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追放されたおっさん陰陽師、人間社会では無能、妖怪社会では“本物”として無双する  作者: 遠野ゲン


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第三十六話 引き受ける者

 朝霧澪は、環城宗一の前に資料を置いた。


「提案です」


 環城は、視線を上げる。


「君が?」

「はい」


 資料の表紙には、短い題名があった。


『例外窓口の設置(試験運用)』


 環城の眉が動く。


「制度の外を、制度の中に入れるつもりか」

「違います」


 朝霧は、はっきり言った。


「制度の外に落ちるものを」

「“拾っていい場所”として公式化するだけです」


「責任の所在は?」

「窓口が負います」


 環城は、苦い顔になる。


「それは、責任を抱える部署を作るということだ」

「はい」

「誰がやる」

「私です」


 一瞬、空気が固まった。


「君は陰陽師ではない」

「だからこそです」


 朝霧は言った。


「術で解決しない問題が増えている」

「数値で拾えない問題が増えている」

「なら、担当が必要です」


 環城は、沈黙した。


「……上は通らない」

「分かっています」


 朝霧は、そこで言葉を切り、

 別の紙を差し出した。


「試験運用として」

「“統計モデルの改善”名目で走らせます」

「報告書の形式は、既存枠に合わせます」

「責任は、私が背負います」


 環城は、長く息を吐いた。


「君は、線を引く側だったはずだ」

「線を引きました」

「だから、引いた者が責任を作ります」


 環城は、目を閉じる。


 正しさが暴走しないために、

 正しさの中に“余白”を作る。


 それは制度設計として、筋が通っている。


「……鷹宮は?」

「頼りません」


 朝霧は、言い切った。


「必要な時に助けを求めることはあります」

「でも、前提にはしません」

「それが、あなたの言う管理ですよね」


 環城は、わずかに笑った。


「……そうだ」

「なら、やれ」


 朝霧の肩が、少しだけ軽くなる。


「神代にも協力を頼みます」

「彼なら、現場も分かる」


 環城は、頷いた。


「小さく始めろ」

「はい」

「だが覚えておけ」


 環城は、静かに言う。


「組織は変わらない」

「それでも」

 朝霧は答えた。

「責任の行き先は、作れます」


 その夜、

 初めて“拾う場所”が、

 制度の中に生まれた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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