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大学の時に、探偵が就職で世話になった輝元であった。
輝元が、紹介する紹介してくれた探偵会社は、普通の探偵会社ではなかった。
探偵本人でさえも確信は持てないのだが、その探偵会社はおそらくは国の、とある重要機関の、直轄の、多分謎の組織のようなものだろう。探偵の会社は、その組織に所属していた。その会社は秘密に満ちていて、探偵でさえも、その実態がつかめない。そんな謎の組織の職員であった。それでも、とても高条件の探偵会社であった。
この探偵会社の全体の求人数というのは、指定の大学の体育会系の倶楽部ごとに割り当てられていて、その組織に目をつけられたものには、彼が所属する体育会系倶楽部の先輩、つまり、からなんとなく声がかかった。
「これは、うちの倶楽部に割り当てられた、大昔の先輩から延々とうちの倶楽部が受け継いできた秘密の組織の就職口のポストであり、このポストを巡る仕事は、いくつかの秘密を守る必要があり窮屈な面もあるのだが、このポストの仕事は収入という意味でも、身分でもしっかりしたものを授けられている。さらに、このポストの人間にはしっかりとした福利厚生のプランが用意されているのは当然だ。君が、このポストにつけば、残りの君の人生は多くの点で安泰というものになる」
探偵が所属していた体育会系の社会では、この先輩からの就職オファーがこの上もなく名誉なことであると考えられており、これを断るものはいなかった。