100点満点。
「アキちゃん、雪。」
目の前の大きな背中に言う。
「本当だ、道理でこんなに寒いわけだ。みちる、上ばっか見てっと転ぶぞ。」
大きな背中の彼は振り向いて足を止めた。
優しく微笑み、ポケットに入れられていた手が私に差し伸べられる。
その手は暖かい。
「みちる、手、冷たい。」
「アキちゃん、手、あったかい。」
私よりも頭一つ分大きくて、5歳年上のアキちゃん。
いつの間にか手も大きくなっていて、私の知らないことをたくさん知って大人になっていくアキちゃん。
私はアキちゃんのことが好きです。
アキちゃんは私のこと。
不意に手のぬくもりが消え、冬の空気が私を現実に引き戻す。
「みちる、家着いたよ。」
「ああ、うん。送ってくれてありがとう。」
「どういたしまして。あ、良いお年を。」
「うん、良いお年を。」
遠ざかる背中を見つめていると、私とアキちゃんの心の距離が離れていくような気がした。
アキちゃん。
いつから私のこと遠ざけるようになった?
二人でいると息がつまりそうになるのはどうして。
昔は楽しかった、ただアキちゃんといることが楽しかった。
今は、苦しいよ。
そばにいるだけじゃ、足りないの。
私のことだけ見てほしいの。
どんどん欲張りになっていく。
でも、仕方がないんだよ、
だってこれは恋だから。
「…アキちゃん!」
遠ざかる大きな背中が消える前に、精一杯大きな声で彼の名前を呼んだ。
来年は笑ってあなたに会いたいから。
振り向いた彼は、相変わらず優しく微笑む。
「どうした、みちる?」
私の吐く息が淡く雪に交じる。
「好きでした。」
本当は知ってたよ、アキちゃんに大切な人が出来たこと。
私を傷つけないように、優しく遠ざけてくれていたこと。
もう、私の瞳には彼がはっきりと映らない。
「…結婚おめでとう。」
笑顔で言いたかったけれど、やっぱり涙が溢れてしまった。
だけど、来年からは笑ってアキちゃんに会える。
だから今日の私は100点満点。
処女作です。
稚拙な文章で大変お見苦しかったかとと思います。
もっともっと精進していきますので気に入っていただけたなら次回もよろしくお願いします。