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自転車

作者: シュウ

僕の自転車は後ろに荷台の付いた、いわゆるママチャリだ。

その荷台に一人の女子高生が横向きになって両足をそろえて乗っている。

もちろん動力源は僕の脚力である。


「あのさ、そろそろまたがって座ってくれない? バランス取るのが難しんだけど」

「慣れなさい」

「いや、慣れろって言われても、さっきから何回足ついて止まってると思ってるのさ」

「この運動音痴」

「もう自分で歩いてくれません?」

「すみませんでしたー」


そんなやりとりを終えて、また脚力を自転車の推進力へと変えるために、ペダルをこいでいく。

自慢ではないが、僕は運動音痴でバランスをとるのが苦手だ。

彼女はそれを承知で僕の後ろに座っているのだ。

でもただ座っているだけなら問題ないんだけど、僕の背中に重心をあずけて寄りかかってくる。

嬉しいことは嬉しいんだけど、自転車をこいでる時以外にしていただきたい。

でも普段はこんなことしてくれない彼女だから、僕にとってはとても複雑な時間だ。

彼女は無意識にやっているのか、それとも意図的に邪魔するためにやっているのかどうなのか。


「おー。うまいうまい。その調子で家まで帰ろー」

「今集中してるんだから話しかけないで!」

「はいはい」


褒めても伸びないタイプの僕に見切りをつけると、彼女はまた僕の背中に寄りかかってきた。

それでバランスが崩れそうになるがなんとか持ち直す。

フフフ、と彼女のささやかな笑い声が聞こえたが、今この時間を長く続けるために、僕はバランスを取りながら自転車をこいだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



道を歩いていたら見かけた二人乗りカップルを見て思いついた話です。

妄想乙とか言わないでください。


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― 新着の感想 ―
[一言] 妄想乙! とまあお約束はさておき。 こういうほんのりと甘い雰囲気、いいですよね。
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