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一人目の転生者①

トランプ使いの四人目が転生するよりも

ティシリアが転生するよりも前のお話です。


昔の話

この世界には三つの種族がある。

人間、亜人、魔人。

これだけしかいないのか、と問われればそうではないのだが、意思疎通ができる種族はこの三種類だ。

先程魔族と称したが、意思疎通ができるのはその中の魔人という者たちだけだ。

人間の街と魔族の街、そこに挟まれるようにある大きな森、そこに亜人達が住んでいる。

何万年前かに、人間達と魔族達がお互いの存在を知り嫌悪する関係になっていたのだが、その事に対して魔族を統べる魔王は人間の街に単独で突入。

人間達は何だ何だと慌てふためき戦闘態勢になった、しかし魔王はその事に全く気をかけず、人間の王に直接会いに行ったのだ。

もちろんの様に人間達は魔王に向かって攻撃を始めるが、見えない壁に阻まれ攻撃という攻撃をすべて無に還される。

そして無傷で王の城に単独で乗り込む、王は魔王を目にし恐怖していたが、魔王が王に対して言った言葉はなんとも簡潔、簡単なものだった。それは・・・


「協定、友好関係を築きましょう」


と、なんとも綺麗な笑顔で言い、握手を求めたのだ。

聞くだけだと何ともふざけた話だと笑い飛ばす者が多いが、この話の中に嘘は一個も混じっていない。

何故、魔王一人の実力で圧倒的に相手種族を消し滅ぼせるというのにそうしなかったのか、理由もこれまた簡単で簡潔。


「人間達の考えた建物、教育という制度、娯楽、これらは我ら魔族にはない、この三つを取り入れたいと思っただけだ」


それ以来、魔族と人間の仲は悪く無く、だからといって良好なワケではなく、良い利用関係となったのだ。

人間達は魔族達から何を得たのか?それは魔法だ。

それまでの人間は剣や槍、それを振るう事しかできなかった。

それを知った魔王はならこちらからは魔法を伝授しようと即答したのであった。

ちなみに魔王は何故教育などの制度があるというのを知っている理由、元よりある一人の人間が魔族に迷い込み、無事、安全に街へと送り返した事から始まったのだ。

その人間は魔族に自らの領地の事を教え、魔王はそれに、この荒れた領地をより良い場所にできるか?という活路を見出し、このような結果となったのである。






☆★☆★☆


四人目や、ティシリアが転生する前の、昔のお話・・・




「よしよーし」


魔族の領地にある大きな屋敷。

そこの初代頭首は、魔族の領地をより良くする為大きく貢献した吸血鬼がいた。

名は、ドルイナ・リヴェスト

その働きに魔王は感謝し、大きすぎる領地の一部を収めるという大仕事と同時にそれだけの権威を与えた。

今の頭首は三代目、吸血鬼は基本的には不死ではない、バカみたいに寿命が長いのだ、初代は元より歳だったのと、二代目は早死にしてしまったのである。


「うーん・・・何で笑ってくれないのかな?」


これが俺の知っているこの屋敷の情報だ。

しかし何故こんな話をするのか?それは簡単な事


「そうですねぇ・・・一度も泣いたりしませんでしたし、でも聞きわけ良いですし次期四代目頭首エイヴ・リヴェスト様には将来が期待されますね!」


初めて味わった転生、その行き先は


「そうね!きっと逞しく育ってくれるわ!なんてったって私の息子ですもの!」


吸血鬼一家の長男、将来有望とされた次期四代目頭首エイヴ・リヴェストだった・・・・・・。



☆――――――――――☆



転生、屋敷に住んで二年が経ち、俺は二歳となった。

まだまだ綺麗な発音で喋る事はできないが、意思疎通はできる程度に喋れるようになった。

もちろんそれには皆吃驚、カタコトで喋るという苦痛から逃れれたのだ、これは嬉しい。

あと、転生する際に貰った特典の紹介をしておこう。

槍を扱える事と、力、身体能力、魔力、精神力UP

それと魔法、種類がたくさんあったので血と火と斬の魔法を使えるようにした。

魔法には補助も含まれていたので、[ATKUP Lv1][DEFUP Lv1][HPUP Lv1][MATKUP Lv1][MDEFUP Lv1][SPDUP Lv1]あと吸血能力、これは吸血鬼になってしまったので正直使い道が無くなった。

ATKUPというのは攻撃力UPだMATKは魔法攻撃力である、HPUPはその通り体力UP。

簡単に言えば全部ドーピングスキルである。


「イヴ様ー?どこへ行かれたのですかー?」


部屋の外から聞こえるメイドの声、ちなみに魔人だ、基本的に人型しかいないので別に嫌悪感などはわかない、というよりこの屋敷には美人率が高い。

一応補足、イヴというのは俺の愛称だ

ちなみに今いる部屋は書庫、まるで図書館みたいな量の本、見てて恐怖を感じるぜ。

なんで書庫にいるかというと、色々文献とか魔法書とか興味をそそる物があるからだ、だって魔力があっても魔法使えなきゃ意味無いじゃない。


トットットットッ


部屋の外から一定間隔で聞こえてくる足音、この足音には聞き覚えがある、というより毎回聞いている。


ギィ・・・


ゆっくりと扉が開かれる、そこにいたのは一風変わったメイド、何が変わっているかというと、その前に先に言わせてもらう、かなり美人だ。

そのメイドの名前はミレイラ、目は鋭く、マジで睨まれたらそれだけで気絶できそうなくらい怖そう、だが美人だ、魔人にしては珍しい白肌で(魔人はグレー色の肌が比較的多い、人間と同じ色の肌を持つ者もそれなりに多いが、割合としては 6:グレー肌 3:人肌 1:白肌だ)

出るところはちゃんと出ている、・・・そろそろかな。


「やっぱり、ここでしたか」


彼女がこの書庫に入り約十数秒、隠れていたがまたすぐ見つかってしまった。

ミレイラは俺の事を少しだけじっと見た後

俺は意識を失った。




☆――――――――――☆



「ん・・・」


「あ、お目覚めになりましたか」


ベッドの上、俺はあの後ミレイラに運ばれたのだろう。

では、話を続けようか。

何故俺がいきなりベッドの上にいるかというと、彼女・・・ミレイラは俺に向かって威圧したのだ。

俺はその威圧に耐えれず、気付かず、気絶させられたという事である。

何でミレイラは気絶させたのか?その理由をこの前盗み聞きしてやったが、なんとも面白いものだった


『なんで君はエイヴを一々気絶させ、他のメイドにまかせるんだ?』


『小さい子供に泣かれた事があるので・・・・・・』


というもの

ミレイラがそんな事できる理由は元戦闘員とでも言えばいいだろうか。

魔族と一気に称しているけれど、知能の無い魔族だっているわけだ、そいつらの事を魔物と言う。

魔物は見境なしに相手を襲うので、魔人としても適度に処理しなければならないのだ。

そこで一時期名を馳せたのがミレイラというワケだ、もちろん、超強いです。

ちなみに質問しているのはこっちの世界での親父、三代目頭首グレイヴだ。

名前が似ていると思っただろ?いつもこの親父・・・グレイヴは俺に対して気持ち冷たいというか、まぁ優しくはあるのだが、あまり喋った事が無い。

でも俺の名前の由来を聞いた時は少し笑ってしまった。


『自分でいうのは少し気が引けるが、最近仕事の方が多忙で息子と接する事ができないかもしれない、でもそのせいで家を開けて息子に忘れられるというのはきついものがある、だから・・・

名前の一部分に俺の名前を入れてくれないか!?』


こんな感じだったらしい、何故知ってるのか?母さんが勝手に言ってくれた。

親父よ・・・名前の中に入れる理由が俺には分かりません・・・




☆――――――――――☆




あれから三年、5歳だ。

どうやら力、身体能力UPとかは身体が成長していくと同時にその能力も成長するらしい、おかげで・・・


「・・・・・・!?な、何ともないのですかエイヴ様!?」


「んー?何かした?」


こんな感じ、精神力UPの後押しで、ミレイラの威圧(手加減)に耐えきる事に成功したのだ。


「え・・・ぁ・・・と・・・」


いつもキリッとした彼女の珍しい一面である、慌ててる慌ててる、可愛いものよのう、って観賞してる場合じゃないな、おそらく見つけたら連れてきてっていう指示があるんだろう。

けれど小さい子供に泣かれたっていうのが結構心にきて、俺にまで泣かれたらどうしよう、って感じなんだろう。

今思えばミレイラに抱っことかされた時全部俺が気絶してる時なんだっけ。


「あとイヴって呼んでよ、ちょっと変な感じする」


「は、はい・・・分かりました・・・イヴ様」


様付けなくていいっつの、まぁ雇われてる身だから付けないとダメって感じか


「ミレイラがここに来たって事は僕を探してるんでしょ?じゃ、いこっか」


ミレイラが固まったまま動かないので仕方なく俺が先導する、おいおい大丈夫かー?


「そ、そうです、って何故私の名前を?」


動揺したようで、聞いてくる

そういや彼女自身から聞いてなかったな、名前。


「聞いた、僕をいっつも見つける人の名前」


「なるほど、そうでしたか」


おっ、なんか落ち着いて来たみたいで、うんうんと納得してる。

ま、ちょっとほっときゃ勝手について――――――――――うぇっ!?


バタン


見事に転んだ


「大丈夫ですか!?」


ミレイラがびっくりして、すぐ駆け寄ってくる、大丈夫だ、問題無い。だがしかし何もない所で躓くというのは大問題だ。

なんというか、老人がするようなこけ方をして妙な悲しみが身体に流れてくる、嗚呼、嗚呼。


ひょいっ


おう!?


「良かった、御怪我はされていないようですね、またこけられたりしたら困るので、このまま行きますよ」


ああ、そうか、俺が何も返答しないからか、悲しみに耐えるのが精いっぱいだったんだ、許せ。

・・・・・・半分狙ってたけど





☆――――――――――☆




魔法、それは俺にとっちゃ憧れだ。

何故かって?一度は使ってみたいだろ?


「コツさえ掴めば簡単・・・」


俺は無断で屋敷の外に出て、魔法の練習をしていた。

正直速攻でミレイラに見つかったのだが、なんとか頼みこんだところお目付役として見てくれる事になった。

ん?吸血鬼なのに外に出て大丈夫なのかって?

別に全部が全部日の光がダメなわけじゃあない、ドラキュラ伯爵なんて夕日を眺めたりとかしてるはずだぜ?

ま、そんなこんなで日の光は効かないのだ、夜はパワーアップするけどな。


「そらっ!」


炎を丸い形に収め、放つ。見た目ファイヤーボールだ。

俺が魔法を使える事に驚き目を丸くしているミレイラ、悪いな、皆に内緒で書庫に籠ってコツとか掴んでたんだ。


その日はいつもより寒く、ミレイラに戻りましょうって言われたので、そそくさと屋敷内に戻った。


この世界に来て約5年間、未だにファイアーボールもどきしか放てない・・・ちくせう・・・。

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