第13話:ベルゲン港
第13話:ベルゲン港
翌日、俺たち調査団一行は、馬車でベルゲンに向かった。第二騎士団の騎馬が護衛についていた。
俺達は、馬車の中で、詳しい説明を聞いた。
第二騎士団の隊長が港の地図を前にして説明した。
「港の中の南側の防波堤の所に、その島がいるのです」
皆地図を覗き込んだ。
「これは邪魔そうじゃな」
「なんでこんな所にいるんでしょうか」
「いつもここに戻ってくるのか」
「はい、いつもここです」
「うーむ」
「それから第二騎士団による予備調査の結果を報告します。この島はほぼ円形の島で、直径は45メートルから55メートルの間になります。高さは水面上に出ているのが高くても1メートルありません。水面下は8-9メートルはあるようです」
「なんらかの生き物ではないかとの意見もあり、島の上から槍でついてみたり、穴を掘ったりしましたが、なにも起こりませんでした」
「槍は通ったのか」
「通りました、ほとんど抵抗なくズブズブと根元まで刺さりました。それで出血するとか、暴れるという事は全くありませんでした。また掘ることもでき、掘ったものを分析すると、流木、海藻、その他雑多なゴミのみでした」
「それは単なる浮島じゃな。これは生き物っぽくないのお」
「歩く山とは勝手が違うか」
「はい、今回は違うような気がします」
マリーベルは考え込んだ。
「他は何も出なかったのじゃな」
「えーと、他と言いますか、この島にはカニとエビが大量に生息しておりまして、掘るとそいつらがワラワラと現れました」
「スキマがたくさん有って、住みやすいんでしょうね不思議はありません」
マリーベルが博物学者らしい意見をいった。
「これだけでは、この島が移動する理由がわからん。後は実地調査するしかないな」
「うむ、実に楽しみじゃ」
王都からベルゲンまでは馬車で3日ほどの距離だ。
やっとベルゲンの町が見えてきた。
確かに美しい港町のようにみえたが、なんだか活気がないようにもみえた。
ベルゲンの町に着いた。馬車から降りたが、周囲にはあまり人がいないようだった。
「なんか、寂れた町じゃな」
「皆、漁に出ているので、今は人がいないのかもしれません」
「今日はもう遅いので、騎士団ベルゲン支部に泊まっていただきます」
騎士団ベルゲン支部は、大きい建物だっただ、人の出入りが少なく、やはり寂れて見えた」
「うーむ、これはなんじゃな」
「泳ぐ島もそうですが、この町の寂れたところも何とかできればいいんですけけれど、住民の皆様が可哀そうですわ」
「それはわかるが、まずは目前の問題を何とかしましょう。この島は邪魔なだけで特に何も害をなすわけではないので、ゆっくり調査できると思います。まあ、とにかく明日ですね」




