2-終 宮殿攻略
遅くなりました~すませ~ん
宮殿は中央に大きな建物、左右に細長い塔がくっ付いたでっかい建物だった。
「う~ん。タレットさんさえいなければ、屋敷に雷落としても良かったんだけどなあ~」
なんか、横ではおぞましい事考えてる人居るし。
「真ん中から行くか」
そう言って横の人は屋敷に向かった。
屋敷の中は予想以上に大変な事になっていた。
防衛隊が射殺されまくっているというこの地獄絵図。
その中で動く人影を見つけた。
「お~い。だいじょうぶ?」
「あ、あなたは?」
「ぼくは防衛隊特隊長やってるセラだけど」
「あ、あなたが、顔を見せず、あらゆる依頼をこなして回っている・・・」
(そんな事してるっけな~)
「そんな事はいいんだけど、どうしてこんな事に?」
「敵は銃を使っていました。あの銃です。
最近出回り始めているあの・・・」
この防衛隊は足を撃たれているわりに良くしゃべる。
「そんな事はいいんだけど。情報入ってなかったの?」
「え、ここの私兵が銃を持っている事ですか。
いえ、全く聞いていません」
(レイサが間違えるはずはない。と、すればここの隊長さんかねぇ)
「わかった。ところで金髪の女の子、見た?見てない?」
防衛隊員は首を横に振った。
「やっぱり。じゃあぼくは行くから」
そう言い残してセラは上を目指した。
「・・・あ、助けてくれないんですか?」
塔には螺旋階段が通っていた。
これ登るのかよ。
『主人、早く行かんか』
お前は何もしないだろ。
『手伝ってやってもいいが、面倒じゃからの。我は退屈なのと面倒なのが嫌いなんじゃ』
ただのわがまま猫じゃないか。
『はいはい、くちごたえ、反抗、デモ、ストライキなどはせずにとっとと登れ』
お前、最近俺に対しての態度が悪いんじゃないか。
『気のせいじゃな』
よし、こいつと会話しない。
塔は外から見た感じ5、6階建てだ。
そこまで大変でもないが、多少きつい。
俺の家がアパートの1階で良かった。
そうじゃなきゃ、毎日階段を登って下って。
・・・みんな元気でやってるかな。
・・・俺の事、心配してくれてるのかな。
あれ、涙腺から液体が。
前が良く見えないよ。
視界がぼやけて、うっ
ガン!
あ”~----。
あーーーーーー。
あ~=、>;・:@_「¥。
足が引っかかって、頭を階段(石)の角で~~~。
視界が・・・赤く・・・。
セラは屋敷の中をあれこれ捜索しながら歩いていた。
町長をとっ捕まえたあと、証拠が要るからだ。
そして、ぶらぶらしながら入った部屋には、興味深い物が置いてあった。
「これは、タバコの吸殻?」
セラはそう言って微笑んだ。
(まさか、やつらの仕業だったとは)
この世界のタバコはかなり依存性が高い。
バーマと呼ばれる美しい植物から作られるが、危険極まりない。
一回吸ったら最後、それがなければひどい目まい、頭痛、吐き気、動悸、息切れ、etcだ。
そして、それを使い、今暴利を得ている盗賊集団があった。
「飛鳥のやつらか」
次に目を開けたとき、目の前には一人のおっさんが立っていた。
なかなかピントが合わない。
ちょっとの間たって、やっと見えるようになった。
目まいと頭痛がひどい。
「ケイスさん?なんでこんなところに?」
「それは、あとで。まずは怪我の治療を」
そういってケイスさんは手を俺の頭に当てた。
「フスム!」
その手は呪文に合わせて光り始めた。
なんだか気持ちいい。
39度の風呂に浸かってる心地よさだ。
だが、非常に残念な事に、その気持ちよさはすぐに終わった。
「はい、これでだいじょうぶですよ」
頭を触ると痛みは引いていた。
ん?俺どうして頭が痛かったんだ?
んん?思い出せない。
まあいいか。
「バンダナしてて良かったですね。
それがなければ、血の海ですよ」
んんん?俺相当やばかったのか?
でも、ケイスさんは一瞬で治してくれて・・・
「ありがとうございました」
「いやいや、それより君は上に向かってるんじゃないのかい?」
ええっと。
記憶がないな。
ここ1,2時間。
でも、まあ、そうなんだろう。
「どうしますか、町長。
今はどうにかなっていますが、増援を呼ばれては、それに、弾薬や食料も蓄えなんてありません」
「と、言う事は、どういうことなんだ」
町長はぶっきら棒に言った。
「逃げるのがよろしいのではないでしょうか」
「それも面倒だ。俺はこいつの力を試したい」
「しかし。危険です」
「いいんだ。俺が良いと言ったらいいんだ」
今日の町長は珍しくタバコをくわえていない。
それが、イラついてる理由でもあった。
「歯向かうのなら撃ってやる」
「ちょ、町長」
町長の腕には1mはあろうかという銃が握られていた。
目の前の祖父はぐったりとしている。
「ウィーディー、ごめんよ、ごめんよ」
ウィーディーの頭では、次にする事は決まっている。
戦う。
さすがに、足に歩けないよう魔方陣を描かれた祖父を連れて逃げ延びるのは難しいと考えたからだ。
ウィーディーは祖父を置いたまま屋上を去った。
タバコの吸殻をポケットに入れ少しぶらぶらしていると大きな扉の前に来た。
中から銃声と断末魔が聞こえた気がする。
セラはいたって礼儀正しくドアを開けようとした。
しかし開かなかった。
「またかぎか~」
セラは一歩下がって電気を溜めた。
「セラスペシャル3縮小版!」
そう言って雷球を投げた。
「ここが一番上か」
螺旋階段は終わり、目の前に1つの扉が現れた。
まあ、入るか。
そう言ってドアを開けようとするが、開かない。
やはり鍵がかかっている。
炎で溶かそうかと思ったが、さっきみたいな爆発は嫌だ。
色々迷った末・・・
ソウ、火の玉頼む。
その部屋に3つの騒音が走った。
上からと壁から、扉から。
その中から3つの人影が現れる。
いかれ町長と、その部下2人はとっさに銃を構えた。
しかし、部下の構えた銃は、片方はスプーンではじかれ、もう一人は感電して気絶した。
「そこのおじさん。きみ、税金の不正徴収で拘束するよ、いい?だめ?」
とっさの事にあわてた町長も気をとりなおして、
「ふふ、そんな事ができるのか?」
「無理だったら、最悪殺すから、問題ないよ。
あと、この屋敷の、君のとこの兵士、全員気絶、もしくは死んでるから」
町長の顔に焦りが出始める。
「そんなの知るか~!!」
町長は銃を構えた。
しかし、その銃に触れる手が一本。
「あ、ごめんなさい。
ついうっかり触ってしまって」
うっかりな割にその手の炎は銃を溶かしている。
「ほんとごめんなさい」
そういって、バンダナの少年は町長を蹴った。
銃はぐちゃぐちゃに変形して本当に銃だったのか不安なぐらいだ。
そして、立っている三人は、お互いを見た。
「あ、キツネ男」
「お嬢ちゃん?」
「・・・・・」
「それになんでウィーディーが居るんだ?もうとっくに逃げたかと」
「祖父が足止めの魔方陣にかかっているので、逃走は困難だと思い、闘争することに」
のんきに話している三人を、天井にウィーディーが空けた穴から見ているクレットに気づいたのは、町長だけだった。
町長は密かに、気絶させられた仲間の銃へと手を伸ばす。
そしてつかんだそれをクレットに向けた。
ダン!という音に続いてドスっという、落下音。
町長の心臓は、その瞬間電気ショックで止まった。いや、止められた。
ウィーディーが駆け寄った。
「・・・逃げろ。ウィーディー。・・・わしは作った機会に細工をした。
わしが死んだら爆発するようになっている」
ウィーディーとクレット以外の全員が驚いた。
驚きのあまり、声を出すのも忘れていた。
「この町も、まだ木造の建物がたくさんある。
しかし、鍵は俺の作ったものがほとんどだ。
それが爆発したら大変な事になる。
早く逃げろ」
「なぜそんな事を?」
セラが聞いた
「簡単さ。こうすれば、わしと町が同じ位になる。そうすれば、わしは帰れるようになるかも知れないとおもおてな。でも、仕掛けが早く発動してしまったわい」
「そんな事はさせません」
そう言ったのは、珍しく真剣な表情をしたケイスさんだった。
「じゃあ、俺は王国に行くから」
なんだかんだあれから三日。
ケイスさんの術はとても上手く、タレットさんの肩を貫通した怪我はもう直りかけていた。
「僕も、特隊長の仕事を続けなきゃいけないから、またどこか出会えたらいいね」
あれからことは順調に進み、謝礼金を防衛隊から巻き上げ、2日で取り調べも済ました。
「じゃあな」
「バイバーイ」
問題があるとすれば、彼女だろう。
「セラさん、さようなら」
「ほんとについてくるのか、ウィーディー?」
「まだ、一晩泊めてもらった借りが返せてないから」
こうして、俺たちの王国へのたびが始まった。
一応入りきった。
ふぅ~。
あと、部活引退しました。
これからはがんばります。
こっから重要です(予定)
今までのはいわば序章です。(?)
あと、5章で終わるつもりです。(意外にマジ)