第7話 与えられた大きすぎる使命
ここから逃げて、この国を何とかする方法を見つける。
正直、言われたことが大きすぎると思った。
でも……
俺の頭でも、それ以外俺たちが助かる方法は無い気がした。
何故って、この国に国家ぐるみで魔法で拉致されたんだ。
だったら、国自体を変えないと無理だろ!
日本政府が助けに来てくれるのは1000%無いんだ!
だったらどんなにメチャクチャでもやらなきゃ助からない。
ならやるしか無いじゃないか!
ソウジだってそう言ってくれるはずだ!
そのために
俺は手を上げた。
「俺も召喚騎士になる」
そんな俺に、レフィカルは笑顔を向ける。
吐き気がした。
でも、俺は言う。
さっきトオルと打ち合わせた予定通りの言葉を。
それは
「ただし、そこの金髪の女をくれ。……望めば女を世話してくれるんだろう? 俺は親友を殺されたんだ! それくらいしろよ!」
下種な発言。
こんなこと言いたくない。
親友をダシに、好みの女を寄越せなんて。
だが、逆に怪しまれないだろ。
だって欲望丸出しの発言だから。
「その女! その金髪縦ロールの女がいい!」
俺はさらにリスリーを指差してそう叫ぶように言った。
レフィカルは俺のそんな発言を
「……困りましたねぇ。ええと」
どうしたものか、という思案顔をするが。
彼女が
「レフィカル様、ワタクシは構いませんわ。これも国のためです」
すかさず「受け入れます」と言ったんだ。
これも打ち合わせ通り。
でも、その顔は真剣で
少しだけ強張っていた。
それを聞いたレフィカルは
「まぁ、リスリーさんが良いならお願いしますか。ただし、あとから変更は受け付けませんよさすがに?」
「覚悟の上です」
2人の会話。
覚悟の上か……
さすがにちょっと傷ついた。
怪しまれないための演技だったとしても。
そして
リスリーは俺に向かって歩いて来て。
「どうぞこちらに。案内致します」
仏頂面で
「これからワタクシはあなたのものになります。よろしくお願いします」
そう言って手を差し出して来る。
俺は
「ああ、よろしく頼む」
少しだけ考えて、そう言って彼女の手を握った。
小手を嵌めていたからグローブ越しだったけど。
彼女の手はほっそりしている気がした。
「ワタクシの名はリスリー・デノマススギンク・メルディールと言います。リスリーと呼んでください」
「俺の名は村田正也だ。マサヤでいい」
互いに名乗り合い。
俺たちはこの召喚の間から外に出て行った。
その去り際に
(マサヤ、スマン)
トオルのテレパシーが届いた。
そこには俺に対する罪悪感が満ちていた。
(俺はついていけない。全部押し付けてしまうが、本当にすまない)
……別に気にしてない。
コイツ、俺に遠慮して言って無いけど。
コイツはコイツで、初めてできた彼女を守りたいんだろう。
反逆予定者についていくなんて、危険極まりないもんな。
コイツはそれに彼女が巻き込まれるのが絶対に嫌なんだ。
俺はそれでコイツを、不義理な奴だとは思わない。
単に彼女が俺より大事なだけなんだよ。それの何が悪いんだ?
それに
むしろこうして、俺の逃亡に手を貸してる時点で相当マズいんだ。
これ以上なんて求められるかよ。
俺は
(気にすんな。お前が手を貸してくれなきゃ、俺もあのハゲに焼き殺されていたに決まってるんだ。それだけで十分だ)
そう返す。
これは俺の本心だ。
嘘じゃない。
召喚の間を出ると。
その外はすぐ街になっていた。
見た感じ、海外のおとぎ話を題材にしたアニメ映画でよく見る感じで。
中世ヨーロッパの街並みに似ている気がした。
今は昼のようで。
遠くには白いお城があるのが良く見える。
俺は俺の前を歩くリスリーに
「なぁリスリーさん」
「何でしょうマサヤ様?」
話し掛けると、即座にそんな返し。
ここも打ち合わせ通りだけど
「これからの予定は?」
「これから王城で、召喚騎士の名を授けるための授与式が。まぁ数日後になりますが」
先行して歩きながら、振り返らずにそんな言葉を。
俺は
「それ、出なきゃいけないの?」
「……国王陛下は今、病に伏せっておいでで、代理でレフィカル様が行うことになっておりますので」
出ていただきたいですが。
お気に召さないのでしょうか?
俺の言葉にそんな返し。
俺は頷いて
「俺、アイツに親友を殺されたんだぞ? あんな奴に名を授かるのは御免被る。それぐらいしてくれていいだろ察しろよ」
……正直、かなり無理筋で。
我儘極まりない要求だけど。
大声で言った。
誰かに聞かれることを意識して。
「承知いたしました。マサヤ様」
そしてリスリーはこの要求を受け入れる。
事前の打ち合わせ通りに。




