表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11



そして、二三日で、前の会社の調査のこと、あのオーナーのお菓子工場のことや、里田万智のことは、探偵の頭から離れて消え去ろうとしていた。


担当の事件が終わっても、溜まっていた探偵会社の事務所でのその他担当仕事の書類の作製や、もちろん今回の事件の報告書の作製の仕事を消化するために、余計なことは考えず、探偵は仕事に集中する必要があった。



* *


机の中に、メモがあった。メモひ、次のような内容だった。


「君、輝元さんという人から連絡が入って、輝元さんは怒っているという話だったんだ。君から、連絡を入れて事情を聞いてくれないか?本当に偉そうな口の利ききたをする人らしい。何かトラブルになっても困るから」


メモには日付があり、それをみると、病院で留守のときに連絡があったらしい。


上司からメモの連絡が来たときも、探偵は、なんの対応も取らなかった。それから数日が経っていた。


輝元という人物に連絡を取ることはなかった。


探偵は、何日も連絡していないことを謝ることが億劫な気がした。


何にも増して、探偵には、輝元という名前に思い当たるところがなかった。


しかし、これが本当の事件の始まりであった。



それからまもなくの日曜日であった。目を覚ますと、音がうるさく頭が割れそうだった。ひどいことになっていた。誰かが、探偵の部屋のチャイムを執拗に鳴らしていたのである。このところ得意ではない書類書きで疲れていた探偵は、ぜんぜん寝足りない状態で起こされた。


探偵は、眠い眼をこすりながら、部屋の玄関の扉を開けると、外には、中年の男が立っていた。何年も忘れていたのに、探偵は、男を見るとすぐに男の名前を思い出した。


「輝元さん!」


探偵の部屋の扉を叩いていた男、それは十年ぶりに再会する先輩であった。


探偵は、この輝元が、紹介して探偵会社に勤めることになったのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ