4-2 アスタ(3人の少女には入ってません)
「せい!とう!はっ!やあ!!」
朝からうるさいのう。
眠たい体を起こすと召使い1号が居た。
拾った石を金に変えて渡したら着いて来た、まったく、単純なやつじゃ。
それにしても、1号は剣を使うのか。
宿の裏で剣を振り回している。
「あ、アル様。
起きたんですか」
窓枠越しに話しかけてきた。
汗をぬぐいながら歩いてくる姿がなかなかかっこいいの。
「ああ、朝から頑張っておるようじゃな。
それにしても、召つか、・・・兄貴は戦うのか」
「いや、まあ。剣士ですし。
この前は剣、溶かされましたけど」
青年の頭にバンダナが浮かぶ。
剣を溶かし、切ったと思ってもほとんど傷がつかない皮膚を持っていた男。
「剣が溶ける?
恐ろしいな。
半端な熱じゃ溶けないじゃろう」
金髪の幼女の頭には太古の昔の少女が浮かぶ。
赤い目に赤い髪をした、彼女の仲間であったもの。
・・・しかし、あいつが行動を始めたのか?
「アル様~。どうかしました」
「いや、そいつの事が気になってな。
あと、様をつけたら、言い方変えた意味が無い」
「う~ん。
黒いバンダナしてました」
「そうか」
では、違うだろう。
「それより、この後どうするんですか。
行くあてとか有るんですか?
お金・・・・・は平気ですね」
「それよりじゃな、兄貴、余の寝ていた横で寝ている、あのむすめは誰じゃ」
そこには、奇跡の錬金術師と呼ばれる彼女と、外見的には同じぐらいの幼女がすやすやと寝ていた。
金髪だし、よく似ている。
「まさか兄貴は幼女趣味か?」
「いや、止めてください。昨日の夜会ったんです。
村のはずれで」
「それで強制連行してきたのか・・・・・やはり―――」
「違います!一人で泣いてたんです!」
「そうか、では今日はこいつの親でも捜すかの」
「いや、それが・・・・・」
「むにゃ」
村はずれで会った子が目を擦りながら起きた。
すこし遅いが、昨日は真夜中にこの宿に着いたから仕方ないだろう。
「あなたは?」
どうやら昨日のことは覚えていないようだ。
彼女には少しショックが大きすぎただろうし。
昨日の夜、村から少しはなれた一軒家から火が上がっていた。
その中から助け出したのだ。
「俺はリアー。
こっちがアル。
君は?」
「私はアスタ」
アスタちゃんは人差し指で自分を指し、言った。
「そうか、一緒に来るなら召使い2号になるが、どうする」
「おい、アル」
なんという、自己中心的な考えだ?
「すまん、すまん」
「・・・・楽しそう」
アスタちゃんがボソッと言った。
「楽しいよ、外行こうか」
俺たちは昼前の村に出て行った。
「(これからどうするんだ)」
「(余の友人のところへ行く。
あいつは人の記憶をいじるのが好きだからの)」
「(普通の人なのか?
いや、記憶を操作できるあたり凡人じゃないけど)」
「(まあ、問題はない)
少し遠いがな)」
「くしゅん」
と、青い髪の少女。
「どうした、風邪か?」
と、黒い髪のおっさん。
「いや、なんか嫌な予感が」
「魔王の波長はこの前からずっとだぞ」
「いえ、この感じは・・・・・・・錬金術師」
「ん、ああ。
あいつか。
最近会ってないな~」
「会ってないな~って、勇者様がこんなところに住んでるからじゃないんですか。
買い物とか大変なんですよ」
「ん、静かでいいだろ。
まあ、久々に一緒に出かけてもいいけど」
今、二人がいるのは大陸の外の小島。
木の家は明るい。
そんな島で二人はだらだらと暮らしていた。
2人は楽しそうに遊んでいる。
その辺の店で買ったボールをてんてんとついている。
・・・しかし、ほんとに似てるなあ。
誰かに聞かれたら双子ってことにしておこう。
しかし、中身は・・・・・。
あいつ、拾った石を金に変えて、「欲しかったらついて」来いだからな。
まあ、給料いいからいっか。
俺が鍛錬の続きでもしようかと立ち上がると、いつの間にかアスタちゃんが足元まで来ていた。
なんだかさびしそうな顔をしている。
―――ヤバい!!―――
「ママは?」
言わないでくれと思っていた言葉をアスタちゃんは言った。
「あ、ああ、今日は、で、出かけてるんだ。
す、すぐに戻ってくるよ」
はあ、何やってるんだ俺は。
ばればれじゃないか。
自分の程度の低さが悲しい。
「いやだ。
ままに会いたい」
困る。
俺は頭がいい方じゃない。
嘘は苦手だ。
「いや、そんな事を―――」
「おうち、おうちに行く」
どうすればいいんだ、俺は?
困ってる俺の方へ(現在は)アル(本名は知らない)が歩いてきた。
アスタの肩を持ち、自分の方へ向けるアル。
背丈はアルが1m10、アスタが1メートルぐらい。
アルのほうが若干高い。
「アスタ!!」
「へ?」
「ついて来い!!」
それだけ言って歩いていった。
「(ちょ、どうするんですか)」
「(連れて行く)」
「(連れて行くってどこへ?
まさか、あの黒焦げの家を見せるんじゃないでしょうね)」
「(そうじゃない。
記憶操作師のいる離れ小島じゃ)」
・・・・・・・・・・・・・へ?
「・・・・・・・・・・・・・へ?」
「(声がでかい)」
「(急げば3日でつく)」
「(どうやって?)」
「(ふっふっふ。任せておれ)」
そう言って、アルは買ったボールを握った。
アルの握っていないほうの手の平が金色に光り始める。
「おい、見られる!!」
俺の忠告を無視して、アルはその手をボールに思いっきり当てた。
「アルケー!!!」
単なるボールが黄色く光る。
今まで見た何より眩しい光。
その光の中に嬉しそうに立つ幼女。
「成功じゃ」
カランカラン、と店の扉が開く。
「いらっしゃい」
ここはここらで一番の馬車屋。
東のザードランドブルにありながら西のシースイータスからも客が来るぐらいだ。
店に入ってきたのは金髪の女の子。
あれ?とは思ったが、後ろに剣を持った男もいるから大丈夫だろう。
「ここで1番早いやつを買う。
あと、馬車は頑丈なやつにしてくれ」
・・・・・・?
「じょうちゃん、そんなのは王様とかが買うんだよ。
にいちゃん、いくらのやつかい」
「金ならある」
「だから、じょうちゃん・・・・・・」
言葉を失った。
その子の手の上には本人の頭ほどありそうな金が抱えられていた。
「差し出された金の塊を受け取る」
―――!!!
重い。
あまりの重たさに落としてしまった。
こんな小さい子が持てるはずが無い。
その金は床板を粉砕した。
「ああ、済まんな。
床の修理費込みで、その金でどうじゃ」
「あ、はいもちろん」
案内された先は大きな小屋。
「どれが一番速いのじゃ?」
アルのせいで店の男は放心状態に近い。
あの金が手に入った喜びか、それともアルがあれを持ってきたから?
まあ、意識があるから問題ないだろ。
「これです」
そしてその男が指差したものは・・・・?
ビックリしすぎて目のピントがあってないんじゃないか?
・・・・ランドドラゴンだった。
全長3メートルぐらいだろうか。
てか、火、吐くんじゃなかったっけ?
「何匹いる?」
さらに話を進めるアル。
さっきまで泣きかけていたアスタはドラゴンに興味津々だ。
って、泣かないのか?
俺、足が震えてるんだけど。
あの鋭い目が俺を見る。
ひえ!!
前足の先に固まった血が付いているんだが、なんだあれ?
俺を見ながらよだれを垂らす。
がくがくがくがく・・・。
「2匹います」
おいーーーーーーー!!
一匹で十分、いや、他のにしてくれ”!!!
「わかった、金は足りてるな」
「はい、もちろん」
そして、首輪の鎖を柱からはずし、てに持つアル。
「では、買った。
兄貴、これにそのまま乗ってもいいが、馬車を買うか?」
「買って下さい」
背を見せたアルに近寄る、ドラゴンの首。
危ない!!と言おうとしたが声が出ない。
するとアルは振り返った。
そして目が合ったようだ。(こっちからは見えない)
その途端にドラゴンは首を戻した。
やばいスピードで。
しかも、畏怖のめでアルを見てる。
奥のもう一匹も。
・・・・・・何者なんだ。
その夜、俺たちは村を出た。
「わ~。はや~い」
ドラゴン2匹に男と子供2人は軽すぎた。
「ははははは、最高じゃ!!
どうじゃ、兄貴・・・・兄貴?」
窓枠から顔を出したまま動けない。
「ははは、っうぷ。
うお、出た物が真横に流れていく」
「乗り物酔いか。
まあ、いっか。
召使い1号だし」
うぷっ!
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ・・・・・・・・・・なんで俺はキーボード打ってんだぁああああああ!!!
すいません。勉強します。楽しみに待っていてください。いや、忌み嫌いながらでもいいので待っててください。
質:誰?あのこ?
応:知りません。勢いでもう一人ぐらい居たほうが良いかなあ、なんて感じで出てきました。
特殊能力・・・・なし。
戦闘能力・・・・なし。
一般人の可哀想な子です。
・・・・・・このままだと可哀想だな。