君辞(きみじ)
ねじれた靴紐
朝焼けを裂くように
昨日を引きずって
また始まる
空の色も
標識の矛盾も
ぜんぶ嘘みたいで
だけど確かに在る
嗚呼
誰か
「君」を定義できる辞書をくれ
心の裂け目に言葉が降っても
記憶はフィルムの焼き付けみたいで
時間を逆再生しても
途切れた会話は戻らない
失くしたものはどこにもないのに
なぜか耳の奥でまだ響くんだ
「大丈夫だよ」って
不思議だホント
嗚呼
それも含めて
「君」を定義できる辞書をくれ
そしたら
一文字じゃ閉じ込められない
いつかを
きっと
僕なりの答えで引いてみせるよ