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追放されたおっさん陰陽師、人間社会では無能、妖怪社会では“本物”として無双する  作者: 遠野ゲン


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第三十七話 後始末は終わらない(最終話)

 町は、いつも通りの朝だった。


 大きな勝利もない。

 派手な和解もない。

 世界は、相変わらず正しく、相変わらず足りない。


 玄十郎は、縁側で湯を沸かしていた。


 呼び出しは、減っていない。

 ただ、質が変わった。


 “全部”が自分に落ちてこない。


「……動き始めたか」


 葛葉が、屋根の上から言う。


「何がじゃ」

「責任の行き先だ」


 玄十郎は、湯飲みに湯を注ぐ。


「朝霧が窓口を作った」

「神代も関わっている」

「環城も止めなかった」


 葛葉は、少し驚いた顔をする。


「止めぬのか」

「止められない」

「だが、止めない選択をした」


 玄十郎は、息を吐いた。


「世界は変わらない」

「それでも」

「俺一人の仕事ではなくなった」


 外では、子供の声がする。

 小さな喧嘩と、笑い声。


 誰も英雄になっていない。

 それでいい。


 そこへ、手紙が届いた。

 封は簡素。

 だが、宛名は正確だった。


『例外窓口(試験運用)』

『協力要請(非公式)』


 玄十郎は、手紙を眺めて、笑った。


「……やっぱり、呼ぶんじゃないか」

「前提ではない」

 葛葉が言う。

「必要な時に、頼るだけじゃ」

「それでいい」


 玄十郎は、手紙を懐に入れる。


「行くのか」

「少しだけな」


 立ち上がり、空を見る。


 後始末は、終わらない。

 歪みは消えない。

 正しさだけでは救えない。


 それでも――


 拾う者が一人増えれば、

 世界は少しだけ、壊れにくくなる。


 玄十郎は、歩き出した。


 世界は、相変わらず正しく、

 そして相変わらず、足りない。


 だから今日も、

 誰かが拾う。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。


派手な無双も、大きな革命もない物語でしたが、

最後までお付き合いいただけたことを、心から嬉しく思います。


この作品で書きたかったのは、

「正しさが間違いではないのに、誰かが救われないことがある」という現実でした。


制度も、組織も、判断も、

間違っているわけではない。

それでも、線の外に落ちるものは必ずある。


その時、

誰か一人が全部を背負う世界は、きっと長くは持ちません。


玄十郎は英雄ではありません。

ただ、壊れきる前に手を入れる人でした。


そして最後には、

“拾う者が一人増える”ところまで辿り着けました。


世界は大きく変わらない。

でも、責任の行き先が一つ増えるだけで、

少しだけ壊れにくくなる。


そんな終わり方にしました。


もしこの物語を気に入っていただけたなら、

評価やブックマークで応援していただけると、とても励みになります。


また、続きを書くことがあるかもしれませんし、

別の形でこの世界に戻ることもあるかもしれません。


その時は、またどこかで。


ありがとうございました。

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