襲われてた
女子寮の裏庭にいくと、何故か益田女史がいた。
スカートが破けている。上着もボロボロだった。
「あーっ、ごめん、ごめん」
倒れそうによろける益田女史に駈け寄る。
「ちょっとごめんよ」
邪魔するヤツがいたので軽く手でどけてる。何とか益田女史を抱き止める事ができた。
「キミは……ひどいな」
睨まれたから目をそむけた。
「べ、べつに忘れたわけじゃないんだからね」
痛っ。
ツンデレしてみたが通じなかった。益田女史に脇腹を殴られた。
「キ、キミは私を守るんじゃなかったのか」
年上の女性が涙目でいうことではないだろう。あー、でもちょっと意外性があってそそられる。いいかもしんない。
ちょっとしゃがむ。
「悪かった。でも近くにいないと守れないじゃん。それにこんなところで勝手にボロボロになってもオレにはどうしようもないよ。今、ここに来たのも偶然だし」
ブーン。
飛んできた虫を手で弾く。
「ちょっと、あなた何やってるのよ」
「ん? どうした?」
凜の方を見るとなんか慌てている。オレは益田女史を抱きかかえながら凜の方に近づいていく。一度体勢を立て直して益田女史の膝をとってお姫様抱っこする。
面倒だったのでそのままジャンプした。
「ちょっと危な!!」
凜が後退る。
おれは体を横にずらす。
「今回は失敗したけど、次からちゃんとするからさぁ。そんな怖い顔しないでよ」
「キミは、天国には行けそうにないな」
「おれもそう思う」
踵で小石を後に蹴る。
「いー加減にしろ!」
「凜、どうかしたのか?」
後に一歩移動する。
「あたしは何も言ってないわよ。っていうか」
凜が頭を押さえる。
「……その子、涙目になってるわよ」
うん。蹴飛ばしたらその場に顔面から地面に激突している。見るとちょっと鼻から血を出している。
「益田女史の格好をどうかしないといけないな。とりあえず家に戻ろう」
オレはそのまま歩き出した。
「無視するなぁ!」
何を言っているんだ?
あっ!? ホンキで泣きだした。
「さすがに可愛そうではないか?」
「……」
まったく。
「凜、益田女史を頼む」
おれは凜に益田女史を任すと、振り返ってはじめてそいつと視線を合わせた。
そこには益田女史を襲っていた天使がいた。