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異世界にクラス転移で召喚された男子高校生、目の前で親友を殺されたため召喚者国家に反逆す  作者: XX
第2章:無限の減速

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第11話 この国の歴史

「この国は魔王を勇者様と聖女ノーザリアが討伐することで建てられた国だとは言いましたよね」


 兎の肉を手に持ち、リスリーは話し始めた。


「そのときの勇者の子孫が今の王家で、それ以後も時折この世界に日本からの転移者が来ることがあったんです」


 ……日本でも行方不明者は年間9万人くらい出るらしいとは何かの本で読んだ。

 その中の何人かが、実はこの世界に転移してたってことなのか。


 俺はじっとリスリーの話を聞く。

 リスリーは淡々と話し続ける。


「この国はそういう人が現れるたび、召喚騎士という称号を与えて、国に組み入れて来たんです」


 召喚騎士……

 勝手にこの世界に来た人。

 それは召喚されてないじゃん、転移じゃんって思ったけど。


 この国ではそれを「聖女ノーザリアがこの国にお呼びした」と考えて。

 そういう称号だそうだ。


 そういうものなのか。


「この国はずっとそうやって2000年以上栄えてきました」


 この国の歴史を語るリスリーの声は、少し誇らし気に聞こえた。

 だけど


 その声に怒りが混じる


 それは……


「ですが、あの男が……レフィカルが現れてから狂い始めたんです」


 レフィカル。

 あの男の話だ。


 レフィカルはその実力で瞬く間に宮廷魔術師筆頭にまで上り詰め。

 さらに後宮に入り込むために、宦官かんがんになった。


「カンガン……?」


 ピンとこなかった。

 だからそう言うと


 リスリーが説明してくれた。


「去勢された男性のことです」


 ああ、それか。

 確か聞いたことがある。


 古代中国で、皇帝のハーレムに入り込むためにアレを切り取り子供を作る能力を捨てた男のことだろ?

 何かの本か映画だとかアニメで見たことがある。


 俺の納得を確認し、リスリーは話を進める。


「そしてレフィカルは陛下のご意志だと言い、召喚騎士を大幅に増やし、その力で魔族を駆逐しこの国の領土を確かなものにしようと呼びかけたんです」


 どうも、この神聖ノーザリア王国の傍にはまだ魔族が支配する魔王領という土地があり。

 いわば敵対国家が隣接しているような状況らしく。


 レフィカルは、その脅威を無くしてしまおうと言ったんだそうだ。


 そのために



 召喚騎士を大幅に増やす……?



 その言葉で、俺たちに降り掛かった災難が瞬間的にフラッシュバックする。

 突然の転移。

 抗議するソウジ。


 焼き殺されるソウジ……!


 思わず叫んでいた。


「だから日本から人間を大量に魔法で拉致したのかよ!? ふざけんな!」


 激昂する。


 俺の怒りにリスリーは頷く。


「マサヤ様のお怒りはごもっともです。この国の重鎮たちにも『それは人攫いではないか!』と異を唱えようとする人間は居ました。ですが、最終的に『それが陛下のご聖断であるならば』と皆口を噤んだのです」


 どうも後宮に入り込める権力者がレフィカル以外おらず。

 国王自身が病で後宮から出て来ない。


 なので誰も国王の真意を確かめることが出来ず、レフィカルの出して来た計画は実現することになった。


 ……なんだよそれ……?


 じゃああれか?

 ひょっとしたらレフィカルの勝手な独断かもしれないけど、誰も確かめられないからこうなったってことなのか?


 そのために……


 ソウジが殺されたってことなのか……?


 ……許せない……。


 あのハゲ男……絶対に許せない……!

 絶対に償わせてやる……!


 怒りに震える俺に。

 リスリーは目を伏せて


「すみません。申し訳ありません」


 詫びて来た。


「ワタクシも絶対におかしいと思っていました。この国の始祖である聖女様と勇者様に泥を塗る行為だと……でも、何をすればいいのか分からなくて黙っていました。同罪です」


 その声は固かった。

 震えていたと思う。


 彼女は続ける。


「……このワタクシの決断が表沙汰になれば、ワタクシの家は取り潰されると思います」


 そこでようやく俺も気づいた。

 彼女自身、とんでもない決断をしたんだということに。


 そうか……


 彼女、そんな重い決断をしてくれたのか。

 だから俺は


「……君の家族は?」


 訊ねていた。

 彼女の決断で、どれぐらいの人が巻き込まれるのか。


 彼女は言ってくれた。


「母が1人います。下級貴族なので使用人は居ません」


 そっか……

 それなのに、自分の中の正義に反すると思ったから、決断してくれたのか。


 なので俺は言っていた。


「ありがとう」


 お礼を。

 言わずにはいられなかった。


 でも俺のそんな言葉をリスリーは首を左右に振って


「……そんなことは言わないで下さい。マサヤ様」


 その、返すリスリーの声は固かったけど。


 俺に対する気遣いに満ちていたと思う。

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