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1-6 わがままソウセキ

「それは血液の取引の証明書じゃ」


後ろを振り向くと猫のような生き物がいた。


ふ~。ちびるかと思ったぜ。


「お前は誰だ?」

できるだけ声が震えないよう気をつけて言った。


「声が震えているぞ」


むかつく猫だ殺してやりたい、が、まだ聞くことが沢山ある。


「何で喋ってんだ?」


「次から次へとうるさいのぅ。」


猫は机の上に飛び乗った。薄いピンク色の尻尾が揺れ赤とピンクと白の目と目が合う。


「それよりお前は誰じゃ?」


「そっちが先に言え」


「仕方ないの。我は精霊である、名前はまだ無い」


何処で生まれたのかとんと見当が付かぬ、とでも続くのか、このソウセキが。

お前の千円札はもう発行されてないぞ。


「俺は悪戯の王ジョーカー。青葉高校2年C組、出席番号16番。最近は駅前のアオゾラで売ってるシュークリームにはまっていて、毎日学校の帰りに買っている。が、昨日は買ってない。本当は買うはずだったんだが雷に打たれてこっちに来てしまったからだ。分かったかソウセキ」


「ソウセキかなかなかいい名じゃ。これでお前が我の主人じゃ」


「遠慮する」


「無理じゃ。名前をつけた時点で、主人となる。そんなことも知らんとは、とんだ田舎者じゃな」


「お前より都会で育ってるわ!シュークリームが分からなかったくせに」


「そんなことはどうでもいい。それより上でお前のことを探してるやつが居るぞ。早く行け我が中に入って通訳してやろう」


それはありがたいようやく会話ができる。


階段を上る途中で。


「でわ、いくぞ」


ヌルッ



うわ~~~~~~~~~~~~~

出てけ、出てけ俺の体に入ってくるな。


『落ち着け。ただの憑依だ』


止めろ気分が悪い。まだ美少女の精霊ならいいが。


『いやならお前の体の中で爆発してやってもいいが』


止めてくれ!頼む!さっきのは、えーーーーと、冗談だ!そう冗談なんだ。信じてくれ。


『というか、中に入らないと通訳できないじゃろ』


中に入るの意味がちがーーーーーーーーーーう!






なんかなれない雰囲気だな。


俺を中心に扇形に人がひざまずいてる。

俺の理想を言うと、俺と関わりある人があがめられて、そこに飛び入りで入っていって祝うようにしながらケーキを顔面にぶつけてやるぐらいのが良いんだがなぁ。


さっきのおっちゃんが前に出てきた。


手に持ってる袋がジャラジャラいってる。


それを俺の前に差し出して身振り手振りで何か伝えようとしてる。

とても面白いがいつまでもさせてたら、かわいそうだ。


ソウセキ、このまま話せばいいんだよな?

『そうじゃ。もう止めさせるのかこの面白いダンス』


お前結構酷いな。


「ありがとうございます」


おっちゃんのダンスが止まった。


顔が真っ赤になっていく。


後ろの頭下げてるやつらにも見せてやりたいな。


「皆さん顔を上げてください」


後ろの村人は顔を上げ、目の前のおっちゃんは顔を伏せた。

いや~、いじめるのって楽しいな。


まず近くの町を紹介してもらわなきゃ。


「すいませんが、この近くに大きな町はありませんか」


「私たちの村から森をひとつ越えたところに1つ村があり、そこから山を越えればビシュームの町があります。ですが、今夜は私たちの村に泊まっていただけませんか。日暮れが近いですし、お礼がしたいので」


あまり気が進まない。あの村をもう見てるからなぁ。

快適には見えなかったぞ。


しかし人の頼みにはNOと言えない。

できるだけましな食事ができますように。


「分かりましたありがとうございます」


「いえお礼なんていりませんよ。なんてったって娘を救ってくださったのですから。扉の鍵が開いていたのもあなたがやってくださったのですね。あっ申し遅れました・・・・・」


おっちゃんは気を取り直して一生懸命話し始めた。







ヴァンパイアの乗る火力車は、日が暮れるころ洞窟を進んでいた。


この洞窟は地下深くまで進んでいった。


洞窟が終わるとそこにはヴァンパイアの国が広がっていた。


光はほとんどなく、ヴァンパイアの目を持たないと何も見えない。


その中のひとつの建物の前で火力車は止まった。


そしてひとりのヴァンパイアが火力車を降りた。

建物からもヴァンパイアが出てきた。


「いや~ヴァンパイアのくせに毎度火力車で来るとは、あんたも変わってるねー。あんた日の光とか火が怖くないのか」


「我輩の曽祖父が人間だから、少しぐらいなら平気だ。それでこの仕事やってるわけだが」


「そんで今回はどんぐらい取れた」


「前回と変わらん」


「そうかでは見してもらうぞ。ええ~と小樽2本だな。ちょっと待ってくれ」


建物から出てきたヴァンパイアは紙に何か書いて、ポケットを探った。


「ホイッ!紫2枚と、証明書。今夜はどうすんだい」


「こっちで泊まる。・・・・あと、次ぎ来るのが遅れるかもしれん。精霊を痛めつけてやらなきゃならなくなった」


「噂には聞いてますよ。力はあるが態度が悪いってね。ではまた、上質の血を待っていますよ」


建物には血液取引所とかかれていた。ヴァンパイアの好物である血。

それは、いくつかあるヴァンパイアの国で高価格で取引されている。





ここは、ひどいな。


さっきの夕食も、麦みたいな物と野菜だけだったが、地べたで寝ろというのかここは。


『屋根があるだけましじゃろうが。どんだけ裕福なとこで育ったのじゃ』


ふつーのマンションだ、ソウ。


『マンションてなんじゃ?(ソウセキじゃないのかの)』


いまさらどうでもいい。あっちの世界には戻れたとしても戻らん。というつもりだったんだが・・・

ここは枡を逆様にして置いただけの様な部屋だった。床は土だ。少し帰りたい・・・


『ちゃんとした国ならまだしも、ただの村ならこんなのよく在るぞ』


こんなんじゃ寝れそうに無い。


『じゃあ我が朝まで話してやろう』


昼まで寝てたしな。


『無視すな』


これからどうしようかな。


『我のおかげで周りと話しが出来てるのじゃぞ』


・・・・・はぁ~、しゃーねーな。この世界の金はどういう仕組みだ。


『紫1枚=青10枚=赤100枚=緑1000枚=黄10000枚=黒100000枚じゃ。

家一個、紫10枚で買える。1食緑5枚で普通のは食える』


てことは村長に貰った分は、赤5枚、緑8枚、黄14枚。ん?11食分無いぞ。

この村、大丈夫か?


『そうとう、貧しいな。それより主人の魔法が気になる』


これか?


人差し指に火を灯す。他の指は無理っぽい。


『とても面白いの。人差し指が火の魔力の結晶になっておる。それに意思の力をぶつけ発火させ、魔力を燃やしておるのか。魔力で火をおこさず、魔力に火をつけておるのじゃな。』


やっぱりだ。

俺は合体しちまった。

雷に打たれたときに持っていた物と。

そう、ライターだ。

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