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敵情偵察

「へえ、ここが戦国時代なんだ」

貴は、着いた途端、辺りの山々を見渡し観察。

「うわあ、憧れの戦国時代~」

と、藤二郎はいつの間にか持ってきていたビデオカメラを回している。

「電線がないよ」

「道路がないね」

「おお~、鷲か鷹か」

「とんびだよ」


どう見ても観光に来ているような2人だ。


「あの、叔父さん?貴?」

流石に壮一郎もこれで大丈夫なのかと不安になりつつも、緊張感のない2人を注意する。

「あ、そうだった」

「すまん、すまん」

彼らは明るく謝罪するのみ。

そんなへらへらした雰囲気を壊したのは、父 光一郎。

眉間にしわを寄せていて、顔が怖い。

「あほか。緊張感のない奴らだな。しゃきっとしろ」

ゴンと、2人の頭に拳骨。叔父は慌てて兄である光一郎に、ペコペコ謝罪。

貴は、土下座している始末。

壮一郎はこのよく分からない関係を不思議に思っていると、呆れた父は先に歩き始め、

壮一郎の隣に並んだ2人はバツが悪そうにしている。


「壮一郎君。兄は、怒らせると怖いんだよ」

壮一郎兄そういちろうにい、伯父さん怒らせると、半端ないから・」

過去に何かしでかした事があるのか

2人で半泣きされるとは思わなかった。



とりあえずこのまま奪われた村へ行くので、そのまま隠れ里を後にする。


しばらく山道を歩き、目的地前にある高台から、奪われた村を眺めると、田は青々として見える。

踏みつけられて酷い状態の田畑もあるが、半分は助かっている様子だ。

貴は、望遠カメラを設置し、父は貴の持ってきたカメラ機能が付いた鳥を飛ばした。


武士の人数は、望遠ビデオカメラで確認。

「結構いるもんだな。怪我人もいるのか」

望遠でビデオ機能に収めると、貴はメモし始める。


その背後では、動画カメラ機能が付いた鳥からの情報を小型テレビで確認していた

藤二郎がその生活ぶりをチェックしている。

「まずは、どなたが領主なのかですね」

いろいろ汚い恰好した野武士のような出で立ち。

もしくは、戦衣裳の男達。

「そうだな」


彼らの話す声を拾いつつ、カメラ機能をPCへ取り込み、ひとりひとり名前をチェックしていく。

そして、あることに気付く。

「この若い侍。若って呼ばれてるな」

「若 ってことは、この人が領主?」

「話の内容からすれば、領主の息子で、二男ということか」

この若い男と話し合いか、それとも・・。

いろいろ計画案が浮かびだす。


「あ、これを見てくれ」


別の画面に切り替えると、領主ではなく、ちょっと雰囲気の変わった5人が映し出された。

鳥に追跡させると、村外れまで移動し、離れた一軒の家の裏手へ回った。

5人の前に、草陰から今まで人数には入っていなかった武士が顔を出した。


「どうやら新手ということかな」

藤二郎が戦国時代マニアで、裏事情を調べることも好きな人物だったこともあり

嬉しそうにしている。

新手あらて?」

「そう。この草陰から出て来た武士。もしかしたら、高塚家を乗っ取った連中の仲間じゃないかと

私は思うな」

「この5人は、スパイ?下剋上してさらにまだ生き残りの二男を殺すつもりということか」

「そうだろうな。生き残っていれば、また仕返しにくるからな。この村に集まった武士達は

高塚家の家臣だ。そこの5人は、ここにいる全員を殺す使命があり、命令した奴は、

確実な乗っ取りをしたいと見た」


彼らは、1週間後にこの村を襲う事を知らされ、二男の首を取る指令を受けていた。


「これは、ほっといてもこの村の武士達は自滅か。それでも領主の息子二男と話し合うか?」

父が壮一郎に尋ねた。

「ああ・・。その前に、高塚家を襲った奴らがどんな奴かを確かめないと」

「そいつらが村に危害を加えるようなおかしな奴らか確かめるのか?」

「ああ。二男とそいつらとどちらがマシか。領主としての器を確かめたい」


どちらに運命を任せてもいいのかを確かめて、どちらかに加担する。


「調査結果を報告がてら、この話は、長に相談した方がいいぞ、壮一郎」

「そうだね。この時代に住んでいる彼らに決めて貰った方がいい」

真剣に父子がやりとりをしているというのに、その両脇にいた2人は

楽しそうな雰囲気になった。

「いよいよ隠れ里へ?」

「壮一郎兄の奥さんとようやくご対面かあ。お披露目のパーティーは、再来週だったか」


緊迫感のない2人に、壮一郎は米神を抑えた。


「君ら、何しに来てるか分かってるのか?」

壮一郎が切れると、彼らは笑っていた。壮一郎をそれほど怖いとは思っていないので、

舐められているわけだ。

「もちろん、君に協力だけど」

「この時代の観光も兼ねてます」


やっぱり・・、と、壮一郎は項垂れた。

その壮一郎の背後の父は、怒り顔でやはり弟と甥の頭に拳骨を落としていた。








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