12 間話2 アシロホ王子視点
俺は平凡で秀でたところがない王子だ。容姿は美しい母に似て美しく整っているがそれだけだ。
婚約者のアンジェリカは綺麗で頭が良く語学が堪能で各領地や海外の特産品から、貴族の名前までしっかり覚えていた。
両親から臣下まで皆アンジェリカを褒める。出来の悪い王族にはしっかりした妃をということで十二歳の時に婚約した。公爵令嬢で年も二つ下だったから、釣り合いが良かったためだろう。
初めて会った時は綺麗な子だと思った。王子だから政治の為に結婚をするのだろうという覚悟はあった。
生まれた時からやっていた王子教育が難しくなっていて、ぎゅうぎゅうに予定が詰まっていた。一緒に勉強をする科目もあって励まし合ったこともあった。
でもアンジェリカは天才だった。一度で何でも覚える。何日もかけて覚えたことが虚しくなるほど。
俺が努力して努力してやっと出来てもアンジェリカはずっと遠くに行ってる。王子でさえなければ逃げ出したかった。
そんな俺の息抜きが属性の闇魔法だった。魔法の研究と称して自分の時間を捻り出した。アンジェリカにも魔力の属性があったらしいが諦めて貰った。これで魔法まで出来たら、立つ瀬がない。
まずは認識阻害魔法を習得した。王族にとって必要だからな。
それから闇魔法の勉強をした。自分の属性だったので面白かったが、途中で難しくなった。ちっとも頭に入ってこない。でもアンジェリカに勝つにはこれしかないと思って頑張った。
実験で犬を小さくした。成犬が子犬くらいの大きさになってそれはそれで可愛かったが、城で飼うわけにはいかないので影に捨てに行かせた。その後どうなったか知らない。
アンジェリカに会う度に鬱憤が溜まってしょうがなかった。取り澄ました顔でお茶を飲んでるからだ。何とか破談に持ち込もうとして妃狙いの令嬢を側に置いてみたがアンジェリカの反応がちっとも無くて失敗だった。
そんな時に閃いた。毒を飲ませると後が厄介だが、小さくなる魔法を掛ければ全て上手くいくんじゃないかって。子供にして山にでも捨ててしまえば、生きていけないだろう。
万が一助かっても公爵家には戻れない。
一生子供でいる魔法だ。化け物扱いされる。
山から歩いて帰ろうとしても体力的に無理がある。元々令嬢だしな。獣や強盗に襲われる可能性が高い。こんなことを思いつくなんて俺って天才じゃない?
頭の悪い見かけが綺麗な高位令嬢を妃にすれば劣等感から縁が切れるし、俺的にハッピーエンド?
それであの日周囲に認識阻害魔法を張り巡らせて実行した。
「殿下私小さくなったような気がするのですけど」だったか、見ものだったな。あの冷静なアンジェリカが驚いて目を丸くしていたんだから。
ずっとあんなふうにしてくれていたら傍においてやったのに。
生きてはいけないように子供にして影に山に捨てに行かせた。
★
北の塔にアンジェリカの幽霊が出るようになったのはそれから半年程経った頃だった。使用人が噂しているのが耳に届いた。
夜こっそり見に行くと本当にアンジェリカの幽霊だった。死んだんだ…。
思っていたが見ると怖くなった。
あまり見ていると祟られるかもしれないので、何とか逃げした。
俺の支持が低下してると陛下から言われた。縁談も来なくなったらしい。臣下に下るようだ。公爵ではなく伯爵だ。闇魔法を使ったのがバレたようだ。どこでバレた?完璧だったのに。
伯爵なら遊んで暮らせるな。どうせ優秀な文官が付くだろうし。父上ありがとうございます。
王太子は弟の第二王子がなるようだ。亡くなった側妃腹だが優秀だからな。
婚約者は侯爵家の令嬢だったな。精々頑張って国を良くしてくれ。
油断し切っていた頃幼児になった。呪い返しだ。どうして…。あいつは死んだはずではなかったのか?死んだから呪いが返ったのか…?死ぬまで子供のままだ。
呪われたと言って何とか誤魔化そうとしたが、王宮魔術師に闇魔法の呪い返しだと一発で見破られた。
父上が鬼の形相になっていた。北の塔行きが決定した。アンジェリカの幽閉が出る所だぞ。怖い。
姿の変わらない子供なんて気味わるがられるだけだ。この姿で何年生きるのだろう。ぶるっと身体が震えた。臣下の視線が冷たい。
★ 国王陛下と王妃様の会話
「どうしてあんなに捻くれてしまったのでしょうか?子育ては難しいものですね」
「アンジェリカ嬢には申し訳のないことをした。相性が悪いのに優秀だからと婚約者として縛り付けるのではなかった。呪い返しがあったということは何処かで生きてはいるのだろうな。公爵に謝っても許しては貰えまい。反旗を翻されても仕方のないことをした」
「王家はもう終わりでしょうか?他の王子達が可哀想です」
「第二王子が王太子として執務を出来るようになれば、監督不行き届きで王の座を引退する。全てはカラナビ公爵に委ねる事としよう」
「そうですわね。私達の退位で済めばいいのですが…」
読んでいただきありがとうございました。胸糞王子はアンジェリカに対して反省もせず本当に胸糞でした。
犬の時点で気が付かない親も(報告は受けていた)どうかとは思いますが、ここまで歪んでいるとは思っていなかったのでしょう。
親の心子知らずの親不孝者でした。




