第28話:焦土作戦
第28話:焦土作戦
「焦土作戦とはなんだ」
「あのスライムは、周辺の水、植物、動物などのをエサにして体を保っていると思います。ですから、この周辺の全ての植物を焼き、水場には毒を投入し、あのスライムを飢えさせる作戦です。特に水場は厳重に汚染すべきです」
「なに、また塩をまくのか」
「いえ、今回は即効性が必要です。本当の毒を撒きます。鉱山から出た鉱毒を大量に投入します。これはヒ素、水銀、鉛などの毒の塊です。どんな動物にも甚大な被害を出せます。幸いなことなのかわかりませんが近くに鉱山都市グランツがあります。その鉱山からでた鉱毒の水が溜まっている場所があるのも知っています。これは何とかしないと思っていましたが、今回はそれを利用します」
「ここは何にもない荒野で、人は全く住んでいません。そこで徹底的な毒による焦土作戦を展開します。この地区は今後何十年も死地となりますが、仕方ないと考えます」
「他に方法はないのか」
「私には考え付きません。何度攻撃しても、スライムの一部でも残り、水がある限り、そのスライムは復活します。これ以外ないと思います」
俺は悩んだ、この作戦を行うと、この地区は何十年も人も動物もすめない土地になってしまう。が、もともと人の住んでいない荒野で、全く利用価値がない所ではある。
そして、あのスライムがグランツやベルゲンや、ましてや王都に出現したら、どれだけの被害が出るか分からない。
「この作戦しかないなら、やらない訳にはいかないが。被害が甚大だ。これは王都の承認がいる。カミーラ様、王都に連絡していただけますか」
「お安い御用じゃ。魔鳥を至急飛ばそう」
「王都からの返事を待つ間、間断なく火炎攻撃を行い、スライムを少しでも弱らせる。攻撃開始する」
魔導士団と、騎兵団に、無理をしない程度の火炎攻撃を行わせた。
攻撃を受けるたびに、スライムはブオオーと叫んだ。
「本当にやるんじゃな。鉱毒は本当に毒じゃぞ、わしも何とかせんとは思っていたんじゃが」
「やらなかればならないなら、します。あいつは退治しなければいけないやつです」
「そうじゃな、いい心がけじゃ」
翌日王都からの使者が来た、焦土作戦を認めるとのことだった。
「承諾をえたぞ焦土作戦を開始する」
北部の鉱山より運び込まれた鉱毒水が、周辺の全ての沼や水たまりなど全ての水場にに投入された。
大量の火矢と、火炎弾がスライムに投入された。
ブオオーとスライムが叫び、スライムの一部が吹き飛んだ。
スライムは近くの水たまりに近づき、その水の飲んだ。しかしその水は毒をたっぷり含んでいた。
ブオオー、とスライムは叫んだ後、飲んだ水を含む自分の体の一部を吐き出した。
スライムはブオオー、ブオオーと悲しそうに鳴きながら、水を探しに移動しだした。
そして、また火矢攻撃と、火炎弾攻撃がスライムを襲った。今回はスライムの隙を付けたようで、その体の一部が吹き飛んだ。
ブオオーとスライムが鳴いた。
スライムは、周辺の水たまりから水を補給しようとしたが、どこの水たまりにも大量の毒が含まれているのを知っただけだった。
スライムはブオオー、ブオオーと鳴きながら、きれいな水を探し続けたが、全く見つからなかった。
ブオオーとという鳴き声が段々悲しげになってきた。
その作戦が何日も続いた。
スライムに向かって、火矢と、火炎弾が撃ち込まれ続けた。
スライムは段々と小さくなってきていった。
ブオオー、その鳴き声は哀愁を帯びだしていた。
そして、その声を聴き続けていたマリーベルの精神が弱って来た。
「あの声が耳を離れないの」
マリーベルは、疲れ切り腫れぼったい顔でそう言った。
あまり寝られていないようだった。
「マリー、もうどうすればいいかは良く分かった。君がここにいる必要はない。眠れていないんだろう。ベルゲンに送るからそこで療養してくれ」
「でも、まだ事件は解決していません」
「いや、目途はついている。このまま消耗戦を続けても最後は倒せると思うが、それは時間がかかると思う。そこで、とどめをさす必殺の武器を王都から輸送させている。それであれを仕留める」
「それは何」
「騎士団総長より絶対口外するなとの命令を受けている。残念だがマリーにもそれは言えない。が、これで絶対に解決する」
「私の大事なマリーが弱っていくのはは見たくない、ベルゲンで吉報を待っていてくれないか」
俺は、マリーベルの目を見てそう言った。
「分かったわ、私はベルゲンであなたを待ちます。なるべく早く来てね」
そういうと、マリーベルは俺の頬にキスをして、そのまま去っていった。
俺は、キスしてくれた頬に触った。体の奥底から力が湧き出すのが分かった。こいつは本気の本気を出さなくちゃあな。
スライムは連続した火炎攻撃により、かなり縮小し、大きさが10メートルを割っていた。これなら、何とかなるだろう。
そして、王都から最新鋭の巨大バリスタが到着した。




