第3話 ようこそ異世界に
「えっ?」
意味が分からなかった。
俺は自分の鞄から英語のノートを引っ張り出そうとしていたのに。
いきなり全部消えて。
何も無くなった。
というか
全然別の場所にいた。
そこは地面が石で出来た場所で。
何かの建物の中だった。
広さは体育館くらい。
石の地面には、何か妙な模様が書かれてる。
円の中に変なマーク……
ひょっとして文字だろうか?
それがたくさん、たくさん書かれてて……
何か魔法陣っぽいな。
と、それよりも
「った」
ドスン、と。
ソウジと俺はその石の床に投げ出される。
突然椅子と机が消えたんだ。
当然そうなる。
「えっ」
そしてトオルはキョロキョロ周囲を見回していた。
トオルは立っていたからそのままだ。
背中にリュックを背負ったままで、驚いていて。
「岩戸さん大丈夫?」
そう言って、俺たち同様突然椅子と机が消えた影響で石床に投げ出されてしまった自分の彼女のところにカッ飛んで行った。
俺は
「ソウジ大丈夫か?」
「大丈夫だお前は?」
「別に大丈夫」
傍で同じ目に遭った親友相手に互いの無事を確認する。
しかし、ここは何なんだ?
見たところ、変な文様が描かれた石の床の上に、木造の建築物を建てたような……
例えると何だろう……?
大仏殿……いや、巨大倉庫か?
まぁ荷物も大仏も無いけどな。
俺たち以外いない。空っぽ。
俺たちはどうなってしまったのか?
それが分からない。
窓もない。
一応、向こうの方に大きな木の扉が1つ。
ここがどこなのか分からないが……
見回すと。
クラスの連中が皆居るように思った。
とりあえず、分からないなりに調べてみるしかないか。
俺は立ち上がり
「ちょっとあの扉を調べて来る」
「分かった」
扉に向かって歩き出す俺に。
ソウジが当たり前のように隣に来る。
歩きながら考える。
……これはひょっとしたらテレポートしたのかもしれないな、と。
あり得ないかもしれないけど。
突然目の前が真っ白になったし。色々消えたし。
クラス丸ごとテレポート。
一体なぜなのか分からないが。
(……これ、帰れるのか?)
気になったが、今考えてもしょうがない。
調べてみないと……
それでもし何も分からなかったら怖いな……。
だがそんな俺の思いは
バン、と。
突然開いた扉と、そこから入って来た男たちの姿で断ち切られた。
それはゲームで見るような西洋風の鎧兜で武装した多数の男女と……
その中心に立つ、同じくゲームで目にする豪奢な魔法使いの法衣みたいな衣装に身を包んだ禿頭の男。
30才くらいの、穏やかな顔つきの禿頭の男だ。
その男は言ったんだ。
この場所に入るなり、こんなことを。
「ようこそ皆さん。歓迎致します」
……日本語で。




