14 魔法使いの溺愛計画 2
アンジェリカはこの頃ミルクが来てくれないので寂しく思っていた。以前はクルークがいない時に来てくれた。この頃はほとんど家にいるから嫌なのだろうか?
それともお母さん猫の所に帰ったのかもしれない。いずれ公爵家に帰る時には連れて帰りたいと思っていたのだが、ままならないものだ。
また夢の中にでも現れてくれないだろうか。大好きだったのに。そう思って眠ったせいだろうか夢の中で会えた。
★
「アンジェリカ、もし少しで呪いは解ける。そうしたらどうする?ここに残るの?」
「残れないわ、ここはクルーク様の家だもの。私がいては迷惑になるわ。
公爵家に帰ってお父様にお礼を沢山贈ってもらうつもりよ。それでね領地の外れの小さな別荘で暮らそうかと思ってる。ミルクも一緒に来てくれたら嬉しいわ」
「ふ~ん、もたもたしてるんだな」
「もたついてはいないわ。解呪は順調なんだから」
「違う意味なんだけど今は子供だもんな、仕方ないか」
「夢でもミルクに会えて嬉しいけど、昼間は来てくれないの?抱っこしたいわ」
「う~ん、王様の許可が降りたら来るよ。魔法使いに正体がバレてもいいか聞いて来る」
「えっ猫の王様がいるの?」
「猫ではないけどいるよ。許可が出たら話すよ」
「うん、待ってるね。ここに来ない時はいろいろな所に行ってるんでしょう。ねえ何かお話してくれない」
「アンジェリカが面白がる話はないかな。女の子ってどんな話が好きなの?」
「外見が子供だけど中身はお姉さんだから難しいわね。あっ生まれてからのことでいいわ。兄弟が何匹いるとか、お母さんはどんな模様だとか」
「兄弟はいないよ。母さんというものもいない。気がついたら生まれていてアンジェリカのところに来た。引き寄せられたって感じかな」
「……?ミルクってもしかして精霊だったりするの?」
「よく出来ました。ケット・シーっていうんだ」
「私に精霊のお友達が出来たのね、素敵。魔法使いとは相性が良くないの?」
「う~ん、たまに捕まえようとしたり攻撃して来る奴がいるんだ。普通の人間には猫にしか見えないけど魔法使いにはお見通しだそうだ。僕は仔猫だからはね返す力がまだ弱いんだ。正確には眷属かな。だからずっと一緒にいるよ。見えてなくても側にいるから安心して」
「嬉しい!私だけの味方でいてくれるのね。でもケット・シーを攻撃するなんて怖いもの知らずがいるのね」
「普通はやらないんだけど、魔法馬鹿が力試しにやることがあって油断できないんだ。もうおやすみ、よい夢を見て」
「これが良い夢よ」
夢の中でミルクと話ができたアンジェリカは大満足で目を閉じた。
★
「今夜は胴体にしようと思うんだけど良いかな?残りは頭だけになるけど繊細な部分だから別々に解呪したいんだ」
「もう少しで解呪出来るんですね」
「ああ、楽しみにしてくれ」
「解呪していただいて本当にありがとうございます。父に頼んでお礼は沢山しますね」
「お礼なんていらないよ。気にしなくていい。勝手にやったことだからね」
「あの、父に手紙を書いて生きていることを知らせようと思うのですが、どうすればいいでしょうか?」
「僕の使い魔の小鳥がいるんだ。それに届けてもらおう」
「呪われて幼女にされたと書いても平気でしょうか?そんな娘は要らないと言われたらどうしたら良いのか分からなくなります」
「そうしたらここにずっといればいい。家ももっと大きくしよう。アンジーは可愛い弟子だ、心配するな」
言ってしまってからクルークは、しまったと思ったがまだ幼女だと自分に言い聞かせた。明日解呪すれば成人に戻る。口説くのはそれからだ。
クルークをきらきらした眼差しで見つめたアンジェリカは
「………嬉しいです。明日は全部元通りになるんですね。やはり凄い方なのですね」
「元に戻るよ。楽しみにするといい」
「はい、楽しみすぎて興奮してきました」
「さあもうおやすみ」
「明日が楽しみだからなのか分からないですけど眠くならないんです。もう少しいてもらっても良いですか?」
「そういうものなのかも知れないな。いいよ眠くなるまで傍にいるよ」
「年齢をお聞きしても良いですか?」
「気になるのか?」
「大人に戻ると私の方が年上かなと思いますので」
「それはないな。魔法使いは年を取るのが遅いんだ。人の一年が二年になる。だから今は三十四歳だ。おじさんで驚いたか」
「三十四歳はおじさまではありませんわ。見た目が十七歳ですもの。魔法使い様は永遠の命があるのかなと思っていました。本の読みすぎですね」
「それは年を取らない呪いを掛けられた奴だ。たまにいるんだよ」
(魔女を弄んで呪いを受ける奴が)という言葉は教育上よろしくないので言わずにおいた。
「そうだったのですね」
「うん、気持ちが悪くなったか?見た目詐欺だもんな」
「とんでもありません。気持ちが悪いなんて思ったことは一度だってありません」
「そ、そうか。良かったよ、嫌われてなくて」
「救われた上に魔法を教えていただき尊敬していますので、嫌うなんてありえませんわ」
「そうか…、良かった。じゃあもうおやすみ」
「頭を撫でていただけませんか?」
「いいぞ、眠るまで撫でてやろう」
大きな手が気持ちいいのか直ぐに寝息が聞こえてきた。
自分を信じ切っている幼女の顔を暫く見ていたクルークだった。
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