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天使の反乱~地上編~  作者: ますっす
目覚めの章
8/12

波崎天と鹿島天菜

「あ~あ、応援来ちゃった。」


波崎がまだまだ余裕ですが?、とでも言いたげに軽い言葉を発する。

むしろ、相手が増えて喜んでいるようにも見える。


「岩本さん、本気でやっていいよね?」

「もちろんだ。聞きたいことも多い。第一は自分の安全。そして第二に、あの少女の確保だ。戦闘は天菜に任せよう。」

「了解!!」


元から西部に向かっていた岩本は近くの廃病院を手当たり次第に探した。

そして、廃病院自体はすぐに見つかった。

天菜に場所を連絡し、自分は仕掛けを施していた。

天菜は岩本の連絡を聞き、すぐに廃病院へと向かった。

三ヶ里の通信が聞こえた時から、南部で反応のあった想造者の保護は諦めていたのだ。

目星はついているが、逃がしてしまったことに変わりはない。

他の軍団に見つからないか不安がないわけではない。

だが、岩本さんによれば、よほど分かりやすい想造力でなければ他の軍団に見つけ出す手段はないのでしばらくは大丈夫だろう、とのことだった。

そんなわけで、西部を先に片付けてから南部の想造者を保護することにした。


「まとめて三人は面倒くさいなぁ」

「そう?私一人で十分でしょ。」


耳元でそう囁きつつ、一発蹴りを入れる。

波崎が後方へ吹き飛んだ。


波崎(なみざき) (あめ)

確かそう言ったか。

・種を”成長”させた木を武器にする。

・見た目は少女だが、大男に成長する。

・成長により、怪我の治癒が可能。

・想造力は”成長”。

三ヶ里は随分と沢山の情報をくれた。

情報は大きなアドバンテージだ。

相手の攻撃手段が分かっているだけで、勝負が変わってくる。

分かりやすく例えると、テストの過去問を解いているか、いないかの違いだろう。

同じぐらいの学力であれば、過去問を手に入れた者がいい点を取るのは当然のこと。

相手よりも、いい点を取る最も簡単な方法だ。

そう、同じぐらいの学力であれば。


吹き飛ばされたというのに、波崎は相変わらずの余裕ぶりである。

痛覚というものを持っていないかのようだ。

常人ならば弾丸を一発でも食らえば、肉をえぐられただけでも動けなくなるほどの痛みが伴う。

貫通した時の痛みなど言うまでもない。

三ヶ里の弾丸を何発も受けておきながら、平然としているのは明らかな異常であった。

能力で痛覚遮断でもしているのか。


「速いね。音速は超えてるのかい?」


粉塵の中から波崎が出てきた。

そして平然と質問をしてきた。

A. 超えてる。

測ったことはないが、拳銃の弾丸より速く走れることから分かる。


「音速で物体が動くとさ。ソニックブームっていうのが生まれるんだよ。世界の理に従えばね。」


世界の理…ね。

言いたいことは何となく分かった。

私は世界の理を無視している、壊しているとでも言いたいんだろう。

確かに、実際その通りだと思う。

少女の肉体で、一瞬で音速に達すれば、普通は肉片になる。

慣性の法則もはたらいているのか疑わしい。

音速で蹴りをしようものなら足も壊れる。


確かにこう考えると不思議なことが多い。

だが、現状、可能であるのなら気にすることもない。

想造力はご都合主義なのだろう。

考えても無駄でしかないほど、小さなことだ。


「関係ないでしょ?小さいことを気にしてちゃ、大人になれないよ。」


私はそう思う。


「ははは、私は小さいことを気にするのが大人だと思っているよ。想造者の覚醒の平均年齢が低いのもそのせいだ、とね。」


無駄話をしている間も天菜は攻撃を仕掛けていた。

だが、蔓が身体全体に巻き付くようにして伸び、衝撃を吸収している。


「君のイメージの強さはさっきの男以上だね。でも、如何せん火力が足りない。蔓で防御できるような軟弱な蹴りは恐ろしくないよ。」


力=重さ×速さ、とはよく言われる。

だが、実際は少し違うらしい。

冬休み前、高校で習った。

質量、ベクトル、力積、運動エネルギー、反発係数…etc.

奇怪な単語をたくさん覚えた。

そして、分かったことは一つ。


『速さと速度は違う』


ということ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


…話を戻そう。

速さ、または速度。

天菜の得意分野だ。

体重が軽かろうが、速度があれば力は強くなる。

計算式は難しいが関係性は実にシンプル。


力 ∝ 速度 (∝:比例記号)


最高速度で蹴れば、恐らく岩本さんの”壁”すらも破壊できる。

速ければ速いほど力は強くなる。

”加速”もやろうと思えば、まだまだできる。

それができない、やらない理由もシンプル。


力=痛み


蹴った時の衝撃は当然、自分も同じ大きさで受けることとなる。

だからこそ、天菜はある程度の速度までしか出さず、自分への被害がないように加減をしていた。

そう当然…


何かが引っかかったが、今考えることでない。

それよりも、ダメージが通らないことが問題だ。

どうするべきか…

ナイフは持ってきている。

だが、蔓のように張りが緩いもの、木のように固いものは切りにくい。

それに、ナイフを使った攻撃はほぼ捨て身のようなものだ。

投げる以外の使い方は危険である。

よって、現状の主な攻撃手段は蹴りとなっている。

一つ、作戦はあるのだが、それまでにできるだけ体力を削っておきたい。

今いる二人の能力で…

…あっ

いいことを思いついた。

一旦波崎と距離を置き、岩本さんの元へ戻る。


「岩本さん!お願いがあって、…ゴニョニョ」

「ああ、できると思うぞ。」

「本当!?」


流石に岩本さんだ。

すぐに”壁”を作ってくれた。


「おおお!」


天菜のお願い。

それは足にすね当てを付けてもらうこと。

もちろん、ただのすね当てではない。

岩本さんの柔らかい”マット壁”を内側に、外側には”堅い壁”をはることで、相手にだけダメージを与えられるようにしたものだ。

訓練でも使っていた、クッション性抜群のダメージを軽減する”保護壁(ほごかべ)”。

岩本さんの能力が届く範囲でしか使えないけれど、十分な火力を手に入れた。


「待たせね。」

「はは、今の一瞬で火力を上げる算段がついたのかい?」


かなり油断しているようだ。

こういうのは初手が肝心。

すぅぅぅーー

息を深く吸い込む。

そして、


「どぉぉぉりゃぁぁぁあ!!!」


気合いを入れて、今までにない速度で蹴る。

波崎を空の彼方まで吹き飛ばすつもりで。

音速を優に超え、マッハ3~4は出ているのではないかという速度。

自分の声が後ろから再び聞こえてくる。

不思議な感覚である。

いつも聞いてる自分の声と少し違う気がした。


「おお!!凄い!!」


蹴りは…

残念ながら波崎には当たらず、手前に生えてきた木によって止められた。

その木は衝撃を吸収しきれず、折れていた。

足を狙ったが、途中で空中の種を潰してしまったようだ。

三ヶ里が”減速”させたものではなく、波崎が自分で保護用の種を浮かせていたようだ。

速すぎて自分でも思考の”加速”が追いついていなかった。

種を見逃したことはミスだが、まさか今の蹴りが、木一本で止められてしまうとは。


「…まさか、”金属木(きんぞくぼく)”を折っちゃうなんて。顔面に直撃してたら顔だけが飛んでいったかもね。」


なかなかにグロイ例えだ。だが…

よく見たら折った木は金属でできていた。

幹の中までちゃんと全て金属だった。

美しい金属光沢が出ている。

確かに直撃してたら死んでたかもしれない。

威力は想像以上であった。


「ふん!この蹴りを食らいたくなければ、とっとと大人しく捕まるんだな!!」

「…ねぇ、君は天菜って言うのかい?」

「そうだけど?それより、降参するのかしないのかはっきりしろ。」

「僕は波崎天。(あめ)って呼んでよ。私も天菜って呼ぶからさ。」


何を言っているのか、理解に時間がかかった。

この状況で話すような内容ではないから、軽く混乱してしまったのだ。


「沈黙ってことは肯定だね。やった!今日から友達だ!」

「何を言って…」


波崎は初めて邪悪ではなく、少女らしい明るい笑顔を見せた。


「それじゃ、またね!」


しまった。病院の奥に逃げられる。

笑顔で混乱させる作戦とは。

だが、


「させるかぁ!!!」


私はとっさに、三ヶ里の用意していた”減速弾”を加速させる。

本当は接近戦に注意を向けさせた時に不意打ちをしたかったのだが、仕方ない。

弾丸は波崎の右足を撃ちぬいた。

これで走ることはできない。


「あっ、やべ。」


波崎が初めて焦りの言葉を発する。

だが…


「”成長”」


右足だけを成長させ、すぐに回復をする。

だが、成長はすぐに終わるものではない。

一瞬だけ、止まる。

だが、天菜の前ではその一瞬が命取り。


「逃げんなっ!!」

「ぐふっ!」


背を向け逃げる波崎の正面に回り込み、腹に蹴りを入れる。

木や蔓を成長させる間もなく、生身で蹴りを受ける。

流石に先程の蹴りほどではない。

だが、波崎は吹き飛ばされ、逃げる前の位置まで戻ってきていた。


「はぁ…」

「観念しな!」

「まさか、期待の新人がこれほどだとは……」


やっと観念したのだろうか。

波崎は座り込んで、立ち上がる気配がない。


「最終手段に出るしかないね。」


そう言って、今までで最も邪悪な笑みを浮かべた波崎は、ポケットから大量の種を取り出す。


「!?させっ!」

「”鳥かご”!!」

「”急成長”!!!」


数百はあろうかという種を全ての握りつぶす。

種の命を奪うことで爆発的な、”最期の成長”をさせる波崎の必殺技。

三ヶ里の弾丸を初めに防いだのも、死んだ種が一瞬で成長したからだった。

通常の”成長”よりも成長が速く、硬いという特徴がある。

通常の”成長”は想造力を解けば種の状態に戻るが、”急成長”は戻らない。

また、波崎が成長の仕方を操作できないというデメリットもある。

正真正銘の最終手段だ。


岩本の”鳥かご”は初めて天菜たちと会った時に使っていた”壁”である。

守るというよりも閉じ込めることに特化した”壁”。

そしてそれは間に合っていた。

波崎は確かに鳥かごに閉じ込められたのだ。

ただ、”急成長”により、生まれた莫大な質量と密度に耐え切れず、”壁”が壊れてしまった。

天菜は”鳥かご”から溢れ出た木の波に流され、岩本と三ヶ里も”壁”で木の流れを受け流すのが精一杯。

この隙に波崎は崩れた天井から二階に上がり、逃げ出した。

そして、廃病院の外まで出る。


「ふぅ、危ない危ない。…ん?ああ、あの男の想造力か。」


病院の周りには岩本の逃走防止用の”鳥かご”があった。

これがあるからこそ、岩本は天菜に戦闘を任せていたのだ。

だが…

残った最後の種を潰し、”壁”に穴を開ける。

そして、立ち幅跳びをするように”壁”の外に出る。


「天菜か…可愛くて強いとか最強だね。楽しみだ。」


そんな独り言をつぶやきながら、波崎は夕陽の街へ消えていく。

天菜と天の初戦は天の勝利であった。

途中で触れた蹴りの威力について(読み飛ばし推奨)


難しいです。

詳しい人教えて~ってなってます。

Webで調べてもわかんないことってあるんですね。

基本的な考え方は高校レベルですが、「何を正解とするか」というところで意見が分かれます。

また、考えれば考えるほど、これで合ってる??となってきます。

諸々を考えると、力=重さ×速さは、物理学的には正しくないけど、説明的には最も分かりやすく正しい説明なのです。


1/2・m・v^2(1/2×質量×速さの2乗)は運動エネルギーを表します。

この場合、単位はジュールなのでN・ニュートンメートルとなります。

いくらの力が何メートル分加えられたか、つまり仕事です。

このとき、全ての力を伝えられるわけではないので、あくまで参考の値となります。

違う人同士、違う攻撃手段の人での比較に向いています。

ただ、「痛み」を表すのには向いていないと思います。


F Δt(力×力を加えた時間)は力積を表します。

この場合、単位はN・s(ニュートン秒)で、力×時間(秒)となります。

いくらの力を何秒間与えたのかという考え方です。

個人的には一番しっくりくる考え方です。

相手に与えた力をそのまま表すので「痛み」を表すのに向いています。(撃力と限定した時)

Fは、F→=ma→(力=質量×加速度)、a=速度の変化÷時間です。(矢印はベクトル)

加速度は、一定時間の間でどのぐらい速くなるか、を表します。

(ちなみに、”加速”、”減速”は加速度も操作しています。)

もしかしたら、力=重さ×速さはこの式から来てるのかな?と思いました。(もしくは運動量の式)


二つの式を紹介しましたが、もっと考えようすると、頭が爆発します。

自分もこの説明であっているのか自信を持てないので、信じるのは危険です。

というか、F∝速度も合ってないと思います。

(間違えてても、言ったのは天菜なので私には関係なし!)

詳しく知りたい人は、高校へGO

詳しい人は感想で説明してほしい…(ログイン不要)

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