学校にまつわる黒い噂は、いつの時代も変わらない。〈後編〉
…にしても、色んな奴が居る…よな?
俺の記憶が曖昧な間に夏輝が来てくれて、クラスメイトの奴みたいなのも居て、あと…熊みたいなデカい奴と俺を助けてくれたおじさん。それに、後ろ姿だけど…何か異様な奴が居るんだが…
そういえば、浅上はどうした?
その手下みたいなのは…気絶してるようだが…
何がどうなった?
「え〜と、お取り込み中ごめんだけど〜。あきちゃん、状況確認しよっか?」
「あきちゃん…?あ、俺のこと?状況確認?…あ、よろしく。」
こいつ、俺が一番言われたくない呼ばれ方、ゆるっと言いやがった。
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「結局のところ…俺、取り憑かれてたん?」
「秋斗くん。正しくは、体を乗っ取られていましたね。」
「はあ…確かに、そんな感じだったかも。体が重くて動かねえし、やたら眠くて周りが見えねえし、誰かの記憶を夢で見るような感じで意味分からんかった。」
「そ〜なんだあ!そんな感じなんだ〜。ねえ、あきちゃんって、見えて、聴こえて、憑依体質なんだね?」
「ん?」
見えて、聴こえて、憑依体質?
何か…恐ろしいワードをさらっと言ってるよな?
「うん。だって、この子のこと見えて、話せて、体に入れてたんでしょ?すご〜い。」
この子?
「わーっっ!…か、顔っ!……って、さっきの…」
間違いない…あの異様な空気を纏った奴、職員室で俺のこと襲った奴だ。
「…あれを体に?」
やべえ…俺、死んでる奴を見てるってこと?
今までこんなことなかったよな?
ありえないだろ…
けど、こんな酷い顔して生きてる奴…存在してる訳ないし…
「秋斗、俺と能力が近いかも。俺は聴こえて触れる。触ると見える。んで、連れ出せる。…俺も最初は戸惑ったよ。」
「マジかよ…でもこいつに限っては見えない方がいいぜ。…グロいから。」
「え?ちょっと見てみたい…………わっ!!エグ…」
「コホン!2人ともデリカシーが無いですよ!爆発の影響で顔面に大火傷を負って焼けただれ、眼球が飛び出しているんです。それをグロいと言って、面白がるとは?」
「ごめん…でも、面白がってねえし。ってか、冬馬もさ〜それを言葉にするのもデリカシー的にどうよ?」
「あ〜、ごめん!この子に施術するの忘れてた〜。」
「せ…施術?!」
そう。僕の秘術の中には、生前の姿に戻す術があるのだ。
「はっぴ〜りた〜ん。たん!」
どやっ!僕の秘術、凄いでしょ?これを会得するのにどれだけママンの特訓に耐えたか…それはそれは、血の滲むような……
「なんだか…美味そうな呪文だな…そういえば腹減ってきたわ。夏輝、何か持ってない?」
「ごめん、持ってないわ。あ、でも春風の母ちゃんが晩飯用意してくれてるらしいぜ。なっ?そうだろ?」
「ええ〜!何?この緊張感のない感じ〜。僕の施術に興味無いの〜?」
完璧なはずだ…目も鼻も口も全て元通りになっている。ママンに教えられた通りのクオリティだ!こうすることで、怨念が浄化されて成仏しやすくなるんだ。ここまでの事ができる霊媒師なんて稀なんだからね!
「春風が凄いのは分かるんだけどさ…あれが、こんな普通になっちゃうとさ…逆に怖く無さすぎて可哀想なんだよな…なっ?秋斗?」
「え?あ、まあ…ちょっと弱そうだもんな。本能的にイジりたくなるタイプだよな…でも虐めは良くない!」
『ふ…そうやって皆んな、僕のことを笑い者にして貶して悶え苦しむ姿を喜ぶんだ。…イツモ…ソウナンダ。』
むむ…この子強いかも。僕の施術が半分外れた。一見、気弱そうに見えるけど、元々はとても芯の強い子なんだ。
どんなことがあって怨念に変わったんだろう。いじめだけの問題ではない気がする。権ちゃんとの繋がりも気になるし…
「…ごめんね。この子たち悪気はないんだけど、後でちゃ〜んと償ってもらうから。それよりも、君の記憶を聞かせてもらえないかな?辛いと思うけど…」
『……そんなコトに、イミが…あるのか?』
意味か…哲学的な思想をしてる。大抵の霊は自分のことを見て欲しい、話を聞いて欲しいって、かまってちゃんが多いのに。君は、死後20年以上経っていても自分というものを持っているんだね。
もしかして、やりたい事があったの?
若しくは、やり残して後悔している事があるの?
そして、生前も自分の中だけで解決しようと溜め込んでいたの?
知りたい…
「あるよ!辛いものを吐き出すとスッキリするでしょ?そしたら、先のことを想像できるようになるんだ!」
『サキのこと…ソウゾウ…できる?……ホントウか?』
君の意味を導きたい。
「もちろんだよ!それに僕は、君の手助けができる。だから一緒に考えよう〜。」
『……わ…かっタ…』
よし!もっかい、施術しとこ。
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『この…玲瓏学園は、僕の憧れの名門校だった。』
僕の家は貧しく、本来なら通える学校ではなかったが、元々理数系が得意だったことと、将来的に得意分野で成功して家族を支えたいという理由もあって、新聞配達で日銭を稼ぎながら、独学で特待生として入学することができた。だからこそ、どんなことがあっても根を上げたくなかった。10年後の明るい未来を想像して、乗り越えようと気持ちを切り替えていた。
でも、奴らは毎日のように僕の心を折り曲げに来る。
名門校というのは名ばかりで所謂、格差社会の縮図のような世界がこの狭い空間に存在しているからだ。
先ず、特待生は貧困層という底辺に位置づけられ、財力で入学した富裕層の奴隷として卒業するまで服従させられる。
貧困層と富裕層の間には平民層と武力層があり、それ等は主に富裕層に雇われて情報の収集や護衛に使われている。
富裕層の大半は財力であるが、稀に権力と財力、そして実力を伴った者が存在し、彼等は頂点と崇められ教師をも支配する立場にある。
頂点は、下の階層に興味を示すことはない。即ち、下で何が行われようと自ずに危害がない限り、無関心であり無慈悲であるということ。
僕のような奴隷は、コネのポイント稼ぎに利用される。主に宿題の代行や実験レポート、計画書の作成など単位に関わる全てにおいて何でもやらされる。
なぜならコネの目的は、ポイントを稼いでテンに認められること。そして自らもテンに並び、将来的に有力者のポジションに安定することにあるからだ。
だから失敗は許されない。
コネの面子を潰せば手酷い拷問が待っている。
内情を漏洩したり、奴隷同士で結託することも許されないし、 勝手に退学することも許されない。
反抗することは重罪に値するとし、今後の進学や就職を全て潰されてしまうからだ。
僕だけなら構わない。
でも、家族を巻き込んでしまうのは絶対に避けたかった。入学できたことをあんなに喜んで、誇りに思ってくれた家族を裏切ることはできない。
学校への憧れは入学早々に覆され、監視と怯える日々に疲弊しながらも努力さえしていれば、いつかは分かってくれる人が現れると信じていた。
「その人が、権ちゃん?」
『…権平さんは、いつも遅くまで理科室を使用していても大目に見てくれて…そのお陰で助かっていました。』
『いや…彼ほど熱心に勉強していた生徒は居なかったもので、時々お茶を持って行くくらいしかできなかったけども…儂は、あの事件が起きるまで、内情は何も知らなかったから…』
「権平、その事件って…廃校の原因になった爆発事故のことか?」
『ええ…そうです。あんな恐ろしい事が、常日頃から行われていたなんて想像もつきませんでした。』
「恐ろしい事?常日頃?…爆発事故は、いつ起きても不思議じゃなかったってこと?もしかして君…そのくらい何かを頻繁にされていたの?」
『僕は、あることがきっかけで……拷問を受けていました。』
『拷問!?』
「君…その時のことを詳しく教えてくれるかな?」
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あれは、高2の夏休みに宿題の実験レポートを作成する為、理科室に籠っていた時のこと。
きっかけは些細なことだった。
忘れ物を取りに来たという上級生に声を掛けられたこと。その人は、僕がしていた実験内容を直ぐに理解して、無理をしないようにとチョコレートを差し出してくれた。
正直に嬉しかった。上級生に優しくされるなんて、夢にも思わなかったから。
それからというもの、その人が頻繁に僕の実験を観察に訪れるようになった。時にはアドバイスをくれたり、一緒に考察をするようにもなった。
その一時だけは嫌なことを全て忘れられて、初めて学校が楽しいと思えた。
でも、本当はいけないことだったんだ。
僕がその人と一緒に過ごす時間、会話をすることさえも罪になってしまうことだったんだ。
なぜならその人は、上級生の中でも頂点と呼ばれる人だったから。
「君…その人の名前、覚えてる?」
『名前は…思い出せません。ただ覚えているのは、陽だまりのような暖かい笑顔の人だった…ということだけです。』
「そう……それで、それがきっかけだとしたら、テンと関わりを持ったことで君が酷い目に合ったということ?」
『結論を言えば…そうなります。でも、その人を恨んだことは一度もありません。』
「じゃあ…君は、何に対してそんなに怒っているの?ごめんね。辛いと思うけど、もう少し聞かせてくれるかな?」
『はい…』
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夏休みの間に作成した実験レポートが高く評価されて、奴隷という身分でありながら研究チームのリーダーとしてクラス対抗に選出し、優勝に導くことができました。
その人はとても喜んでくれて、僕にお祝いをしたいと家に招いてくれたんです。
僕は、友人として家族に紹介されました。
そこは、あらゆるものが僕の生きてきた世界と真逆に進行していて格差を思い知らされましたが、そんな僕の心を読んだかのようにその人は、僕にも同じ世界を歩むチャンスがあると希望を持たせてくれました。そして、10年後も共に成功者として肩を並べていようと、互いの未来を想像して語り合ったのです。
この有意義で幸せな時間がずっと続けばいいのに…
でも神様は、こんな幸せな時間でさえ平等にして下さらなかった。なぜならその数時間後、その人は突然に僕の前から姿を消してしまったんです。そして、代わりに現れたのが浅上という上級生でした。
「浅上?……まさか…浅上 竜也と関係があるとか…?」
「秋斗くん、僕も同じことを想像しました。そして、そこから推測するに…嫌な予感しか浮かばないということです。」
「君、その浅上って…浅上 裕一郎じゃない?」
『はい。浅上 裕一郎に間違いありません。上級生の武力層に位置し、財力から賄賂を貰って手段を選ばない酷い拷問をすると有名な人物です。』
「ちょい待って、話しについていくのヤバいんだが…もしかして裕一郎って奴は、クソ野郎の父ちゃんか?」
「そうだね〜。なっちゃんご名答!」
「は?……何で、春風が知ってんだよ!」
「それは…僕にも関わりがあるって、気がついたから…」
「春風くん、どういう意味ですか?」
「僕からは話せない。だってまだ話が途中でしょ?その後どうなったのか、ちゃんと聞かなきゃ…君、教えてくれる?」
『ありがとう…話すよ。』
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放課後いつものように理科室に居ると、浅上が配下を従えて入ってくるなり、僕を拘束し暴行をしてきました。そして、その人が今朝フランスの大学に進学する為に渡仏したと聞かされたんです。
僕は、呆然とした。
昨日過ごした時に、そんな素振りは何一つとしてなかったから…
どうして?疑問ばかりが浮かんで仕方がなかった。
もしかして…その人が、僕に浅上を仕向けたの?
何の目的があって?何の利益があって?
分からない…本人に会って確認したい。
せめて、浅上が誰に雇われたのか知りたい。
理由が分からないまま毎日理科室に来るように言われて、されるがままに暴行を受けました。
それから暫くして、浅上が急に目的を話したんです。それは、その人が進めていた研究レポートがこの理科室に隠されているということ。それさえ分かれば、直ぐに解放すると言われました。
何のことかさっぱり分かりませんでした。研究レポートの話なんて何も聞いていない。でも、例え知っていたとしても、こんな輩に教えるはずもない。
僕は、友人を売るような真似は絶対にしない。
浅上を仕向けた者がその人でなかったと知っただけでも、僕にとっては満足に等しいこと。後悔はしない…
その日から、実験という名の拷問が始まりました。
僕は人間という尊厳を失い、もはや奴隷以下のラットと呼ばれ、様々な薬品を片っ端から使用されて弄ばれる地獄の日々に、生きる気力も失われていきました。
でも、プライドだけは失いたくなかった。
その人との貴重な時間、貴重なアイデア、希望に満ちた未来を想像できる喜び、それを分かち合えたこの場所を無惨に汚した輩たちに身をもって報復したい。
それが、僕の最期の希望……
『爆弾を仕掛けたのは僕です。あれは、僕の怒りそのもの…皆んな、消えて無くなればいい!その思いしかありませんでした。』
「くそっ!親子揃って、ふざけんな!!」
「浅上のクソ野郎…親父と共に警察にぶち込めねえかな…くそっ」
「それは難しいね。だって、浅上 裕一郎は警察のお偉いさんだもん。揉み消すのが大の得意だし。」
「はっ、権力でやりたい放題かよ…変だと思ってたんだ。1回、年少入っても直ぐに出てくるし、懲りねえで好き放題やっても捕まらないし。」
「あのさ…頭ごちゃごちゃになってきたんだけどさ…結局、浅上クソ親子の目的って、なんなん?」
「夏輝くん、それです!僕が思うに、浅上 竜也がこの理科室に拘ったこと。本来なら、秋斗くんに理科室で何をやらせたかったのか?その鍵を握っているのは、春風くんですね?」
「春風!そろそろ隠していることを全部吐け!」
「怖いな〜、分かったよ。…まだ理科室にお宝があるって思ってるんだよ。ダディの研究レポートがね。」
「は?そんなの爆発事故でぶっ飛んでんじゃねえの?って、おい…それって、その人って…父ちゃん?」
「…うん。ダディは、結構有名な科学者なんだよね。だから、未発表の研究レポートが見つかったらとんでもない金額で取引できるから、それが目的じゃないかな?」
「なるほどね…それで無関係な奴に探させようとしてたってことか。けど、まだ腑に落ちない点がある。浅上 裕一郎は、何故あの爆発事故で生きていたんだ?…おじさんも、その被害者だろ?」
「権ちゃん、その時のこと覚えてる?」
『ええ、あれは…』
……………………………………………………………
放課後皆んなが帰宅して空が薄暗くなり始めた頃から、彼はこっそり理科室に入って遅くまで勉強をしておりました。その姿を見て、ただただ応援したくなって、時々お茶を運ぶようになった。そんなある日のこと、3学年の生徒と楽しそうに勉強をしている姿を見て、儂は安堵した。だから邪魔をしてはいけないと思い、暫く遠のいていたんです。
けど、あの日…何故か胸騒ぎがして様子を見に行くと、彼は目隠しされ、椅子に拘束されていました。周りには5人の生徒が囲んで、何かの薬品を使用しているようでした。
一目瞭然にそれがただならない様子だと分かった儂は、人を呼びに職員室に向かおうとしたんですが…
その時、反対側のドア前で、生徒たちに何やら指で合図を送っている教師がおったんです。
そのすぐ後でした。生徒が1人、教室からもの凄い勢いで飛び出してきて、教師と共に走り去ったのを見たのは…
何かが起きると察知しました。そして、思った時には体が動いてました。でも、もう遅すぎて…儂は、謝ることしかできなかった。今も後悔しか残っておりませんのです。
『本当にごめんなさい。儂がもっと早く気づいていれば…後のことはお察しの通り、自業自得なんです。』
「おじさんは何も悪くないだろ?ただ巻き込まれただけだろ?俺は、こいつの記憶を見たから…悪いのは、全て浅上 裕一郎とそれを操っていた奴だ。…なあ、そうだろ?」
『…その通りです。権平さん、巻き込んでごめんなさい。そして、助けようとしてくれたことには感謝しかありません。ありがとうございます。』
「あの、お話の途中に割って申し訳ないのですが、この玲瓏学園について調べたところ、今聞いた内容と違っている点がありまして、宜しいでしょうか?」
「何だよ冬馬、改まって…俺にも分かるように頼むな!」
「まず、事件内容として『生徒が実験の最中に手順を間違え爆発を引き起こし、死傷者を出した。』と記載があります。実際は、利害の為に生徒を理科室に監禁し、脅迫して拷問した結果、生徒が自己防衛の為に作成した爆弾で死傷者が出た。という内容が正しい訳で、事実を捏造している。」
「あ〜、う〜。」
「なっちゃん、ついてきて〜。」
「続けます。『当時、その実験を担当していた教師は頭部損傷で即死しており、事実確認が不明瞭のまま終息している。』とも記載がありました。頭部損傷で亡くなられたのは、権平さんですよね?」
『いやあ…一瞬の出来事だったもんで、頭がどうかなったかも分からんくらいの…ただ、もの凄い光が突き抜けた感じはしました。』
「あっ、施術解こうか〜?」
「春風、それはやめろ!」
「続けます。権平さんは用務員であって、実験を担当していた教師ではないです。」
「つまり、その教師はおじさんと入れ替わって今も生きている?だとしたら、そいつが黒幕か?」
「当時、大きなニュースになったはずがこんなに曖昧な終息をしている訳ですから、恐らくその教師だけではなく複数加担しているのでしょう。色々と繋がってきましたね。」
「あのさ、南條だっけ?その研究レポートの在処を父親から聞いていないのか?」
「ごめん。本当に何も知らないんだ。さっきからダディにメール送ってるんだけど、全然既読にならないし〜。」
『南條…先輩?』
「あ…うん。やっぱり君、名前覚えてたんだね?あんなに記憶がしっかりしてるのに、ダディの名前だけ出てこないのおかしいと思ってた。」
『僕のような者が、軽々と名前を口にできる人ではないので…そうですか…息子さんですか…』
「今更で恥ずかしいんだけど、自己紹介するね!南條 陽太の息子、春風です。春ちゃんって呼んでもいいよ!」
なるほど…似ている。
南條 陽太です。名前を反対にすると太陽って漢字になるんだ。変だろ?呼び名はひー君でも、ひなちゃんでも何でもいいさ。呼びやすいようにしてくれ。
陽だまりのような暖かい笑顔…血は争えないですね。
先輩……
「ねえ、君の名前は?」
『遅ればせながら、堀川 理と申します。先輩の身がご健勝で、何より…嬉しいです。』
「辛い記憶だったよね…教えてくれてありがとう。それでね、理くんのこれからのことなんだけど、僕に任せて欲しいんだ。」
『僕の…これからのこと?』
「うん。まずは君から未来を奪った奴らに、きちんとその理不尽を解らせなきゃいけない。問題は、その後のこと…」
『異論はありません。僕は、話を聞いてもらえただけで満足です。最初に春風様が仰ったように、とてもスッキリしました。ですから、今の僕が想像できる未来は、来世に繋げたいと思います。』
「ありがとう。その言葉を受け止め、誓約とします。」
過去 現在 未来
前世 今世 来世
これら全ての理は 繋がっている
悪行の因果応報 許すべからざる
悪鬼羅刹を根絶せよ
「よし!パワー全開になったので、そろそろ鬼退治と行きましょか?」