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王子様に呪われ幼女になった公爵令嬢は、魔法使いに溺愛される  作者: もも


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9 寂しさ

 クルークの仲間の魔法使いはアンジェリカを一目見ると

「わあ、おかしな術式が絡まっているね。これは面白い…うっ失礼した。こんにちはお嬢ちゃん、僕はアンデイという者だ。闇魔法を研究している」

と特に面白くもなさそうな顔で言った。


「こんにちはアンジーです。よろしくお願いします」

それを見たアンジェリカは挨拶だけをなんとか言うことが出来た。


「術式が子供の身体に張り巡らされていて気の毒だな」

いかにも可哀想なものを見るような目で見られたアンジェリカは更に居心地が悪くなった。


「ああ、それで君に連絡を取ったんだ。でどうだ、解けそうか?」


「これは闇魔法ではなく聖魔法の光で溶かしていくしかないね。それも少しずつだ。焦るとお嬢ちゃんの身体に負担がかかる。クルーク聖魔法は使えるのか?」


「あまり得意ではないが、アンジーは属性があるが自分に掛かった呪いには効かないからな……」


「じゃあクルークが頑張るんだな」


「そうだな、やってみるよ。来てくれてありがとう。ゆっくりしていってくれ」



アンデイとクルークは久しぶりに会えて嬉しいようで、魔法の話で夜遅くまで話し込む日が続いた。




 アンジェリカは、魔法の練習をしたり自分の部屋で本を読んだり野菜の世話をして邪魔にならないように過ごすことにした。


ちょっと胸がざわざわして落ち着かなくなったがその理由に蓋をした。

だって放っておかれるのが悲しいなんてクルークには言えない。

自分は本来いるはずのない者だし、話をしているのは闇魔法を解く為なのだから。

こんなところまで子供の思考に引きずられていると思うと悲しくなった。





 クルークは台所に立って友人をもてなす料理を作った。一度深い鍋に材料を入れてしまえば出来上がる煮込み料理が多くなった。火加減は魔法でお手の物だった。様々な種類のシチューやカレーが多い。

隣にチーズやハムを切った物が綺麗に並べられて出された。ビーフシチューを作ると次の日はオムレツソースになっていた。とても美味しかった。


片付けは浄化魔法でアンジェリカが行った。



庭で採れた野菜も出番が多くなっった。レタスを手でちぎりトマトとキュウリを切ってお皿に盛ったなんちゃってサラダだ。子供用の包丁でゆっくり切った。アンジェリカにとっては立派な一皿になったが、大人たちからは何の感想もなかった。

ちょっと悲しい気がした。そうちょっとだけだ。







 ある日畑にいる時に白い仔猫が近づいて来た。生まれたばかりのようでよたよたと歩く様が危なっかしかった。


「お母さんとはぐれたの?こっちへいらっしゃい、ミルクをあげるわ」

腕に抱き上げると返事をするように「にゃー」と鳴いた。賢い!この日からアンジェリカに友達が出来た。


三人で食べる時も魔法の話が中心だ。ちっとも話に入れなかった。疎外感が半端ない。



でも私には猫ちゃんがいる!アンジェリカは白い塊を思い浮かべた。



アンデイは一週間滞在すると帰って行った。闇魔法についての進展はあったのだろうかと思ったが、クルークの眉間に皺が刻まれているのを見て話しかけるのを止めた。


暫くしてクルークが


「友人と話し込んで構ってあげられなくてごめんね。寂しかった?」と言ってきた。


「いいえ大丈夫です」この時上手に笑えていただろうか。アンジェリカはお邪魔しているだけの存在だという声が心の中で聞こえたような気がした。



仔猫は安易だがミルクという名前にした。真っ白で可愛い。不思議とアンジェリカが一人の時に遊びに来るので、クルークは気づいていなかった。











 聖魔法を練習し始めたクルークは精度を高めることに集中した。練習をするとお腹がすくらしい。アンジェリカにも覚えがあった。


「街へ買い出しに行こう。肉とかお菓子とか買おう。焼きたてのパンも良いね。アンデイが来てパントリーが寂しくなったし」


「少しだるいので今日はやめておきます。本を読んで留守番をしてます」


ソファーにだんご虫のように丸まったアンジェリカはやっとそう言えた。

何故か話すのが億劫だった。


「風邪かな、熱はないようだ」そう言ってクルークは額に手を当てて治癒魔法をかけた後、ブランケットを掛けた。


「ゆっくりしててね。食べものを沢山買ってくるよ。何かあった時のために上級ポーションも買っておこう。ケーキも久しく食べてないね。好きなのはチョコレートと苺のやつだね。楽しみに待ってて」


「はい」と答えたアンジーの背中が泣いているように見えた。放っておきすぎたか、言葉も敬語に戻っていた。幼子を放っておいて悪かったと深く反省したクルークだった。




 街へ出て買い物をすませたクルークは帰ってくるとアンジェリカの部屋を覗いた。


「アンジー具合はどう?ケーキ買ってきたよ、食べないか」


返事がないので近寄ってみると頬に涙の跡を付けて眠っていた。これは起きたらご機嫌を取らなくてはと思った。大人気なく友人と話し込むなんてするんじゃなかった。呪いで参っているだろうに健気に振る舞っているのを忘れていた。


 夕方になっても起きて来ないアンジェリカの様子を見に行ったクルークは、真っ赤な顔で苦しそうに息をしている姿を見て驚いた。

高熱を出していた。呪いの術式が動いている。急いでもう一度治癒魔法を掛けた。街へ行く前に掛けた治癒魔法は効かなかったらしい。


「くそっ、何が大魔法使いだよ」


完全に油断していた。ここに来てから普通に過ごしていたので自分と同じように考えていたが、幼児は病気にかかりやすいとアンジェリカに偉そうに言ったことを今頃思い出した。


冷やしたタオルを額にあて、上級ポーションをベッドの横に置いた。


「アンジー口を開けろ、ポーションを飲め」

首の後ろに手を当てて頭を起こすと口元に瓶に入ったポーションを近づけた。少しだけ開いた唇の隙間から少しずつ流し込んだ。


無意識のうちに喉が受け入れたのだろう、少し溢れたが上手に飲ませることが出来た。

しばらくすると呼吸が落ち着いてきて、術式も動かなくなっていた。


それを見て安心したクルークは大きく息を吐いた。一生自分を許せなくなるところだった。






読んでいただきありがとうございます!

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