二話
色々急いで書いていたのでお見苦しい部分が出るかもしれません。
その場合はご指摘いただけると嬉しいです。
今回は短いかもしれません、基本5000文字は越えようと心掛けていても中々難しいですね。
別に評価点を付けてほしいなんて思ってないんだからね。
「おねーちゃん、こっちこっち!」
「分かったって!急ぎすぎだよ!」
現在少年と共に森の中を駆けている。
何故かというと、老人・・・村長からの頼みだからだ。
☆数十分前☆
「ト、トランプ使いぃ?」
「そうじゃ、トランプ使いじゃ、何だ?わしの言った事が信じられんのか?」
「ああいや・・・そういうわけじゃないんですけど」
トランプ使いって・・・なんだ?何ができるんだ?あと本当にそうなのか?
俺はポケットの中のトランプを取り出し、箱を開け中身を出した。
「おお!それはトランプじゃないか!お主どこで手に入れたのだ?」
俺がトランプを持っている事に驚いている。いや百均とかで買えるでしょ?
「いや、貰ったんですよコレ」
「こんな高価な物を貰ったのか!」
こ、高価ぁ?
もしかしてこの世界ではトランプって良い物だったりするのだろうか
そんな事はさておき、優先すべきは才能、トランプ使いだ。
大して凄い事できなさそうだし・・・何なんだろうな?
俺は何となくトランプをきりつつ考えていた。
余談だが俺はトランプをきるのが苦手だ、そう苦手なのだ。
「え?」
「どうかしたかの?」
「トランプきれてるじゃん俺!?えっ!?」
シャッシャッシャッとスムーズに淡々と一切のブレが無い
きりかたは花札と同じあの馴染み深いきり方だ、俺はそれが苦手だったのに今できている、もうこれだけで答えを言ってるようなものだろう。
トランプテクが神懸かっているという事だ。
ちなみにヒンズーシャッフルという名称らしい。
俺の覚えている範囲でのきり方、シャッフルの仕方は思い出しながらイメージだけでやってみても・・・
「で、できた・・・」
俗に言う、リフルシャッフルというものだ。
二つに分けて、合わせる、続いてファローシャッフル、これも似たような物である。
ただの思いだしでやっているだけなのにトランプが勝手に合わさっていく感じ、まるで生き物の様に動く。
ついでに友人が練習していたトップショット。
シュパッという音を出しながら弾き飛ばし右手で受け取る・・・おいおい一発でできちゃったよ。
「お主、貴族の出か?」
何故ここで貴族が出てくるのだ、というかやっぱり貴族とかあるんですね。
「いや・・・違いますけど」
「そうか、その割にはトランプの扱いが手慣れておるの・・・」
聞く限りじゃトランプってのは貴族とかそこらへんの奴らの遊びらしいな、いやはや、貰っといて良かったわぁ。
右手でカードをマシンガンみたいに弾き飛ばしながら左手で全部受け取って遊ぶ、かなり楽しい。
「あの・・・ブラックジャックしません?」
なんとなーく聞いてみる、すると
「よかろう、それなりに知識は持っているからの」
おっ、乗り気だ、別に何かかけるわけじゃないし大丈夫だろ。
というかブラックジャックってこっちにあったんだな、大富豪、大貧民とかもあるのかな。
俺はヒンズーシャッフルをし、一枚づつ配る。
一応俺がディーラーという事にして一枚だけ表を向ける、Kだ。
俺には分かる、伏せてあるカードはAだっていう事が。
しかも、老人に配られたカードが何なのかさえ分かる。
彼には3と9、合わせて12だ、だからといって次のカードを引くとQが出る。
何番目に何のカードがあるのか、相手に何のカードが配られたか、すべて分かる。
「まさか、これがトランプ使いというものなのかッ!?」
「いきなりどうしたんじゃ?」
「ああいや、なんでもないです」
正直俺の勝ちは確定だ、21だもん。
「・・・ヒットしないんですか?」
「いや、貰おう」
俺は一番上のQのカードを差し出した。
ちなみにヒットというのはカードを引くという意味だ。
老人はQのカードを見ると、むっと嫌そうな顔をした、うん、そりゃ負けたら嫌になるわな。
「バストじゃの・・・」
「という事は俺の勝ちだな」
そりゃあ俺が勝つさ、仕組んだからね。
ヒンズーシャッフル、リフルシャッフルの間にK、3、A、9っていう並びに仕組む、普通じゃできないだろうけどもできてしまったぜ。
カードを纏めもう一回トランプをシャッフルしまくる。
ついでに何で俺がこんなに専門用語的な言葉を使うかと言うと、友人がそっち関係に詳しかったというだけだ。
でもそんな知識はこの世界じゃ覚えて当たり前って感じなのかな、老人知ってたし。
「で、これからお主どうするんじゃ?」
「どうするって?」
「これから行く当てはあるのかの?予定があるならいいのじゃが・・・」
「あっ」
そっか、俺こっち来てから衣食住の計画ゼロじゃないか、これはまさか衣食住を提供してくれるというのか?まず聞かないとな。
「いや・・・すみません、行く当ても何も無いんですよね。
申し上げにくいんですが衣食住を提供していただけると・・・」
「ああ、構わんぞ、そのかわりと言っちゃなんだが・・・」
「はい?」
☆★☆★☆
そして今に至るわけだ。
「こっち!こっち!」
「分かったって・・・」
まるで森が庭と言っても過言じゃない程スイスイ進んでいく少年、ちょま、早いって。
ちなみに老人・・・後から聞いたが村長らしい、彼が俺に頼んだ事というのは、少し離れたところにある果物の木の安否を確認して欲しいっていう事だ。
最近じゃその付近でドラゴンがうろついてるっていうんで行ってないらしい。
すぐ行ってすぐ帰れば安全だと思うからこの少年を道案内にして見に行って来て、という事である。
「ここだよ!」
少年は足を止める。
景色としては同じ森なのだが、そこからは奇妙な色をした木の実などがたくさん成っていた。
これを見る限りなんら問題は無さそうなんだが・・・
「どこも変なところないね、よかった!」
無邪気に笑う少年、やっぱ何かおかしい、おかしいというか何かがいる、ね。
「そうだね、大丈夫みたいだ。えーとね・・・先帰ってていいよ」
「え?どうして?」
くるっと振りかえって聞いてくる少年
「いや、ちょっと気になる事があってね・・・」
「うん!分かった!」
言うと少年はさっさと村への帰路をたどって行った。
いやぁ子供で助かったな・・・大人とかだったら、果物を盗って行くんじゃないだろうな!?とか言われそうだし。
とまぁ何で先に帰ってもらったか理由を述べよう。
「おい、そこの木の後ろで隠れてんじゃねぇぞ。[観察眼]」
言い終わると同時に観察眼を発動、このスキルを詳しく説明すると
瞬時に目に映った情報を処理する。
すなわち、動体視力も上がっていると言っても間違いじゃない。
加えて、細かい、小さい物も確認できたりする。
「グギッグググッ」
木の後ろから出てきたのは緑の人型、俺の知るファンタジーモンスターで例えるならゴブリンが妥当だな、そんな奴らが三体、一体は剣を持ち、他2体は木の棒を持っている。
「初戦闘だな・・・」
ゴブリン達は今にも斬りかかるぞ!殴りかかるぞ!って感じに構えている。
俺はレイピアを引き抜きなんとなく構える。
ちなみに観察眼の効果継続時間は今のところ30秒だ、俺の体力が無くならない限り連続で使用ができる。物凄く目が疲れるけど。
「グギギッ!!!」
ゴブリンが剣を両手持ちで走り寄ってくる
「[観察眼]」
連続使用、動体視力等を底上げしゴブリンの動きを見切り・・・
「グゲェッ」
俺は剣を半身反らしでギリ避け、右手に構えたレイピアで胸を貫く。
スイッとレイピアを引き抜き、ダラリと前から倒れたゴブリンが力尽きた事を確認する、どうやら急所に上手く当たったようだ。
経過時間10秒程。
「グギギィッ!」
「グゲーッ!」
気味悪い声を発しながら木の棒を掲げ、さっきと同じように走り寄ってくる、だけど俺は待つつもりは無い。
ちゃんと背負っておいた弓を出し、レイピアを戻す。
どこからともなく出てきた矢を引き、放つ。
弓の経験がゼロの俺が放った矢は吸いこまれるようにゴブリンの眉間に刺さった。
「命中率UP・・・凄いです」
自分の能力に感動している俺に向かって残ったゴブリンが走ってくる。
俺は弓を背負い、レイピアを抜き、木の棒ごとゴブリンの眉間に突き刺す。
「グゲ・・・ゲェ・・・」
引き抜き、汚い物がついた刀身を軽く振り、遠心力で飛ばす。
初めてこの世界で殺傷をしたワケだが、大して何も感じたりはしなかった、三つの死体を俺が作ったんだなー、程度だ。
「帰るか、初めてにしちゃ上出来だろ」
☆――――――――――☆
「あの女、結構やるみたいですぜ」
果物の成る木の後ろで数人が座り込んでいた。
ある一人がその中の一番いかつく、リーダー格と思われる者にそう話しかけた。
「そうだな・・・アイツだけには気を付ければいいだろう、計画は明日の夜だ、いいな?」
「うっす」
「了解」
「・・・」
☆★☆★☆
「ただいま戻りました・・・と」
ゴブリンを処理した後俺は大して寄り道せずに村へと戻った。
迷ったかと一瞬怖くなったがそんな事はなかったので安心して欲しい。
「おお、戻ったか、どうしたんじゃ?一人で留まるというのは」
老人、改め村長が聞いてくる、一応俺は村長に駆け寄り耳元でさっきの事を話した。
「そうか・・・それにしてもお主結構腕が立つようじゃの」
「ええまぁ・・・それほどでも・・・」
「いや、結構な事じゃ、今日はゆっくり休むといいわい」
「ありがとうございます、それじゃお言葉に甘えて・・・」
と、俺は貸してもらった家に言って寝るはずだった。寝るはずだったんだ・・・
「くっそォ!また負けた!嬢ちゃんつえーなぁ!」
「あはは・・・運が良いだけですよ」
夜、老人がうっかりトランプの話をしてしまったらしく、俺がディーラーで村人数人相手にブラックジャックなどをするはめになったのだ。
「いやー、惜しかったなさっきの・・・引かなきゃよかったぜ」
・・・もちろん全勝している。
途中で負けそうっていう演技もしてみせたが、全て勝っている。
俺と勝負するという時点で貴様等はチェスや将棋でいう『チェックメイト』になったも同然なのだ
ってな。