5-2 3人の少女
化け物、怪物、魔獣、鬼、なんと表現すれば良いのか白いグニョグニョ。
戦いは突然に始まった。
始まって欲しくは無かったんだがな~。
いつもの俺なら、この騒動に紛れて逃げるんだが、山はすぐ後ろで黒い雲の壁に変わっている。
普通に登山してたら、いきなり前後左右から変な物の大群が現れたって状況だ。
「セナルカーフィス軍は右、シースイタース軍は後ろ、ザードランドブルとフィリティーは左、防衛隊は前だ」
後ろの方で防衛隊総裁さんが叫んでいる。
たしか、全軍の指揮を任されていた。
そして、俺の前には黒いライオンさん。
いつもと違い、大きさ1,5倍、金のたてがみに金色の角を生やしている。
「ガゴゴゴゴルルルルルルガァァァアァア!!」
う、うるさっ。
ほんとに空気が振るえてるし。
ついでに、腹に響く超低音だ。
あと、顔の周りでバチバチしてる、青い光は何??
突っ込んできた右前足を必死に避ける。
はぁ。
・・・・・これと戦うのか、俺が?
久々に炎でも出すか。
ガチャリ。
鍵は開いた。
こそこそ。
標的は窓際だ。
そ~~~~。
背後から忍び寄る。
「わっ!!!」
「ひやぁっ!!!!!!」
「勇者様っ!!!!!!!!!」
ふはははは!
アルメルナさんの驚きようは凄いな。
後ろから驚かしたら、倍の声で驚かれたぞ。
マナの怒鳴り声は三倍だが。
「すいません、アルメルナさん。
勇者様はいつもこんなんなんで。
それより、私たちに気づかなかったんですか?」
アルメルナさんは、少し赤い顔で答えた。
「みんなのことを考えてたからね。
気になっちゃって。
で、なんでいるの?」
「遊びに来た」
「あの中では、何が起こってるかもわからないのに!?」
窓からは、上半分ほどが黒い雲で覆われている山が一つ。
「YES!」
「すいません、私が何を言っても聞かなかったんです」
「あっちに行ってもすること無いだろうからな。
あっちはほっとけば良いんだよ。
こっちには豪華な迎えが来るだろうから」
たぶん。
たぶん来るはず。
「ふふ、いつ見ても変わらないわね」
「こっちは年取ってますよ。もう150歳こえたし。
マナはこのままだけどな」
「なんで歳をとらないのか教えて欲しいわ」
「アルメルナさん、皆には話したでしょう」
「記憶操作に、歳を使うって話?
最近は使ってないらしいけど?
砂漠の大富豪は、錬金術に歳を使うって言うけど、あんなに使いまくって大丈夫かしら?
それに特殊部隊のマアサちゃんも、転移術に歳を使うのかしら?」
うお、アルメルナさんが本気だ。
どう答えるんだ?
「はぁ。どこまで調べているんですか?」
「4人目を調べているところ。
シベリウス教の本で探しているんだけどね」
「凄いですね」
マナはそう言って、ため息をついた。
「おぬしの新しい戦い方は始めてみたわ」
特殊部隊のマアサの手には、最新の武器、銃とやらが握られている。
白く長い髪と、漆黒の銃が良いコントラストじゃ。
「レイサさんの特製なのよ。
それより、あなたも面白いわね」
金の円盤に乗る、余の前には金の鎧が3つ。
手に持つ長剣を振り回している。
「一つやろうかの?」
「いえ、遠慮するわ」
そう言いながら、マアサは鳥型の魔物を撃ち落した。
銃の弾は、特殊部隊の倉庫から、銃に直接転移させているらしい。
全く、便利な物じゃ。
昔は相手を空から落として殺してたからの。
あれはグロかった。
「あなたの戦い方も変わったわね。
昔は、相手そのものを金に変えるなんて事もしてたのに」
「骨が残らんと困るかもしれんと思ってな。
こっちの方が効率が良いし」
「前の時は、時間がかかり過ぎたからね」
前の時。
それは魔王が始めに現れたときの事だろう。
あの時は勇者に助けられた。
あの時は輝いて見えたものじゃが、今はグータラのおっさんじゃな。
炎をイメージする。
大きな炎。
すると、右手から炎が広がった。
炎は広がりついに左手の先までを覆った。
『主人、大分魔力が馴染んできたの。
調節も覚えるべきだと思うが』
こんなの練習したって、使うときが無いだろ。
『主人、前』
!?
前を向くと、ライオンの爪が当たる瞬間だった。
しかし、手はすぐに引っ込む。
どうやら爪の先が溶けている気がするが、俺は人間だから、気のせいだろう。
『元人間じゃろ』
今も人間だ。
『無理があるの。
あ、主人、前』
ライオンは口から青い球を吐き出した。
……俺に向けて。
……なんでバチバチ言ってるの?
……速いし。
しかし、その球は止まった。
「ビスタ」の一言で全てが上手くいくんじゃね?
それより、無意識に言葉が出ていた自分の、魔法に対して適応の早さに我ながら驚き。
俺は炎の脇を通りながら言った。
「ギラ・ダック!」
俺の目の前から透明な塊が飛び、ライオンの顔に当たる。
ライオンはギュッ! と叫び、斜め後ろに倒れた。
そこに雷の球が飛んでくる。
緑と黄色の光が混じった、セラの雷だ。
大きさは少し小さく、下半身を少し残して、ライオンは消し炭になった。
「とどめは刺したくないって、思ってたでしょ? 思ってなかった?」
「思ってた」
「やっぱり。
まあ、無意味に命をとる事は良くないね。
これ、シベリウス教の本に書いてあるから」
「なんなんだ、それ」
「格言みたいな?」
「いや、シベリウス教の事。
確か神誕祭かなんかでパレードやってと思うけど」
「ああ、シベリウス教は最古の宗教だよ。
最近は、名前を聞かなくなったけどね。
この山にも、教会があると思うよ。
行きたい? 行きたくない?」
「魔王がいなくなってから見に行くかな」
体育大会の練習きつい。
塾きつい。
三点倒立難しいし。
組み立て体操、成功するのか?
質:先が分かりやすい気がします。
応:んな事しるか! 早めに書かないと忘れるんだよ! 内容!