1-8 ヴァンパイアの王
『主人、あの村に戻らんか』
いきなり何言い出すんだ、ソウ。
俺の服が似合わな過ぎておかしくなったか。
いや、元々おかしかったんだろう。
さすがに変だよなこれ。周りの人と同じはずなんだが・・・
織田信長がフリルのドレス着てる並に変だよな。
『いや・・・言い方を間違えた。一緒に戻ってくれ』
どこが違うんだ。織田信長のちょんまげが火縄銃に変わった並に違いが分からん。
『まげと火縄銃はさすがに違うと思うが。お前の主義は何じゃ』
美しい女性の頼みは断らない。そんな当然のこと聞くな。
織田信長が宇宙戦争ではかなく散った事並に当然のことだぞ。
『いや・・・言い方を間違えた。主人、お前の首をはかなく散らしてやってもいいんだぞ』
はぁ~、1日に2度も山を走って超えることになるとは。
さっきとは違い、腹は減ってないが。
町の食事はなかなか良かった。
おなじみの穀物は、煮られていたし、しっかり洗った野菜が出てきた。
肉も食べたかったが、ここは宗教信仰者が多いみたいで(勝手な推測)肉はなかった。
『主人、今日から少しずつこの世界のことを教えることにする』
そうか、まあ必要だろうしな。ソウ、意外と良いやつだったんだな。
『冗談言うな。足を引っ張られてはこの先大変だと思っただけじゃ。まず一般常識を、町人の生活をモデルにして・・・・・』
結局レイシーさんの村に着くまで話は続いたのであった。
「・・・そして捕まっていた人たちはあの村に戻ったのか」
「はい。予想外の出来事でしたが、良いほうに転がりましたね。魔法使いをさらって来て、逆に占領されるとは、やつらも自業自得ですな」
ここはヴァンパイアの国の一番奥の屋敷だ。
この屋敷は代々そのときの王が住んでいる。
「その魔法使いに是非仲間になってほしい。15年間ずっと待ち続けていたチャンスじゃないか。強化鉄を溶かし切るとは相当の腕なんだろう」
「その魔法使いは黒い髪に、白と紺の変な服装で、まだ青年らしいです」
「!!・・・優秀なのは、そいつ自身より、精霊かもしれないな」
私は森に行く、とヴァンパイアの王は、笑いながら屋敷の隠し通路を歩いていった。
「面白いお方だ」
秘書のセイヴェスは楽しそうにつぶやいた。
「すいません、朝出て行って夕方にまた来るなんて」
「いえ、いつでも歓迎しますよ、それより半日で町まで行ってきたんですか?」
レイシーさんのお父さんの顔は今日は赤くない。
普通の顔だ。う~~ん、なかなかかっこいい。
「ええ、まあ。それより、あっこの屋敷と、今までの話を聞きたいんですが」
これでいいのかソウ。
『ああ、夜はまたここに泊まるぞ』
またここかよ。町で敷物でも買ってくればよかった。
「まずレイシーを呼んできます。おい、レイシー。」
「何ですか?お父さん」
呼んでくるってわりに早いな。
『ちょっと黙っといてくれ』
・・・て、え~~~~!!
目の前に赤い尻尾が現れた。
「主人に1つ1つ聞いてもらうのも面倒じゃろう。話は後で聞かす」
その後1時間は聞き取れる単語はなかった。
なので森で自己加速と人差し指の炎の練習をすることになった。
ほんとにここでまた寝るのか。嫌だな。
『そうじゃのまあ我は主人に取り付いたまま寝るが』
てか、何で出てきて話さないんだ。もうお前のことは知られてるだろ。
『足が汚れる。しゃべるのは魔力使う』
どんだけめんどくさがりの潔癖症なんだ。
苦労を知らないとろくなやつにならないぞ。
ナマケモノが木に登るの嫌がってきれいな部屋でポテトチップス箸で食ってるようなもんだぞ。
『そんな話は止めてこの村の話をしてやろう。この村は15年ほど前まではとても平和だった。森を越えたとこの村は、ヴァンパイアに襲われていたらしい。そして15年前から隣の村は襲われなくなりこの村が襲われ始めたそうじゃ。
ここからは我の仕えていたヴァンパイアの国の話が混じるが、襲われた人たちはヴァンパイアの飲む血を毎日とられて過ごした。ヴァンパイアにとって血は人間で言うとこの高級な酒のような物でかなり高値で取引される。その血を集めるところが我の仕えていたとこじゃ。
そして15年前、森の中にあったその施設は、今の窪地に移された。理由は簡単じゃ。森につながる通路より広く使いやすい通路が出来たからじゃ。その通路を作ったのはそのとき変わったばっかりの王じゃった。
どうじゃ、面白いじゃろう』
ふぁ~~~ぁあ。どこが面白いって?まあいいや。結局どうすればいいんだ。
『明日は森の探検じゃ!』
明日とあさって部活の試合なんで更新無理です。