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第二工事、それは、稼働を終えた工場であった。工場は、解体作業に向けて下準備を行なっていた。


解体作業と同時並行して行われる遺跡調査のために、毎日、工場の地下からは膨大な量の土が掘り出された。そして、遺跡調査のために、建築関係者、考古学者、地元の伝承研究家などの人たちが、解体作業の準備中の工場を通って行き来している。


「地下遺跡なんて、はじめから無視しておけばよかったんだ。地下遺跡には、今でも、古代人が棲んでいる、そういう話もあるくらいだ」


なんてことを言う迷信深い人間が、この工場の職員の中にも少なからず存在していた。


探偵も、これは認めざるを得ない。工場で様々な、一切合切のトラブルが起き始めたのは、工場の広大な遺跡群の調査を始めた頃と時期が一致しているのである。


オーナーの演説が終わりそうもなく、探偵は、自分の妄想に耽り始めたのだった。


正直言うと、探偵はこのところ本調子とは言えなかった。体のどこかが痛んでいると言うわけではない。


何か熱があったり、食欲不振とか、気分が悪いと言うわけでもない。


これまで、こんな体験はなかったのであったのだが、我を忘れて、心ここにあらずというふうに、自分も気づかぬうちに妄想の世界に、探偵の心が移ってしまうのだ。


妄想に耽っている時の探偵というのは、探偵の様子がおかしくなるということはないので、探偵の妄想という異変にはなかなか気づかれないままできているのだ。


今、探偵は妄想の世界にあるのだが、これは、一種の追想の世界とでも言うべきものであった。




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