5-3 闇竜発進!!
草の無い山の斜面。
人間と魔物たちが激しい戦いをあちこちで繰り広げている。
その戦いの隅で俺たちは戦っていた。
剣で魔物の体を切る。
周りを取り囲むのは、人型の魔昆虫。
その中央には俺とシサムさん。
俺、村ではそこそこの剣士だったのに、この集団に居ると自分がザコく思える。
女の子ですら、飛行性の中型魔物をやすやすと打ち落としたり、無敵の鎧を大量に作って、小型魔物を殲滅していたり。
ジョーカーさんにいたっては、魔法に体制のある大型魔物をただの無系統魔法でふっ飛ばしたり。
大型魔物って、一匹で町を滅ぼしたりもしてなかったっけ?
俺の覚え違いか?
……そうなんだろう。
俺が、村では強かったのも、気のせい。
この集団のメンバーが人間ってのも気のせい。
目の前に居るのは、魔物の形をした、ぬいぐるみなんだろう。
「おい、集中しろ」
シサムさんが、虫型のぬいぐるみをバックに言った。
ぬいぐるみから、緑色の液体が飛び散っているが、幻覚だろう。
「はい、分かってます!」
俺は目の前の一匹に切りかかった。
ぬいぐるみの爪と、溶かされたので新しくした剣がぶつかる。
「ぐぐ」
ぬいぐるみの力は強い。
この剣を買うために、金を求めたら、こんなことに巻き込まれたんだぞ。
こっちの苦労分かってんのか!?
「ていやぁーーー!」
緑のぬいぐるみに剣が当たる。
硬いからが割れ、中から緑色の何かがあふれる。
――浅い!
俺は痛がっているぬいぐるみの頭に剣を振り下ろす。
頭を深さ10cmほど切られたぬいぐるみは、声も上げずに後ろ向きに倒れた。
後ろを振り向くと、10匹は居たぬいぐるみたちは、全て真っ二つに切られていた。
「大丈夫か?」
シサムさんの服のあちこちに緑色の液体がこびりついている。
「はい、ありがとうございます」
俺は剣についた血……じゃなくて、ぬいぐるみに仕込まれていたシロップを払い、鞘に収めた。
顔を上げると、そこにシサムさんの顔がある。
しかし、その目は俺の顔をそれて遠くを見ていた。
何があるのかと振り返る。
「なんだ、ありゃ?」
山の頂上辺りに4つの何かが飛んでいる。
後ろの黒い雲で見えにくいが、その体はさらに黒い。
2枚の羽は不規則なまがまがしい形をし、長い尻尾の先はひし形にとがっている。
「あれは闇竜だな」
シサムさんがすぐ横で言った。
「でも、封印されたんじゃ」
「そうだが、炎帝すらも解放された今だ。
4枚の災厄、闇竜が解き放たれても不思議では無い」
闇竜は、山の頂上を数回まわると、それぞれ別の方向へ飛び去った。
俺は走った。
安全地帯を求めて走った。
目指すは金色の鎧だらけの地帯。
……あっこ絶対安全だ。
空からの攻撃は、銃持った特殊部隊の子が何とかしてくれてるし。
ってな訳で走った。
自己加速ばりばりで、魔物なんて気にしない。
いや、嘘。
気をつけないと、魔物とぶつかって、両方が滅ぶ。
曲がり角で、美少女とぶつかる分には構わないんだがな。
っと、そんな下らん事を考えている内に、2人のそばまで来た。
速度を落として近づくと、2人はなにやら空を見ている様子。
「どうしたんだ?」
っと、軽く聞いたら、帰ってきたのは重い声。
「闇竜じゃ。
ジャッグルの封印が見つかっていたようじゃな」
そのとき、4匹が別々の方向へ進路を変えた。
「!!
止めに行きますよね、アル!!」
「ああ、急げ、マナ!!」
あ、ちょ、待って。
マナがアルに触れ、二人は消えた。
「……行っちまった」
っと、俺の横にあるのは金の円盤。
何か浮いている。
とりあえず座ってみた。
なんか上がり始めた。
乗り心地も良い。
気分はセレブ。
……いけるところまで上がるか。
体育会延期!!
悲しくも嬉しくも無いな。
延期……あ、体育の授業増える。
組み体、痛いからやりたくないのに。
質:ウィーディーは?
応:その辺で、適当に戦っている事にしてください。