守ってあげる
「しばらくすれば、タマも飽きて返してくると思うからちょっと待ってくれないか?」
「なんで物の怪の肩を持つのさ」
「ネコだから」
おれはネコが好きだ。タマをそれなりに気に入っている。物の怪だろうと構わない。
おれを殺せる可能性があるならなおさらだ。
「しかし、それでは私が神族に殺されてしまう」
そういえば益田女史は悪魔だった。
「そんなに神族が襲ってくるの?」
「いろいろ恨まれているからな。もし私が指輪を持っていないことを知られたら、すぐに襲われてしまう」
「ふーん」
おれには何故嫌いあっているのかよく分からないが天敵とはそういうものらしい。
「んじゃ、おれが指輪が戻ってくるまで守ってあげる」
驚いてこちらを見る益田女史に軽く微笑んで手を差しだす。
「いちおうタマの主はおれだし、そもそも益田女史の事を見殺しにするつもりはないから。もし神族が襲ってきたらおれが守ってあげると」
「でも、確かにキミは強いと思うがとても神族に勝てるとは思えない」
普通の反応だ。
おれは益田女史を抱き上げた。
「おれを誰だと思っている? 神族など瞬殺してやる」
しかし、面倒だ。
タマよなんで益田女史に見つかるようなまねをしたのか。あとで問い詰めてやる。
とりあえず指輪が戻ってくるまで益田女史を守ることでタマのことは見逃してもらう条件を益田女史と合意した。