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2-9 砂漠の町の博士救出、その1

コツコツと研究所の廊下に足音が響く。


研究所の廊下には体が軽く焦げて気絶しているが、目的以外のものに彼女は興味がない。(正確には目的もただ目的なだけで、興味はない)


彼女は半分開いた扉を通った。


そこにも彼女の目的はなかった。


あったのは気絶した研究者たち。(一部泡を吐いている)


そのとき後ろから足音がした。


「この前はよくもやってくれたな!」


そこに居たのは、頬を赤くした防衛隊だった。


いつか裏拳を当てた覚えがある。


彼の持つ銃をみて、とっさにフーモアガッシャーを巨大化する。


10センチ程度のスプーンはすぐに1メートル程度の武器へと変わった。


柄の部分は剣、すくう部分は膨らんでいる方は棍棒、


――防衛隊は銃を撃った。


そして、凹んでいる方は盾、


――弾はスプーンに当たった瞬間消えてなくなった。


消滅のフォースが埋め込まれている盾だ。

(そもそもフーモアガッシャーは盾として作られたものである。

この形は彼女の祖父が彼女が持ち運びやすいようにと改良した試作品。

結局、人間のあいだは使わなかった。)


防衛隊は驚いている間に銃を手からはじかれ、わざわざ赤くなった方の頬をスプーンの平で殴られた。


彼は横向きに吹っ飛び頭をぶつけて気絶した。


ウィーディーは彼を全く気にせず、窓から隣の(隣といっても庭を一つ越え)建物の屋上に着地した。


研究所の5階から6階建ての町役所の屋上へのジャンプは誰にも見られていなかった。

それは人々が皆、家の中で(この世界にはまだ出回っていない)鍵をかけて閉じこもっていたからだ。









こちら役所!ただいま銃弾がそこら中を舞っています。


危険なので、外出の際は十分に注意してください!


さらに、電気の渦が大量に発生しています。


この電気の台風は磁場を生み出しながら、白髪のキツネ男を中心に、上の階に進行中です!


外出の際は、鉄筋コンクリートの橋をデデデな大王なハンマーで叩くぐらい注意してください!


えっ?俺?


俺は今、セラの後ろの方から物陰に隠れながら中継しています。


出来れば助けていただければ幸いです!



お願いします!

ウワッツ!ちょっ!電気が流れている銃弾が俺の首をかすめたんですけど!


熱かったんですけど!


自己加速使ったところで銃には敵わないんですけど!


セラは磁場やら何やらで弾に当たらない空間創って、どんどん進んでいく。


飛んで行った弾は左右にそれ、俺の方に飛んでくる事もしばしば。


電気纏って輝いてる事もしばしば。


俺は一応ウィーディーの爺さん助けるって言って、来たんだけど、意味あんのか?


逃げた方がよかったり、しちゃったり、するかもしれなかったり。


まあ、5階まで着いてきて帰るのもどうか。


あっ、階段だ。








 俺が冷や汗で脱水症状に陥るぐらいに危険な経験をした頃、目の前に他よりも大きめの扉が現れた。


「ん、鍵だ。まあフッ飛ばせばいっか」


セラの手が光りだす。


「ちょっと待て、俺なら開けられるから安全だ」


よし、久々に活躍のチャンス。


「でもこれ耐熱鋼だけど、分かってる?分かってない?」


「そんなの関係ない」


おい!俺の口!なに見栄はってんだ。


「やっぱり!じゃあ頼むよ」


徐々に分かってきたけど、こいつの2択質問、どっちで答えても「やっぱり」なんだな。


まあ、やってみるか。


俺は扉の正面に立った。


よし!


俺は鍵らしき部分に人差し指を当てた。


だいぶハイテクなかぎだ。


俺のアパート針金2本で開いたが、この鍵は俺のテクを持ってでも針金8本は要るな。


そして、俺は人差し指に意識を集中した。


鍵はすぐに炎で溶け始めた。


しかし、安心したとき、いきなり爆発した。


「ぐっ!」


俺は後ろに吹っ飛んだ。


ちょうどセラの足元だ。


「安全・・・だったの?」


「た・・・ぶ・・・ん」


俺の体は炎には強いらしくたいした事にはならなかった。


普通の人なら、即死だろう。


この建物は石で出来てるから良かったが、木造ならすぐに燃え上がって、中の人は・・・ストップ!思考スト~~~ップ!


「一応、ありがとね」


こいつ、むかつく。


俺も立ち上がった。


ええーと、俺の体は、ん?なんともない。


『主人の服は我の魔法で守っといたぞ』


ああ、ありがと。って、服だけってどうさ?


『いや~~。主人の方はちょっと間に合わなかったりしちゃったり』


絶対わざとだ。


『いやいやいやいや、そんな事はないぞ、うん。ない。はず』


お前、意外と分かりやすいな。


俺が起き上がって見えたものは、扉の奥でウィーディーとセラが向き合ってる光景だった。









「お嬢ちゃん。ここに居るってことは脱獄?違う?」


「私にあのような男たちの言いなりになる義務はありません」


「いや、パスポートなしでこの国に居る時点でアウトだよ」


「そんな事は関係ありません」


「いや、色々とあるはず」


「私は祖父を助けるために来たのです。

邪魔をするなら、攻撃します」


部屋の隅に居る老人が顔を上げた。


「あれ、僕の話は?それになぜに攻撃?」


「退く気がないようですね」


「だから僕の話を。・・・いや脱獄はれっきとした犯罪だからね」


そう言ってセラは電気を発生させた。


そのまま右手を前に出し手のひらから電気をはなった。


その電気をウィーディーはスプーンでかき消す。


そしてスプーンを半回転させ、セラに向かって柄の部分で切りつけた。


その一撃を電気の渦で巻き、磁力で逸らす。


そこに出来たすきにセラは人差し指を突き出して首に当てようとした。


人差し指はもはやスタンガンの威力をはるかに超えている。(彼はセラスペシャル1と呼んでいる)


しかしウィーディーは体をひねり、セラの片足を内側から足で狩り、体制を崩させた。


その衝撃で電気の渦が取れ、フーモアガッシャーが自由に動くようになる。


ひねった反動を最大限に利用し、フーモアガッシャーの平がセラの腹を狙った。


それをセラは素手でつかんだ。(実際はフレミングの法則を使い、速度を落としてからつかんだ)


そして後ろにと投げた。


しかし、ウィーディーはそれを放さず、逆に自分からも飛んで、セラの後ろに着地した。


すぐそこまで来ていたセラの雷球はフーモアガッシャーで打ち消す。


「やるね」


セラが口を開いた。


「凡人なら、もう10回は殺せてるな」


セラは微笑んでいる。(常に目は細く分かりにくいが、えくぼが出来る)


「相手の考えを予想し、それを外させる。

一撃の威力は高く隙も少ない。

それと、その武器。

とっても面白いね」


「時間稼ぎですか。電気を溜めるための」


「ふふ、よく分かったね!」

その言葉と同時にセラを囲むように手のひらサイズの雷球が大量に出現した。


全てが規則的にセラの周りを回っている。


「この技は久しぶりなんだけど。雷球の機関銃(セラスペシャル5)


セラの周りの雷球がウィーディーに向かって飛んでいった。


無数の雷球が全て打ち込まれた時、煙の中に彼女はいなかった。


「ん?死体は残るはず」


っと言ったものの実際に人(???)に向かってやった事はなかったので分からない。


そのとき彼の髪が風で揺れる。


(風なんて吹いていなかった)


そう思い振り返ると壁が一部破壊され、クレット博士が消えていた。


「クソッ。クレットごと逃げられた」


彼はすぐにその穴から飛び出した。


すぐ目の前は町長の屋敷だった。













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