捜す
タマを捜すための人手を集めることはできない。
何故か?
益田女史以外だと凜しか知り合いがいないからだ。知り合いが少ないのはおれがそもそも受業に出ていないから仕方がない。
凜はタマとお近づきになろうと餌付けを試みていたから何か知っているかと思い、凜のクラスに向かった。ちなみにおれのクラスでもある。前に来てから何日経っているか分からなかった。そもそも来た回数を数えた方が早い気がする。
久し振りにクラスにいくとおれに気がついた生徒がざわつく。気にせずにおれは凜に近づいていきその手を掴んで廊下に向かった。
「いきなり来て、何するのよ」
凜が俺に掴まれた手を見ながら責める。廊下で手を繋いでいるのは恥ずかしいのか?
凜を見ると僅かに頬を赤くしているのでおれは手を離そうとしたが、逆に凜が握りしめてきた。なんだ問題ないのか。俺は手を離すのを止めた。
「なあ、最近タマを見なかったか?」
「タマ? きのう女子寮近くでエサをあげたけど」
なるほど。堕天使が憑依しているといっても所詮は畜生だ。エサをもらえるポイントを心得ている。そういえばしばらくエサをあげていなかったことに気づいた。
ひょっとして飢えていたのか?
「サンキュー」
おれは今度こそ凜の手を離して立ち去ろうとした。
立ち去ろうとしたが、後から腕を回されて顎をロックされる。
「く、苦しいんだが」
「まだ午後の授業があるのに何処行くのよ。だいたいたまには授業にまともにでなさいよ」
「い、息が出来ん」
息ができないくらい、どうということはないけれど。
凜が力を弛める気配がないので、そのまま歩き出す。凜のつま先が宙に浮き、歩く度にぶらぶら左右に揺れる。その度に背中に凜の胸が当たる。
貧乳なので微妙な感じだけど。
「死ぬ?」
これだけ密着していると魂の一部を譲渡した凜にはおれが何を思っているのか分かるのか、首を絞める腕の力がぐっと増した。
首が折れそうだ。
おれが女子寮まで行くと告げると。
「あなただけで女子寮に近づいたら通報されるでしょう。だからあたしも一緒にいく」
「いいのか?」
「いいわよ。そのかわり」
おれに代償を求めることの意味は教えたはずだが、まあいい。だいぶ整流回路のおかげで理性がはたらくようになっていたからいきなり襲いかかる衝動にはかられなかった。ずいぶん丸くなったと自分でも思う。
「何かしてほしいのか?」
「……あのね、こ、こ、今度デート……して」
「いいぞ」
何を言うかと思ったら、凜がデレた。