表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/64

3-7 陰謀色々(響きがいいよね)

闘技場に5匹のモンスターが流れ込んできた。

見覚えのある黒いライオンだ。


下に降りると俺のほかにはウィーディー1人。


・・・出てたんだ。

・・・強いな。


まあ、特隊長様と同等に戦うのを俺は見たし。


しかし、ライオン5匹か。

多いな。


『次、行くぞ。

次は中級・・・はメンドイから上級行くぞ』


マジで?

『マジじゃ』


ガチで?

『がちじゃ』


ほんとに。

『主人、囲まれておるぞ』


あ、まあ飛べばいいじゃん。


『ビスタの上級はギラ・ビスタじゃ』


分かった、分かった。


「ギラ・ビスタ!」


目の前のライオンが、生きてんのか分からんぐらい、ぴたっと止まった。

おお~、パチパチ。


『次はギラ・ダックじゃ。

覚えやすいじゃろ』


「ギラ・ダック!」


噛み付こうとしていたライオンは吹っ飛んで、闘技塔を破壊してその瓦礫に埋まった。


『次はギラ・ギュマンダじゃ』


「ギラ・ギュマンダ!」


逃げ出そうとしていたライオンは、いきなり伏せの姿勢になって、苦しんでいる。


『次は、少し危ないが、ギラ・シャグッシャルじゃ』


最後の抵抗と、突っ込んできたライオンに向かって魔法を唱える。


「ギラ・ジャグッシャル!」


目の前のライオンは消えた。


いや、ライオンがいたところにはビー玉大の黒い球が一つ。

コロン、と地面に落ちた。


ソウ?

何、今の?


『圧縮じゃ。加重の変形とでも覚えておれ。

まだ来ておるぞ』


ライオンが突っ込んできたところからは、何十というモンスターがわらわら。


「観客、選手の方は、すぐに非難をお願いします」

拡大された声が慌てている。


「よし、逃走っ!!」


俺は安全第一主義なんだぜ!












モンスター退治劇は順調に進んでいるようだ。


あの後すぐに、防衛隊が出てきた。

セラはいないようだが。


防衛隊たちは、1人1人はそんなにな、普通のやつだが、チームワークがものすごい。


塔の崩れずに残った部分から見下ろしていると、それが良く分かる。


1匹1匹を囲んで引き離し、少しずつ、だが正確に倒している。


凄いな~と関心していると、1人の男が声をかけてきた。


「いい所だな」


びくっ!

おいおい、後ろからいきなり現れるなよ。


振り向くと、そこにはヴァロルシアスが立っていた。


「ん?何でお前が?」


足の間を、リスが走り回っている。


足に鳥の刺青がされている事に気づく。

見たこと、あったっけ?


「誘いに来たんだ」


「ん?誘い?」


「ああ、2つあるんだが・・・

1つは、ソーシャイルという俺の入っているギルドグループ」


「ん?ギルドグループって何?」


「ギルドで、依頼を受けるときに、いつも組んでいる仲間だ」


ヴァロルシアスは、静かに一歩近づいた。


「もう一つは、ビオッチャ。

いわば、盗賊。

快い仕事じゃないが、お前なら、結構な報酬が入る」


儲かるのか・・・・いいかもしれない。


『止めとけ、主人。

盗賊なんて物はやるもんじゃない』


ん~。


ソウがそう言ってもなぁ。


『主人の力なら、盗賊よりも儲ける事など簡単じゃ』


・・・・・そっか。


「ビオッチャは止めときます」


「そうか。ソーシャイルは、こっから北に行った、王国の端っこにいるから、来るなら歓迎だ」


「分かった」


ヴァロルシアスが飛んでいって見えなくなった頃、したから歓声が聞こえた。


モンスターは全滅し、防衛隊がはしゃいでいる。


そこに、王様らしき人が現れた。


ここからじゃ良く見えない。


塔の端っこで、しゃがんで目を凝らすが俺の視力はB,Cだ。

そろそろ眼鏡だ。


その時、後ろから風が吹いた。


俺の足元の、石が崩れる。


あ、あ、ああああぎゃ~~~~~~~~!!


ドス!


俺は、5階建ての学校の屋上ぐらいの高さから落ちた。


「お、あなたは剣聖を破ったジョーカーさんでは」

王様の髪は、ぽっちゃりした体型に似合わぬ青色だった。











(『主人に、あちらに入られては困る。

やってもらわねばならぬ事がある』)




(優勝を逃した上に、足止めは成功したが、防衛隊にやられるとはな)











はぁ、なんか気まずいもんだなぁ。

しかし、これは異世界トリップの宿命か。


それより、ほんとにいいのか、俺で・・・。


・・・え?説明?


気が向いたらするよ。


今そんな事してると、へんなことしちゃいそうで。


さすがに、王様の前で、ご無礼をさらす訳にはいかない。


ただでさえ、ウィーディーいなくなったからお前が優勝とか言って、願いを聞いてくれるって言ってんだから。


しかも、国のお偉いさんたちが、20人ぐらいでこっち見てるんだよ。


この気まずさ分かる?


「その栄誉をたたえ、そなたの願いを一つ聞いて差し上げよう」


しゃーないな、一回だけだから、しっかり聞け。

あのあと、防衛隊に囲まれて、この部屋に。


赤い絨毯の上で待たされて、1時間ぐらい経って、偉そうな人たちがぞろぞろ。


最後に王様がでっかい椅子に座って、この状況。


なんか、もう、王様暗殺どころじゃないよ、まじで。


『主人、王の近くにいれば良い』


う、うん。


「じゃあ、――――――」


「王様の前で被り物かよ。

ずいぶんと偉そうじゃないか」


「おいっ、止めろ、カルフ」


「あ、いえ、はずします」


俺は、俺の服を傷だらけにしたバンダナを取った。


「・・・・・・・・・」


「こいつです!脱獄犯は!」


お、お前は、なつかしの槍A。


「言葉が通じないのではなかったのか?」

「だから言ったのじゃ、こいつは魔王の生まれ変わり」

「いや、勇者と関係のあるものかもしれん」

「ほんとに脱獄犯なのか?」

「鑑定機の用意を!」

「いや、即処刑じゃぁ~!」

「おいおい、爺さんあせるなって」

「あ~も~だり~」


なんか、王国も適当だなぁ。


「静まれ~~~!!」


王様の言葉で、あたりはいっきに静まり返った。


その静けさを破る音が。


バタン!!


「王様、姫様が誘拐されました」












「フゥ~」


『どうした、主人』


いや、このままじゃ、再投獄なんてことも。


『主人なら抜け出せるじゃろ』


まあ、そうだけど。


『それにしても、客人ほったらかしで姫様の救出とは、どんだけ大切なんじゃろうか』


俺の父さんも、妹には優しかったぞ。

俺なんか気にも留めてなかったけど。


『主人、家族と離れて寂しくないのか』


いや、嬉しいよ。

どんな小鳥もいつかは親の元を離れるのさ。


『主人も変なやつじゃのう』


よく言われる。


「どんな小鳥も、いつかは親の元を離れる」


俺の目がうるうるしてたのは、秘密だぜ。













その天井裏で。


「どうだあいつ、やれると思うか」


「おいおい、こっちは4人、あっちは1人だぜ

この姫様に一人付いても、3対1だ」


その姫様は天井裏の隙間から下を見ていた。


そこにいるのは男1人。

年齢は私よりも少し上だろう、と推測する。


縛られた体を動かすと、そこにいるのは大柄な男が4人。


このままじゃ、あの人がやられる。


でもどうする事もできない。


あせる彼女に、小さな声が聞こえた。


「どんな小鳥も、いつかは親の元を離れる」











さてと、寝るか。


疲れたし。


俺が赤い絨毯に寝そべったとき、上から男が降ってきた。


・・・・・・・・・・、・・・・・、・・。

・・・・・・・・・・?


『よし、次の実験台じゃ!』


は?


『次は、ギラ・バライスじゃ』


はぁ~。しょうがないな。


ストレスもたまってたし。











「セナスノウ、切れる?」


セナスノウは、彼女の精霊だ。


ウサギの形をしていて、一応弓になる事ができる。


「キューーイ」


あれはたぶん出来るという事だ。

しかし、安心は出来ない。


下を見ると少年と、男四人が向かい合っていた。


しかし、少年は焦りの色を全く見せない。

その少年が徐に口を開いた。


「ギラ・バライス」と。


ギラ・バライス。


無系統、上級。

拡散の魔法。


戦いどころか基本使うことはない。

使うとすれば、水、風系統の魔法を弾けさせて避ける、攻撃するぐらいだ。


魔法使いが100人ほど集まれば、人を弾けさせるなんてことも出来るが、まさかそんな事は出来るはずがない。


しかし、そのまさかが起こることも良くある事で。


先頭の男が弾けとんだ。体のあちこちが無造作に吹っ飛び原型が分かる物は、靴の先だけだ。


彼女は息を呑んだ。


ありえない。


逃げ惑う男たちは、静止の魔法で動きを止められた。


その時、セナスノウの前歯が縄を切る音が聞こえた。











おい、ソウ、これはやりすぎだ。


何であんな事を。


『いや、普通の魔力じゃったら、少し衝撃を受けるだけのはずじゃった。

いやはや、主人の魔力は純度も高いのぅ。

あ、今のは拡散の魔法じゃ。』

16まで帰省します。

楽しみに(しなくてもいいから)待っていてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ