外なの?」


ついつい口から本音が出たよ(汗)

でも、ただでさえ空間魔法(スペースマジック)は扱いが難しい上にまず空間属性を持ってる人が居なくて珍しいのに…


「…さぁな、俺が知るわけねぇよ……」


斬夜(ざんや)はそう言うと僕に人間界のお金を渡して店内に入っていった


(なに)か…(かん)(さわ)ること、言ったかな…」


斬夜(ざんや)…僕が魔法界(マジックワールド)に帰ったあと、人間界(ノーマルワールド)では何があったんだろう……




~ 紅月 斬夜 ~


あ〜っ!!

悪いことしたなぁ…陣夜(じんや)、怒ってねーかな……


斬夜(ざんや)くん、どうしたの?悩みごとかい?」


いっけね!ボーッとしてた!!


「スミマセン、大丈夫です!」


「そうかい?ならいいんだけどねぇ…」


この店の店長である安曇(あずみ) (りょう)さんは俺が小さい頃からお世話になってる人で母さんのお兄さん、つまり俺にとっては叔父にあたる人だ…


「なんですか?」


「いやぁ、ねぇ…?斬夜(ざんや)くんには苦労をかけてばっかりだと思ってねぇ…こんな叔父さんでゴメンね……」


安曇(あずみ)店長は自分の妹が精神を病んで入院しているのに、甥である俺に苦労をかけてばっかりだと思っているようだ


「いや、俺が好きでやってることなので気にしなくていいですよって毎回言ってるじゃないですか!」


俺はそう言って店長に笑顔を向ける


「そうだねぇ、叔父さんが少し神経質になりすぎてんのかねぇ…」


店長は遠い目をしながら考え込んでいる

…俺は母さんの()を早く取り戻そうと強く思った


「店長、バイト」


「( ゜д゜)ハッ!忘れていたよ、斬夜(ざんや)くん今日は定休日だよ…w」


「えっ?じゃあ何で店長はここに?」


まさか定休日だったとは…(汗)

最近バイトを掛け持ちしすぎたから感覚が可笑しくなってんのかな?


「俺かい?俺はね、お食事だよ」


叔父さんがそういった瞬間、俺がよく知る者

狂獣(デイビースト)】になった…


「…ぁ…店長……?」


違う…コイツは…店長じゃない!!


「グギャッグギュルルルルッ」


「てめぇ!店長を喰ったな!!!」


俺が確信を持って狂獣(デイビースト)に向かって言うと狂獣(デイビースト)は気持ちの悪い笑みを浮かべて


「なゼ、ワかった?」


馬鹿なことを聞いてきた…


「何故?そんなの決まってるだろ…てめぇから店長の血の(にお)いがするからに決まってんだろうが!斬り裂け!!《塵風(ダスト・ウィンド)》!!」


塵風(ダスト・ウィンド)》は空気中に(ただよ)(ちり)を使う力で触れるだけで体が斬り裂かれるものだ


「ウギャァァァァァァァッ」


狂獣(デイビースト)一際(ひときわ)大きな声を出すと地に伏した


「…俺の家族に手を出すからですよ?愚かな獣」


なんですか?

俺が誰か、ですか…フフッ

知らぬが仏というものですよ?

ですが名前だけは教えてさしあげましょうか…



「俺の名は紅月(こうげつ) 零夜(れいや)と申します…蒼月(そうげつ) 陣夜(じんや)殿、では俺はこれにて…」




~ 蒼月 陣夜 ~


僕は今、とても困惑している…


僕は斬夜(ざんや)から貰ったお金で少し買い物をしたあと斬夜(ざんや)がいる店に向かった…

酷く…胸が騒いだから………


「無事でいてよ…斬夜(ざんや)っ」


でも僕がそこで見たのはバイトをする斬夜(ざんや)じゃなくて別の【何か】だった…


「…君は、誰なんだ」


声が震えた…初めて感じた、得体のしれない【何か】への恐怖……


僕がそれに耐えてると【何か】は言った


[俺が誰か、ですか…フフッ知らぬが仏というものですよ?]


頭の中に直接響く、【何か】の声…


「…っ君は!」


[ですが、名前だけは教えてさしあげましょう…]


名前?彼の名前は【紅月(こうげつ) 斬夜(ざんや)】じゃないのか?


「俺の名は紅月(こうげつ) 零夜(れいや)と申します…蒼月(そうげつ) 陣夜(じんや)殿、では俺はこれにて…」


そう言い終わると斬夜(ざんや)の体が傾いた…


斬夜(ざんや)っ…どういうことなの…?」







紅月(こうげつ) 零夜(れいや)…彼はいったい何者なの………





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