1(見知らぬ世界)-1・世界をわたる前日に
「おまえはいつもこうだから・・・・」
とりあえずこの眼鏡じじいの言うことは意味不明だ。
教師の9割9分9厘は俺の敵だ。
「この前も・・・・」
どうして毎日呼び出されなきゃいけないんだ。学校のブレーカーを落としてやったときと、授業参観で先生のかつらを取ったときは仕方ないとして。
今日は寝てただけだぞ。セキツイ動物はみんな寝なきゃ生きてけないんだぞ。
「・・・屋上で反省しておけ」
いつもなら喜んだろう。
しかし今は冬だ。そして今日は今シーズンで一番冷えると朝のお天気姉さんが言っていた。
今隣を歩いている41歳独身は天気予報を見ないのか?
う~ん、帰り道でぬれたら大変だろうに。あっ、それで頭が煌めいているのか。酸性雨は怖いなー。俺は今日から雨にあたらず過ごそう。
ガチャリ、これは寒い屋上には風を遮る物はない。
「20分したら来る。反省してるようなら帰してやろう。」
20分か。
凍死するんじゃなかろうか。
風が強い。柵の間を風が通り抜け、薄い制服しか持たない俺に世界は冷たい。
ガチャリ。
「は~~~・・・」
俺は悪戯の王(自称)ジョーカーだぞ。
鞄の中にライターが。つかもうとする手がかじかんで震えと合わさり思うように動かない。
少しでもいい温まろうとライターを付ける。
このライターのせいで(1000%自分のせい)警察が来たことがあった。
あまり暖かくはなかったがそんなことを思い出した。
あの時は本気で走った。いくら警察といえど俺の足にはかなわなかったなぁ。(いつも逃げ回っていて自然とついたものだ)顔を見られなかったのがラッキーだった。学校には来なかった。
何しろこの世界は厳しすぎると思う。教師、警察、親、それに妹まで俺のやることにけちを付ける。
「は~~~・・・」
さっきからため息ばっかだ。
でもため息ぐらいつきたくなる。
西から黒い雲が流れてきた。
雨に当たらず過ごそうと考えていた自分がもうかなり昔に思える。
屋根などどこにもない。
いったい誰のせいで俺がこんな目にあってるんだ?(これも120%自分のせい)
あの教師が何も言わず返してくれれば。
昨晩、親に何もいわれずに寝れていれば。
警察がうちに注意しに来なければ。
ん?なにを注意しに来たんだっけ?
ああ。交番の指名手配の板にむかつくクラスメイト+妹+はげ教師の写真を張ったことか。
そんなことは許してほしい。
楽しいことをやっただけではないか。
どこかもっといい世界に行きたい。
とりあえず教師と親と警察がいないところへ。・・・あと駄菓子屋のおばさんと3丁目の田中のとこの犬、川原のじじい、1組の石島、川本、佐野、その他いろいろ。
上を見上げると黒い雲は空を完全に覆ってしまっている。
ん?何か光った。
赤い。
長年鍛え抜かれた反射神経で横に飛ぶ。しかしそれを避けることはできなかった。
「ゴロドガドガ~~~~~~!!!」
おや降ってきたな。
ずれた眼鏡を直す。
この男は東誠二郎41歳独身。
小学校からなりたかった数学の教師になってもう15年になる。
趣味は読書だ。
しかし、こんな充実した誠二郎の日々は2年前入学してきた1人の男子生徒によってめちゃくちゃにされた。
かつらを付けていたことがばれ、職員室の空気は変わった。
今では新入生からも禿げと罵られるほどだ。
その男子生徒を今屋上に閉じ込めている。
あそこには屋根がない雨にぬれさせるのはあまりにかわいそうだ。
そう思った誠二郎は屋上の鍵を取り階段を上った。
ガチャリこの音は今日三回目だ。しかしそこにはその男子生徒はいなかった。
鞄が置かれているそしてその横の床は真っ黒にこげていた。
初投稿です。初心者なのでおかしなところも多々あると思いますがよろしくお願いします。
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