1ー5 救助活動
「と、いうことなんです、ご主人様」
「どう言うことだそれはいったい、この屋敷じゃ炎は使えんのじゃないのかね」
ヴァンパイヤ特有の赤い目が豪華な椅子の上から、ギロギロとひざまずいているその男をにらんだ。
「はい、そのはずです」
「じゃあこれはどう言うことだ」
「それは私には―――――」
「お前じゃない!」
甲高い声が窓の無い部屋に響く。
「おい、精霊いるんだろう。姿を現せ!」
「なにかようか、吸血鬼」
「おい、炎封じの結界の中でこんなことは出来ないはずだ」
どこからとも無く現れた猫型の精霊に吸血鬼は溶けた鍵を見せた。
「私が結界を張るのを止めたからじゃないか」
「おまえ、いつも魔力を与えてやってるだろう」
「お前から貰わなくてもそれを溶かしたやつに貰う」
「裏切るつもりか精霊」
「私は魔力のより大きいやつに従う。それより、やつが大軍率いてこっちに向かっている。10分もかからんだろうな。」
ヴァンパイアは少し考えたが、
「くっ信用ならん、が、よし炎力車で町に向かう。こいつの炎が入っているのが気に食わんが」
「分かりましたすぐに」
「後何人かは残しておけ。ペットの餌やり係を」
「残ったやつは全滅じゃな」
そういい残し精霊は姿を消した
右側の道を少し行ったところに村があった。
昼飯はあっこでお願いするか(というかさっきのが昼飯か?)、と思ったがどうも様子がおかしい。
村の中に棒やくわ、挙げ句の果てに箒のようなものを振りかざしてる人までいる。
村もとても小さく昼飯が食えるか不安になってきた。
よそモンに食わせる物などない、なんて言われるんじゃなかろうか。
それ以前に、なんか殺気立っていて村に入る気になれない。そもそも言葉も通じないのにいきなり入っていって食べ物を恵んで貰えるんだろうか?いや、それは無いだろう。
言葉が通じないのは非常に不便だ。
言葉が分からないまま生きてけるんだろうか?いや、それは無いだろう。
ははは・・・どうしようもないな。しかしどうすることもできない。
まあ、ここはだめだ他をあたろう。(どこへ行っても無理な気がして来た。あ~~~~おかあた~ん家に帰りたいよう。)
と思ったが
ありゃ?
村人たちが俺のほうへ歩いてきた。
うおっ、これはまずい。村人の顔が怖い。
とっさに横の茂みに飛び込む。薄い葉が顔に襲い掛かる。
ズサッ!ゴロゴロ
失敗した。アクション映画風に飛び込んだが、痛い。膝、腕を硬い土にぶつけ、そして顔が薄い草で切れた。
村人たちは徐々に近づいてきて、目の前を通り、そして過ぎ去った。
あ~よかった目的は俺じゃなくて、さっきの建物か。
で、どうするよ、俺・・・
すること・・・無いな
村に行っても特に・・・・・
よし!面白そうだし付いてこ~
ルンルルンルルン
しかしそんなに楽しくは無かった。
すぐに建物に着いた。そこまではいい。
しかしさっきの入り口は閉じられていた。
その扉を木の棒で叩く村人たち。建物に群がって30人ほどが騒いでる。何がしたいのかは、知らん。
おかしな光景だ。
こっそり建物の裏に回ると、あった、あった裏口。
木の板に鉄の枠をつけた造りの扉だ。
人差し指に炎をともし木の部分を焼いていく。つもりだった、
ボワァーーーー!
木の扉は一瞬で燃え尽き灰になった。
真ん中が無くなった元とびらを通ろうとしたが、さすがに気づかれたらしい。
奥から何人かこっちに向かって出てくる。
ひぃ、ふぅ、みぃ、やぁ、いつ、むぅ。
6人か。とりあえず逃げる。表のほうに、
やっぱりまだいた、村人たち。ほうきで叩いて開くとでも思ってんのか?
まあそれは関係ない。ほら、中から人が出てきたぞ。
その箒は戦うために持ってきたんだろベイベー。よし予想通りだ。村人たちが突っ込んできた。
すかさず、驚いている建物の人たちの後ろに回り、そのままさっきの扉へゴー!
我ながらナイスだぜ。
後ろから聞こえる村人たちの叫ぶ声、ほうきで叩く音、そしてうめき声。
建物は石でできていた。
くそっ!燃えないじゃないか。
突き当たりまで行き、正面の鍵は開けておく。
振り返ると右に檻の部屋、左に下がる階段。
まず檻の部屋だろ急いで開ける鍵はさっき溶かしてある。
ざっと30個ぐらいか。扉を閉めて静かにするように、人差し指を唇に当てる。そしてそのまま人差し指に炎をともす。
よし、決まったぜい!
急いで鍵を溶かしていく。
は~結構疲れる。根性いるなー
27。
28。
29。
30。
31。
32!
よっしゃ~はずし終った。1時間は経った。
しかし酷い。立って歩けるものの方が少ない。服もボロボロだし、意識のない者も居る。
外はどうなってんだ。
扉を開く。あら、ちょうどよかった。
下の階から上がってきた村人たちと鉢合わせた。
はい。ここに捕らえられた人たちが―――――――――
ん?なんか怖い顔してない。
思わず後ずさるが後には部屋しかない。
追い詰められた・・・
そのまま後ろに下がる。
ガツン!!!
いった~~~~!
くそ、あの机だ。何でこんな入り口のそばにあるんだ。
ぶつかって、さらに転んだ。最悪だ。
村人の中から50ぐらいのおっさんが出てきた。
がっしりとした体格にがっしりとした顔つき。茶色い髪がその上にちょこんと乗っかっていて、まあここまではいい、右手に鉄の棒。
はあ俺の人生も短かった。
その棒が俺を殺そうと振り上げられる。
ぐはっ!
・・・・・あれ?痛くない?痛みの感じないほど一瞬でポックリ?
目を開けると棒が二つ。増えてるぞ。
いや、違ったそれはさっき俺に逃げるように合図してくれた女性の足だった。
その人が両手を広げて俺を庇ってくれてる。
「レイシー!!」
おっちゃんが叫んで目の前の女性と抱き合った。
顔に似合わず泣いてるぞ。
始めてこの世界の言葉が分かった。
レイシーとはこの女性の名前だ。そしてこの2人は十中八九、親子だな。ははっ俺、探偵なれるぜ、絶対。
どうもレイシーさんは俺の説明をしてるようだ。
だが今のうちに・・・
レイシーは事情を話し終わるまで自分の恩人が消えていることに気づかなかった。
だいぶ暗いな火を出さなきゃな。
火を灯して階段を降りる。
階段を降りると左右に通路が広がりその通路には扉が並んでいる。
大きい火をイメージして火を大きくすると10mほど先でこの通路は終わっているのが分かり、そこに大きな扉が見えた。
その扉に向かって歩くが酷い臭いがする。
その部屋はたいまつが灯っていた。
部屋の中央より少し奥に机があり紙が大量にある。
何が書いてるのか知りたかったが、読めない。
数字っぽいのがあるが何のことかさっぱりだ。
「それは血液の取引の証明書じゃ」
なんか、暗いですね。