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少年少女  作者: やまだ
7/8

。。

田中くんの不登校が始まって一週間。

私は自主的に花を持って田中くんのうちに行った。

もちろん一人で。

灰色や黄土色のおもちゃみたいな角張った家がおんなじように並んでいる

そんな集合住宅街を十分くらい歩いたら田中と表札に書かれた

積み木みたいな家があった。

事前に電話をかけたら、全くもって田中くんのケータイにつながらなかったので

アポなし訪問だ。

チャイムを押したら、田中くんのお母さんが玄関から迎え入れてくれた。

私は泣きそうになりながら、お母さんの案内で田中くんの部屋を目指す。

田中君の部屋はむっとした匂いがした。平均的な小学生の勉強部屋なのに、

汗と皮脂と生臭い匂いが混じって目眩がする。ベッドに膨らみが見える。

田中くんだなあと思う。

お母さんがもうあんた!と剥がす。ほんとうにごめんねえと私に謝った。

田中くんは青のストライプのパジャマをきて亀のようにうずくまっている。

ちょっとお茶持ってくるねえ本当にごめんねえとお母さんは台所に行った。

パタパタとスリッパの音が遠くなる。田中くんの姿勢は変わらない。

「私とあんたのおかあさんそっくりだね。気持ち悪いくらい。」

「あんた、母親を私に投影してたんだ。」

田中くんがもぞもぞと起き上がる。

「あんた最低だ。」

振り返った。少しむくんだ、白い顔。

ちょっとこっちすわってと言われた。ベットから離れた畳に座る。

ごめん、でもでもきみがすきなのは本当なんだよ。

結婚したいくらいに

「セックスすんなら母親とやればいいじゃん。」

ばいばい。花をおいて帰った。ブーゲンビリア。

帰り道、佳奈ちゃんからメール来てた。

「いまなにしてる?v」

佳奈ちゃんに歩きながら電話をかけた。全部しゃべった。田中君とつきあったこと

いじめのこと、悲しかったこと、気持ち悪かったこと。

電話を切った。歩いてるうちに見つけたコンビニのトイレで30分泣いた。



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