5-5 剣士の戸惑い+いつかの、濡らすな注意+いかにもな神殿
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黒い空には、金の剣と黒い竜が戦っている。
おい、なんなんだ、あいつ。
俺、あんなやつの召使いやってたのか?
やるな、俺。
んと、状況は色々大変になっている。
まずジョーカーさんが消えた。
気がついたら居なかった。
――いや、あんたが居なくなってどうするんですか?
あんた、勇者の代わりでここにいるんですよね?
そうですよね?
あんたがいるから、この全く怪しい雲の中に突入したんですよね??
あんた、重要ですよね、ここの誰より。
はぁ、もう良いや、あの人。
んで、次に特殊部隊の指揮官が消えた。
おい!!
とりあえず、おい!!
あのキツネ顔、いつの間にか消えやがった。
指揮官だろ??
トップだろ?
お前が消えてどうすんだ!?
まあ、今は鉄砲持った紺色の髪の子が指揮してるみたいだけど。
レイサだったっけ?
まあ、いいや。
何とかなってるからいいや。
次行こう。
今、最重要視しなくてはいけないのは、特殊部隊以外の兵。
大型の魔物は、空を飛んでなさる少女とか、失踪した防衛隊長とか、ジョーカーさんが倒し、小型や中型の魔物も大体は片付けた。
そして、ここで判断を下すはずの総括さんが居ない!!
おい!!
おい!!
総括さん、あんたどういうつもり?
指揮官失踪ですか?
また失踪ですか?
上の方の人が次々と消えているこの現状。
どうすんだよ!!
先の事考えれくれよ!!
なぜ兵を残して消える!?
おい!!
「あ、あの……」
おい!! って、ん、あ?
「すいません」
目の前に居たのは、ジョーカーさんと一緒に居た女の子。
たしか、城に戻ったとき、普通の防衛隊に加わって、一般兵で活躍してたはず。
デグリア、だったっけ?
「総括さんが、ここの指揮は、ジョーカーさんと一緒に居たやつらに任せろと言って……」
何を言ってるんだ、あのはげオヤジ。
はげた頭に羽のついた帽子を被りやがって、それで隠しているつもりか?
……やべ、ちょっとストレス溜まってるわ。
「じゃあ、突撃でいいんじゃね?」
よし、冗談を言える余裕は手に入れた。
「はい、分かりました」
あ、え、ちょ、突っ込んでくれないの?
「全軍、突撃~~~~!!!!」
ストップ!
ストップ!
拡声の魔法使って高らかと宣言しよったぞ、こいつ!!
……あ、俺、知らね。
空には新たな雲が生まれていた。
左右から迫る氷の剣。
さすが九人の英雄の一人、防衛隊総括の息子。
強い。
私に打ち込まれた戦闘プログラムと同等の技術。
剣と武器がぶつかるたびに氷の粒が飛び、両方の体を襲う。
また横から剣が振られる。
しかし、その剣を手で掴んだ。
こっちの手は人間の皮膚と違い、より強く、より硬い。
技術で負けていても、こちらは人間より優れている体。
そのまま、その剣を引いた。
体が近づく。
フーモアガッシャーを投げ、その体に拳をねじ込んだ。
ガシッ!
硬い音がこぼれる。
ヴァロルシアスは少し後ろに下がり、腹をさすった。
そこから見えるのは金属。
「あなたも私と同じ改造人間ですか?」
確認の意味がつよい質問をする。
「私は魔王を復活させる」
「洗脳状態ですね」
再び地面を蹴るヴァロルシアス。
私もフーモアガッシャーを拾い、走る。
二つは激しくぶつかり、フーモアガッシャーは空に飛んだ。
――ありえない。
この程度の力で離れるなど――
ヴァロルシアスは少し微笑み、口を開いた。
「あなたの機種は水分で機能が落ちる。
あの時、剣を掴んだのは失敗ですね」
ヴァロルシアスが再び剣を振る。
その剣の切っ先がパイプが走る首元に触れようとする。
そこで、剣はヴァロルシアスごと消えた。
「大丈夫かの、お嬢さん」
いや、ヴァロルシアスは氷弾を受けて転がっていた。
そして、話しかけてきたのは防衛隊総括。
「息子に似た姿が見えたから、来てみたら凄い事になってるようじゃの。
ルーシー、その体は何だ?
そんなに力があった覚えは無いし、破れた服から見える金属は?」
「親父には関係ない。
魔王を倒すためだ」
「魔王はお前の後ろじゃろ」
「俺は魔王を……」
ヴァロルシアスは剣を握り締めて総括を見た。
「お前の稽古は久しぶりじゃな」
総括は瞬く間に巨大な氷を出現させる。
大きく、鋭く、あるのか分からない程の透明さ。
「親父の巨大斧は変わらない」
「わしの瞬間冷凍も衰えんな」
あたりの温度は一気に下がり、水蒸気が水滴に変わる。
あたりは霧に包まれた。
あーあー。
だれか、誰か助けを頼む。
闇竜じゃない。
闇竜は3秒で消えた。
消した・・・のか?
気がついたら、新しく出てきた雲に囲まれてた。
例の様に外には出れん。
雲の球体の中に一人ぼっちだ。
球体に一つだけ穴が開いてるんだが、何だあれ?
出れるのか?
いや、ここまで完全な球体で、一箇所だけに穴が開いてるって、怪しいだろ。
とか、考えながらも結局出て行く俺。
好奇心旺盛?
浮遊の魔法久しぶり~。
金の円盤バイバ~イ。
球体から出たそこは、山の山頂だった。
目の前には一つの大きな神殿。
そういえば、神殿がいっぱいあるんだったよな~。
よいしょっと、着地。
神殿の扉は半分壊れ、いかにも出そうな雰囲気だった。
外側に巡らされた柱の間を抜けて、扉を押すと、いかにもな音を立てて戸は倒れた。(開いたではない、倒れた)
そんな中に入って行く俺って、探究心豊富?
ウィーディーの説明書。(3-1より)
動力源は糖分です。
水をつけないで下さい。
雷が鳴り始めたら、屋内に非難してください。
分解、改造は止めてください。
作者の動力源も糖分です。
質:番外章??
応:勇者様のお話です。