タマを捕まえようとする
おれと凜が近づいてもタマは逃げなかった。
「あんな事されたのに、ケガひとつしてない……」
「にゃあ!」
「しているらしい」
「えっ!? どこかケガしているの?」
あせる凜。タマを抱き上げようとするが、逃げられた。
「心が傷付いたんだと」
凜に睨まれた。
「仕方ないだろう、タマがそういってるんだ」
「あなたタマちゃんの言っている事が分かるの?」
「使い魔だから。タマ、おれの言っている事が正しかったら二度鳴いてみろ」
タマとの絆を見せて優越を得ようとした。
………
……
…
「反応ないわね」
凜が残念なヤツを見る目を向けてくる。
「タマぁ~」
あくびをして顔を洗い出しやがった。
本気で殺意を覚えた。
凜に腕を掴まれる。
「止めるな、タマを殺しておれも死ぬ」
「その台詞、使い方間違ってる」
突っ込まれた。
「くっ、いつか後悔させてやる」
タマよ、覚えておけ。
「ねえ、尻尾に指輪が」
見るとタマの尻尾の根本に指輪がはまっている。ネコの尻尾は人の指に比べてかなり太いし逆毛になるから指輪がはまる訳がないのに。おかしい。
「あれを取り返せばいいのね」
「まて」
凜はおかしいと感じていないようだ。
止めようとするが一瞬、間に合わなかった。まさかタマが凜を襲うとは思わなかったので油断していたのだ。
凜がその場で意識を失った。