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第21話:塩

第21話:塩


「何だって」

「もう一度言います。植物にとっての一番の毒は塩です」

「考えてもみてください、海のそばでは塩害で、農業ができないではないですか。さらに古代の戦争で、敵国の首都を落とした後、そこが絶対再建されないようにと、勝った側がそこに塩をまいたという記録があります。塩は植物にとって毒なのです」


「ならば、塩を撒けばいいんじゃな。簡単じゃろう」

「はい、みれば、この植物は王都の第3大下水道の上に立っています」

「そういえば、ここはそうだな。そこから水分と栄養を得ているのか」

「そうです。ですから、この下水道の上流をせき止め他の下水道にバイパスし、水が流れないようにし、そこにあるだけの塩を投入すれば、この植物は枯れます」

「それは、他の問題は起こさないのか」

「はい、毒と言ってもたかが塩です。今回は幸い上水道ではなく、下水道でした、人間への影響はほとんどないと思います。せいぜいこの周辺の植物が枯れる程度だと思います」

「また、この塩水は最終的にはキンバリー川に流入しますが、大河キンバリーではたいした影響は出ないと思います」


「よく分かった、しかしこれは俺達だけでは決められん。騎士団総長に報告しないと」

「その必要はないんじゃ。このやりとりは、いちいち魔道鳥に託し、宰相に報告してある。これは紛れもない非常事態と認定された。それに我々のこれまでの実績があるからな、王宮でも摩訶不思議な事件はこの3人に任せればいいんだとの認識が生まれているのじゃ。この書類をみろ」

カミーラが一枚の書類をかざした。そこには、この事件に関する一切の権限を与えるとあった。第一騎士団も自由に使って良いともかいてあった。宰相、騎士団総長、第一騎士団団長、その他偉い人の名前がズラズラ署名されていた。これは間違いなく正真正銘の白紙委任状だ。この事件に関しては何やっても許されるのことになる。


「これは紛れもない白紙委任状、それも最強の。なにしても文句言われませんな」

「そうじゃろう。ならばやらねばならんことをするのじゃ」


そこに第一騎士団の隊長達が集まってきていた。

「この書類をみろ。この事件に限り、われわれ3人に全権が与えられた。今後の指揮は私がとる。また、何があっても全ての責任は私に帰することをここに宣言する」

「なにをすればいいかはルーデンドルフ嬢が全て知っている、彼女の指示に従えば、この事件も問題なく解決する」

それを聞いて周囲から歓声があがった。


おれはマリーベルを促した。彼女は決心したように話し出した。

「この植物は、王都転覆を計る反逆者により、王都を混乱させるために植えられた古代植物です。このまま育ちますと花が咲き、種をまき散らし、この植物が王都中に出現し、王都は壊滅します」

周囲がざわめいた。

「いかし、まだ間に合います。この植物はこの大下水道の上に生えています。そこから水と栄養を得ているのです。この上流を塞ぎ、水が流れないようにします。さらに植物にとって最大の毒は塩です、それを大量に下水道の上流から流し込みます、また、この植物の周囲もほりさげ大量の塩を投入します。それで、この事件は解決するでしょう」


周囲から歓声が沸いた。

「第一騎士団第一隊は下水道の上流を塞ぎバイパスを作ってください。第二隊は王都中の塩を集め、ありったけの塩をバイパスの上流に放り込んでください。第三隊はこの植物の周囲を掘り返し穴を掘り、そこに塩を盛ってください」

「さらに私が、お父様、ルーデンドルフ公爵に依頼しあるだけの塩を王都に輸送していただきます。ルーデンドル領は海に面しています。塩も大量にあります。それもありったけ投入します」

「よし、全員良く分かったな。それでは作業に移ってくれ。王都の下水道に詳しいものは今ここに向かっている。その者と協力し、作業にかかるように。第四隊と警備隊は個々の周囲の警備を命じる」

各自が持ち場に散り、きびきびと働きだした。


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