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王子様に呪われ幼女になった公爵令嬢は、魔法使いに溺愛される  作者: もも


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4 魔法使いは良い人でした

 転移魔法で一瞬で移動した街は人々の声がざわめく活気のある場所だった。

アンジェリカは王都に住んでいたが、屋敷と王宮の往復で時間が取られ街歩きなどはしたことがなかった。きょろきょろと見回していると手を繋がれた。

「アンジー迷子になる」


「はい、クルーク様」


「様はいらない。平民には不要だ」


「で、でも、今は年が上ですし」


「クルークでいい」


「ク、クルーク街は活気があるのね」


「そうだな。この先に何でも揃う雑貨屋がある。下着だけでなく洋服も気に入れば買っていいぞ。度々は来れないから欲しいものがあれば買うといい」


「お金がないので必要な分だけでいいです。あっドレスやアクセサリーが元の大きさに戻ればそれでお返しします」


「そんなことは気にしなくて良いぞ。こう見えて金はあるんだ。買い物を楽しめばいい」


店員がさっとやって来て接客をしてくれた。

「この子に似合う服や下着を見繕ってくれないか」とクルークが言うと


「まあ優しいお兄様で良いですね。お客様には可愛らしいものがお似合いですよ。これなんかいかがですか」



店員はピンクや黄色のワンピースや白いブラウスに黒や赤のフレアースカートを次々と持ってきた。

靴もワンストラップの物からブーツまで色々並べられた。


姿見のある奥の部屋に連れて行かれ試着をさせられた。流石に下着はこっそり見せてもらった。気の利く店員だ。令嬢のときのようにシルクではないがリボンやレースの付いた可愛らしい物だった。遠慮なく買って貰うことにした。



普段着に対しては「クロさんに貰った洋服があるのでもったいないです」

と言ったが

「子供が遠慮しなくていいんだよ」と言って取り合ってはくれなかった。その上アンジェリカが悩んでいたワンピースやブラウス、スカートを全て買った。




 店員に勧められて買った物は空間収納に入れてあるのだが、普段入ったことのない店内に気を取られているアンジェリカは気が付いていなかった。

帰ったら驚くだろうなと思うとクルークは久しぶりににやにやが止まらなかった。


「色々と買っていただきありがとうございます。すごく楽しかったです」


「うん、それなら良かった。次は食料品だ。肉や野菜をたっぷり買って帰ろう。何か好きなものはあるか?やっぱり菓子か?そう言えば床に菓子が沢山散らばっていたな」


「それはお城のお菓子です。あれはもう食べたくありません」

だって毒が仕込まれているかもしれないじゃないですか、というのは誰に聞かれるか分からないので口には出来なかった。


「なるほどな、処分しておこう。じゃあ市場に行くぞ」


 歩いて十分くらいの所にある市場はさらに活気があった。商店の軒先で店員が大声でお客を呼び込んでいた。店先に台を出しそこに目玉商品が置かれていた。

鮮度の良い野菜や果物が所狭しと並んでいるのは美味しそうで見ていて目を奪われた。


クルークは目につくものを片っ端から買っていた。そんなに買って大丈夫かなと思っていたら


「心配しなくてもしまう場所はちゃんとある。それに僕は大食いなんだ。好きな食べ物はあるか?キャンディや焼き菓子も買おう。果物もいるな」


一人で納得しながらクルークは山のように買い物をし、空間収納にしまうと満足そうな顔をした。初めて見る魔法に驚いたアンジェリカは


「今空間に仕舞われましたね。空間収納ですか?凄いです、初めて見ました」

と大きな声を出した。


「大した魔法ではない。それより歩いて疲れただろう、ほら甘いぞ」

と言って差し出してくれたのはクレープだった。薄い卵生地で生クリームと苺が包んである。ゴワッとした紙の袋に入っていた。クルークはローストチキンとレタスが入った物だった。飲み物はレモンジュースだった。


気がつけば甘い匂いがする店の前だったとアンジェリカはクレープを見ながら漸く気が付いた。昨日からの出来事で緊張していたらしい。


「苦手だったか?」心配そうなクルークの顔が前にあった。


「いえ、美味しそうです。初めてのことばかりで驚いてしまって、すみません」


「そうだったな。その先にコロッケのうまい店があるからそれを買ったら帰ろうか。家でゆっくり食べよう」


「はい」漸く返事をしたアンジェリカは目まぐるしく起きる楽しいことに付いていけていなかった。



クルークに抱っこされ気がつくと元の山小屋の台所に座っていた。


甲斐甲斐しくクルークがホカホカと湯気の立つ熱々のコロッケとクレープを皿に並べていた。


「さあ頂きますのご挨拶をして食べよう」

ここまで来るとアンジェリカはクルークを良い人認定をした。カミラ並みに気がつく人だ。熱々のコロッケにパクっと齧りついた。外がカリッと揚がっていて中から旨味のあるジャガイモとミンチ肉が抜群のハーモニーを奏でていた。美味しくて涙が溢れた。

それを見たクルークが慌ててハンカチで拭いてくれた。


「どうした?熱かったのか、火傷したのか?水を飲むといい」


アンジェリカは嬉しさがこみ上げ涙が出たのだが、それを側でクルークが心配そうな顔で見ていた。


「ちゃんと解呪するから泣くな」


「美味しくて涙が出ました。よろしくお願いします」


コロッケは涙の味がした。


読んでいただきありがとうございます!

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