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心の葛藤

要注意

合戦の模様の描写があります。

川今家の領地に入ると、刀のかち合う音と怒声が響き渡っている。

馬が何頭も行き交い、川今の旗を靡かせている。

侍同士はいいが、連れてこられて無理やり兵士になって槍で戦っている農民は

逃げ回っている。


「おお~、合戦中かっせんちゅうだね」

マニアな藤二郎は、早速ビデオを片手に嬉々として撮影を開始。

「藤二郎さん、ビデオ回さない」

「まあまあ、固い事言わない」

隣りで合戦の様子を伺っていた壮一郎は、藤二郎のマニア振りに呆れていた。


ついに火ぶたが切られたのか、川今家のお家騒動は喧嘩から戦にまで発展したようだ。

話し合いをするにも、どちらかが勝ち、落ち着くまでは話し合いもままならないと考える。


「ここまで頑張って歩いた甲斐がなかったな」

「いやいや、これほどの合戦を記録出来たんだ。頑張った甲斐はあったよ。壮一郎君」

「叔父さんはね」


目の前で真剣が振り回され、人や馬がリアルに倒れていく。

田は、血の赤に染まり始め、稲が倒れていく。

「本当に人が殺されていくんだな」

「自衛隊としては、どんな?」

「武器が違うからな。銃は、即死が多いはずだ。脳か心臓を打ち抜くように狙いが決まっている。

刀は、しばらく完全に意識が無くなるまで時間があるから、苦しんで亡くなるらしい」

「そうなんだ」

「鉄で出来ている刀は、人を殺めるのに5人が限度だ。血が付けば、なまくらになる。

昔の猛者は、2,3人切ると、倒れた武士のまだ新しそうな落ちている刀を拾いつつ対応しているくらいだ」


「生々しいな。跡継ぎ問題なのに、人がこんなにも大勢犠牲になるなんてさ。バカバカしい話だ」

「現代は、話し合いとか会社なら別会社を立ち上げるとかあるけどなあ」

「この時代、毒殺もあるから。生きていくのは大変だな」

しみじみと戦国時代の生活について語り合い、合戦の流れを眺めた。


隠し持っていた腕時計が4時を示したところで、4人は立ち上がり、夕暮れ時にようやく隠れ里へ着いた。


薄暗い時間帯、村の者達は家へ戻っているようで、外にいる者はいない。

やけに静かだ。

今回初めて2日遅れの到着で、1度現代に戻って休憩してから

改めて2日前に飛んだ方がいいのか迷ったが、そのまま偵察の報告とか対策をしたくて

そのまま父、叔父と従弟も連れて入村した。


「ここが隠れ里か。すっかり暗くなって分からないけど、村なのか~」と

貴は暗くなってもその掘っ立て小屋のような家々を見回していて

叔父はといえば、またビデオカメラを回している。

「暗視も出来るカメラで、暗くても大丈夫だから」

「そういう問題なのだろうか」

暗視スコープもあるけど、使うかと手渡される。

「暗視スコープか」

「こんなに暗くても、結構見えるよ」

壮一郎は、何気なく手に持ち、彩の待つ長の家へ方面を歩いていくと、

家の裏手方面から何か争う声とくぐもった声が聞こえ

何だろうと、壮一郎は足を延ばした。

ひょいと顔を覗かせ、手に持っていた暗視スコープで薄暗い中、見てみる。


「な・・」


壮一郎が慌てて走り出したので、父親と伯父、従弟も慌てて追いかけた。


ガシッ。

かなり痛そうな音が辺りに響き、誰かが吹っ飛ばされて呻いて悶える声がする。

「壮一郎?」

父が追いつき、その場面を見て絶句した。

父達の気配に、慌てて壮一郎は彩の口元の手ぬぐいと手首のいさめを解いた。

「何が起こっているんだ?」

貴が顔を手で覆って呻いている男を睨みながら、腰に手をあてた。

壮一郎が震える彩を抱きしめると、彩が「旦那様、旦那様」と泣きながら抱き着いてきた。


「彩さんか?何故?」


壮一郎の腕の中、大泣きしている彩について、父らは何かを察した。


薄暗いので、悶える男をす巻きにして貴が引き摺り、長の家の前に立った。

扉をノックすると、長がゆっくりと明かりを灯して出てきた。

「・・壮一郎殿。光一郎殿も」

壮一郎と父の姿を見つけ、彼はかなり驚いていた。

「彩」

壮一郎に抱きかかえられるように娘もいた。その背後には、2人の見知らぬ男と

殴られた跡がある自分の弟の息子。

「・・・お前」


「どういう事になっているのか、聞かせて欲しい」

低い声で壮一郎は、長を睨み付けた。





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